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星空散歩(冬)〜中級編

冬。寒さで外にいるのもつらい季節ですが、よく知った星座が明るく輝いています。
そんな見つけやすい星座を探して、星空を散歩してみましょう。

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<星空を説明するときは、上下左右ではなく、東西南北を使用するのが通常ですが、>
<わかりやすさを優先させるため、北半球で南を向いて立っていることを前提に上下左右でまとめています。>
<1月1日22時、2月1日20時、3月1日18時ごろの北海道札幌市で見える星空になります。>

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冬と言えば、代表的な星座が『オリオン座』です。
1等星を2つ持つこの星座は、とても分かりやすく、見つけやすい星座です。

オリオン座は明るく輝く4つの星が作る長方形の中央に斜めに3つ星が並び、それらを結ぶと、『鼓』のように見えることから『鼓星』と古くから呼ばれています。
現代風に言うと、リボンのように見えるので『リボン星』でしょうか。

この並ぶ3つの星は、『オリオンの三つ星』とも呼ばれていますが、その下側に、縦に星が並んでいるように見える星があるのがわかりますでしょうか?

こちらは『小三ツ星』とも呼ばれていますが、その真ん中の星、よく見ると、星というよりは淡く広がっている天体であることがわかります。
これが『M42:オリオン大星雲』です。
双眼鏡で見ると、淡く広がるガスの中に、4つの星が輝いているのがわかるかと思います。
この4つの星は、四重星で『トラペジウム』と呼ばれ、この星々がガスを照らして輝いているのです。

星空散歩(冬)入門編』の note でも登場した、『冬の大三角形』ですが、一つの頂点はオリオン座の『ベテルギウス』でした。
あとの2つの頂点は、『おおいぬ座』の『シリウス』と『こいぬ座』の『プロキオン』です。

どちらも狩人オリオンが連れた猟犬で、対峙する獲物は『おうし座』になります。
『おおいぬ座』も『こいぬ座』も明るい1等星を持ちますが、他の星が暗いため、線を結ぶのはちょっと難しいです。
ちなみに、ギリシャ神話では、『おおいぬ座』は神犬ライラプス、『こいぬ座』はイーカリオスの飼い犬マイラと言われています。


星空散歩(冬)入門編』、『星空散歩(冬)初級編』で紹介し、まだ登場していないのが、1等星『カペラ』を持つ『ぎょしゃ座』です。
この季節、空の高いところに輝いていますので、何気なく空を見ていると気づかないかもしれません。
ちょっと脱線します。

 「空の高いところに輝いている」ということは、星の世界でいう「赤緯」が高いことになります。
 天の北極=北極星が赤緯+90度で、一年中見えていることはみなさんご存じかと思います。
 皆さんの住む土地の緯度(北緯)はいくつでしょうか?
 東京の場合、おおよそ北緯35度41分になります。
 これがそのまま北極星の角度になります。(北極星に向かって腕を伸ばした時の水平線との間にできる角度)
 この北緯を90度から引きますと、54度19分になります。(90度‐35度41分=54度19分)
 この54度19分をそのまま赤緯に当てはめると、その値以上の天体が周極星として地平線下に沈まず、年中見ていることになります。
 カペラは赤緯45度59分ですので、稚内(北緯45度25分)まで行くと周極星となり、地平線下に沈まないことになります。

『ぎょしゃ座』は『カペラ』を含め、5つ(または6つ)の星が大きな五角形を作っている星座になります。
この『ぎょしゃ座』、星座絵の中で山羊を抱えて描かれることが多いです。
カペラの由来もラテン語の「雌ヤギ」を意味する「Capra」からきていますが、トレミーによって一つの星座とされる前までは「馭者」と「山羊」は別の星座であったため、山羊を抱えている理由を説明する神話は存在しないようです。

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