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【英語発音】リンキング、リダクションは単に音が消えるだけじゃない

リンキング、リダクションに関して、(少なくともオンライン英会話系のブログや個人のYouTubeチャンネルなどで)かなりぞんざいな説明がなされている気がします。具体的には、リダクションとは子音の音が消えることです、おしまい、といったような、かなり言葉足らずな説明になっています。

そこで、リンキング、リダクションで実際に起きている現象をまとめてみました。

まず、破裂音+破裂音で片方(最初の破裂音)が後ろに吸収されるパターンについてみてみましょう。これに該当するパターンは以下の2つです。

単語と単語の間で連続するパターン:
a good car 良い車
eigit tips 8つのヒント

ひとつの単語の中で破裂音が連続しているパターン:
active, tiktok など

で、どっちも本質的には同じです。どれを取り上げても同じ説明になるので、ここでは tiktok で説明しましょう。

tiktok は発音記号(米音)で表記すると/tɪktɑk/です。さっきまでの話でいけば、kが消えるわけですから、消えてしまったらこれは/tɪtɑk/になります。

そして、この音を素直に発音してみるとわかるのですが、何かおかしいことに気づくはずです。あえてカタカナで書くなら、ティトックになります。(これはもちろん間違いです)

ではどういうことかというと、/k/の脱落は、単に消えるだけじゃなく、なにか仕掛けがあるといことです。/tɪtɑk/になるわけではありません。

何が起きているかというのを先に行ってしまうと、音は完全に消えるが、子音が消えるわけではない、ということです。専門用語で説明すると、この手のリンキングの正体は、/k/が無開放閉鎖音の/k ̚ /に変化するというものです。無開放閉鎖音(unreleased stop)とは、/k/の形だけ作る、つまり/k/の閉鎖だけ作って準備してから、開放せずに次にいってしまう「子音」です。これは、立派な子音ですが音はなりません。

無開放閉鎖音は俗に「かおり」といわれます。kのかおり、tのかおりという感じです。音はなりませんが閉鎖に伴い直前の母音のエンディングが変わるので、これがかおりになります。

チャンクの末尾の破裂音が来るパターン、いわゆるリダクションも同じで、その音が消えるものの、「かおり」は残ります

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