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塔 月詠/2023.08


屋上のいくらかの室外機たちゆるくまわっている春の月

ほとんど底のポップコーンに手を伸ばす 長い夢 まだ何かあるなら

した後悔がいちばんこわい 国道の中央分離帯には百合がゆれ

右耳の輪郭を撫でながら立つぼくはぼく自身の虚のふち

アレクサに話しかければ昨夜との差を告げられる ひとり減った

ごみ箱を開ければ饐えたチーズ、肉、あなたは歌にしかならないが




 今月の「塔」から六首。鍵の外、ありがとうございました。
 いい歌~と思っていた二首が載らなかったのでとても意外。要振り返りですね……。うーん、歌会に出したい。

 毎月の月詠に向けて十首つくる目標として、今年に入ってから月次の連作会を企画・運用している。参加者が十首前後の連作を持ち寄る、記名式。参加人数分の詠草は各々が印刷して、喫茶店で2時間ほど。ルノアール、お世話になっている。大学短歌会からの友人とふたりが固定で、他2名ほどを1, 2週間前に募る形式。早いものでもう8回が済み、9月開催分も確定している。ありがたいことです。
 そういう形式で進めていると、彼女とぼくは互いに互いのテーマ性や韻律感覚がさすがに"理解"るようになってくる。毎月十首読んであーだこーだ言っているわけで、ああこの情報の癖よ、おおその句跨り方よ。
 この状況には功罪あり、罪の方には特に気を使わないと会の効用を妨げてしまう。他の参加者の読みに、我々2名の読みが過剰な影響を及ぼしてはならない。こちらは、テキスト以前の情報が多すぎる。
 一方で、そういう"慣らされた"読者からの評価と、ほぼ初めましての読者からの評価を、同じテキストで同時に受けられるのは有難い。三十首とかで出したときに、読者がどこまでこちらにチューニングを合わせてくれるかは全くわからないというか、読者側の自由だから。

 気づけばもう八月も半ばで、今日からいわゆる盆休み。来週の一週間は大阪の実家に帰省しているが、何の予定も無い。お気軽にお声がけください。
今のところ、全く進めていなかったポケモンを黙々とやることになりそう。

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