見出し画像

自由律かるたのなにぬねの

 お馴染み自由律かるたのまとめ記事。

 今回はな行。
 白・黒・食べ物・ワインをテーマに、「な」から「の」で始まる句をあつめ、それぞれ所感を添えています。

 ▼これまでの自由律かるたはこちらからご覧いただけます


ホッと白い句


▶︎な
何気なく仕草を真似てみる

▶︎に
逃げ道にこんなに綺麗な花が

▶︎ぬ 
抜け穴くぐり秘密基地へ

▶︎ね
ネイルを推しの色に染める

▶︎の
のぼせた裸足を体重計に乗せる


 「の」の句に一番反応が集まりました。この句は私もお気に入りです。銭湯や露天風呂、はたまたご自宅のお風呂上り。のぼせてすこしぽやぽやとした状態で、とりあえず体重計に乗ってしまう方はいらっしゃいますか。もしそうなら、私もよくやりますので、お仲間ですね。


ぴりり黒い句

▶︎な
何回引いてもE賞

▶︎に
入門編から抜けられぬまま暮

▶︎ぬ
ぬるき晩餐を口にする

▶︎ね
寝聡し梅雨入り待つ烏
→眠れず烏の声聞く梅雨入り

▶︎の
飲みかけの緑茶誰もいない客間

 
 「な」の句に一番反応が集まりました。一番くじなど最近主流のくじびきでは、はずれをつくらない代わりに、1等のA賞から始まりF賞G賞まで細かく賞が分かれています。E賞は最下位の賞とまではいかないものの、当たるのは1回くらいで充分だなという景品の時もあるのです。何度もくじを引いているということは、もっと上の賞でほしい景品があるのでしょうが、運がないのか、何回引いてもE賞を当ててしまうという情景を詠んだ句です。
 この句については、宥樹 ( @flawless_tears )さんより嬉しい講評をいただいたのでこちらに残しておきます。

 

 「ね」の句については、『自由律俳句』と『俳句』の中間の句を目指して作りましたが、後々調べたところ「寝聡し」は「ざとし」より「ざとし」と読むのが主流であると分かりましたので、「眠れず烏の声聞く梅雨入り」に改作しました。しかしこの改作した句も、またまだ推敲の余地が残されているようです。タグチユウスケ(@taguchi_yusuke_ ) さんより貴重なご意見をいただきました。

 『自由律俳句と俳句の中間の句』というものを作るに至った経緯については、こちらの記事に書いています。


 「な」の句の他に、「の」の句も個人的に気に入っています。もてなす方も来客も、バタバタと客間から去り、茶が残った湯呑みがぽつんと残される、そんな様子を詠んだ句です。

食べ物句 

▶︎な
ナタデココ噛んで噛んで繊維だけに

▶︎に
苦瓜の持ち味出せぬまま食卓

▶︎ぬ
濡れ煎餅を乾かすひと手間を加える

▶︎ね
ねこまんまにしてひっそりすする

▶︎の
海苔で作る笑顔


 「ね」の句に反応が集まりました。この句は少し思い入れのある句です。亡き祖父は、味噌汁にご飯を入れたねこまんまをよく食べていました。今になって振り返ると、祖父は好きでそうしていたのではなく、食欲が無いときにもご飯を残さないための技としてそうしていたのだと気づきました。ねこまんまの文字を見る度に、ちょっと申し訳なさそうにお碗をかきこむ祖父の姿を思い出します。


ワイン句


▶︎な
ナビュコドノゾールの迫力に怯える



▶︎に
ニューワールドと呼ばれ続け四百年



▶︎ぬ
ヌーヴォーから新しさの香る




▶︎ね
粘性強くゆっくりとワインの涙落つ



▶︎の
ノン・ヴィンテージ混ざりゆく年月


 「ね」の句については、「粘性強く」の部分が少し説明的であるというアドバイスを啓司(@d7a0668c04b34f4)さんよりいただきました。


 「の」の句は四選に入れていただきました、ありがとうございます。啓司さんより嬉しい講評をいただいたので、こちらにも残しておきます。


かるた自選句なにぬねの

▶︎な
何回引いてもE賞

▶︎に
苦瓜の持ち味出せぬまま食卓

▶︎ぬ
ヌーヴォーから新しさの香る

▶︎ね
ネイルを推しの色に染める

▶︎の
ノン・ヴィンテージ混ざりゆく年月



 「の」の句では、「のぼせた裸足を体重計に乗せる」と非常に悩みましたが、ワイン句から選びました。「な」と「に」は寂しさの残る句、「ぬ」「ね」「の」は明るさのある句となっています。


おわりに

 「自由律かるた」からはじまり、以前紹介した「自由律フォト」を運営されていらっしゃるタグチユウスケ(@taguchi_yusuke_)さん。この度「コロナ句集製作委員会」も立ち上げられました。


 私もこの企画に参加中です。途中経過なども勝手ながら随時記事にまとめようなどと目論んでおります。ご興味を持たれた方は、是非参加をご検討されてみてください。

 ここまでお付き合いくださりありがとうございました。次回は「は」行が完成した頃に。





この記事が参加している募集

自由律俳句

ここまでお読みいただきありがとうございました。 いただいた御恩は忘れません。