定冠詞 the の使われ方、用法をパターン化して解説してみた

the の使い方、用法に関する記事を小出しにしていたのですが、系統的にまとめてみたほうがわかりやすいと感じたため、もれなく系統的にカテゴライズしてみました。以下は、こういうときに(結果として)the が使われる、というパターンをシンプルにまとめたものです。※随時加筆修正します。

前出、既出の何かを指示代名詞的に指す場合

最も典型的な the の使われ方です。it や this と機能的役割はほとんど同じで、すでに出た何かを指し示すために使います。例:

I met a man, and the guy told me that he looked for a new smartphone.

世の中に有限個しかない何かを総称する場合

これもよくあります。the five continents(五大陸)や the major cities in Japan(日本の大都市)みたいに使います。

固有名詞じゃないけど、固有の何かを呼称する場合

大学、組織、固有名詞じゃない国名などを呼称するときの the です。指し示す対象はもちろん唯一無二の何かなので、頭に the がなければおかしくなります。例:

the University of Tokyo(東京大学)
the Ministry of Defence(防衛省)
the World Health Organization(世界保健機関)
the United States of America(アメリカ合衆国)
the International Space Station(国際宇宙ステーション)

後ろから説明した結果、唯一の何かに限定される場合

ここから少しトリッキーな用法が続きます。これは、of や関係代名詞、同格の that なんかで説明される対象の名詞がなにかに限定されるパターンです。文脈を後ろから前に供給するパターンと解釈できます。例:

I want to inform you of the importance of well-being.
He told me the fact that he went to JR Tokyo station.

その人の中でもう固まっているものをいう場合

これは、前回の以下の投稿で説明した、シルエットだけ見えてるパターンの the です。

話してる人の中でもうどっかに定まっている何かを the で指定します。文脈が足りてないので結果的に説明不足になりますが、何かしらのやつ、って情報だけが伝わるので、筋はきちんと通ります。例:

I need to get to the station right now.

まさにこれ!ってやつをいう場合

「ザベストテン」みたいな、まさにこれ、ってやつを言いたいときのパターンです。この「まさに」というイメージから、誰が聞いても同じイメージを連想するので、同一個体を指す機能を持つ the が機能する、というわけです。例:

He is the very Japanese guy.

固有名詞 + 一般名詞の形だけど、その固有名詞の指定能力がいまいちな場合

これもかなりトリッキーです。

ふつうは、Narita airport や Hokkaido University みたいに、固有名詞 + 一般名詞の形で the が登場しないことが多いです。「あ、成田にあるあの空港ね」とか、「北海道のあの大学ね」みたいに、固有名詞部分の指定機能が十分に働く場合、the は不要になります。

これとは対照的に、the Chiba bank(千葉銀行)みたいなパターンも少なからずあります。その固有名詞の指定能力が貧弱な場合(それだけで、あああれね、と連想できない場合)、the で指定するわけです。

別の例としては、the IKEA effect(イケア効果)があります。IKEAの家具を自分で組み立てると愛着がわく、という心理的効果のことなのですが、この場合も the がないとピンとこないので、the で指定してるわけです。

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