見出し画像

小説「対抗運動」第5章1 サスティナブル

舞ちゃん「おいさん、庭園美術館の国際フェアトレード・デー、どうやった?」

おいさん「まや・ラミスさんの歌、よかったよ。中でもね、6曲くらい歌いよったけど、おいさんは、レゲエの曲でね、まやさんの作った歌やないんやけど、まやさんが訳したんかな、反戦歌がよかった。歯ぎしりしもってね、けど、後悔するんは、わたしらやない。盲目にアンフェアな戦いを続けるやつらや、と歌うんじゃ。今だけやない。子供や、そのまた子供の審判をうけるんや。死んだ人らのもね。 今度、TCXで出す冊子も32ページくらいになるけんね、コミックや小説やエッセー、論文だけやなしにね、詩をひとつ載せたいな、と思とったんよ。まやさんのを聴いた瞬間に、あ、これにしょう!」

舞ちゃん「おいさん、著作権の問題もあるし、人にばっかり頼らんと、自分らの載せんと。」

おいさん「ほうじゃった。ラミスさんの歌があんまりよかったけんね。ター博士の、1991年につくったんがあるけん、それにしょうかいね。思えば、有事法案の布石は前の湾岸戦争の時から露骨やったね。もう、いかんね。今だけ、自分らだけ良かったらええ、いう政治に完全になってしもた。けどね、続いていくんや、対抗運動は、ね。おいさんらは、前の世代から引き継いだけんね。そして、次の世代にもバトンタッチするけんね。ちょっとずつやけどね、広がっていくし、繋がっていくんや。ピース・ウォークは大きな表れやったね。有機農業も評価が高なってきとるし、フェアトレードと繋がりよるね。フェアトレードはね、取り扱い高が、前年比40%アップやと。それにね、舞ちゃんみたいな若い女性がね、何百人も来とったんよ。今日18日は、千葉市内でもやりよるよ。東金のルバーブの順ちゃんや、今は千倉でがんばっとるカナエちゃんも行っとる。」

舞ちゃん「おいさん、フェアトレードバンクへ投資したらええ、とこの前言うたけど、学生はお金持ってないのに、どうしたらええん?」

おいさん「舞ちゃん、学生の投資いうたら、勉強することじゃがね。高校生でも大学生でも同んなじじゃ。フェアトレードのことを勉強するんが学生のフェアトレードバンクへの投資じゃ。ボランティアで飛び込んで、実践しながら勉強する方が解りも早いし、勘違いも少ないけん、オススメやね。何と言うても、自分らでやってみんと、解らんことが多いけんね。 まず、途上国のことを少しずつでも知らなあかん。むちゃくちゃな経済格差があるけんね。まや・ラミスさんはね、バリ島で生活しよった時に、近所の人らが、まやさん達の使うお金に群がってくることが、最初は嫌やった。けど、その人らは、一日、10円とか、20円くらいで生活しとるんやから仕方がないんや、と解ってきたやんや。」

舞ちゃん「グローバル・ヴィレッジの力入れとるバングラデシュやと、月1,000円位の賃金なんやね。それも、仕事がある人の話しやけど・・・。フェアトレードによって、仕事が生まれることが大事なんやね。小規模でもええけん、その取引関係が継続されることによって、仕事の創意、工夫も出来てくるし、自立の基盤もできる。ほいでも、なんで、日本の人らは100倍も200倍も賃金もらえるんやろ。アンフェアやね。」

おいさん「舞ちゃん、その通りじゃ。おいさんは野球選手じゃけんね、アンフェアやったらプレーなんか出来せんのを知っとる。フェアーいうたら、一対一のことじゃ。スポーツは同んなじルールに従うけんプレーできる。格闘技でもね。しかし戦争は違う。自由主義貿易と呼ばれとる現在の世界貿易も。フェアーに、継続していくことなんか考えてない。自分らさえよかったら、他の人らも、未来も犠牲にして突き進むんじゃ。」

続く
執筆:飛彈ゴロウ、2003年5月20日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?