塔 月詠/2021.5
チェスターコートのポケットに赤光がある指先の薄皮をなぞって
トイレットペーパーがざっくりになっている この店も長くないかもしれない
ふたり暮らしの予定を家族に明かすとき茜差す元旦のLINEに
抱き寄せるねむりの縁の、手のひらに収まるほどのきみの絶壁
燃やすなら青い炎で 一輪の怒りが路地裏に揺れている
――――――
この投稿をしようとして、前投稿が4月度の月詠だったことに気づく。
もう一か月経ってしまった。早すぎる。その間、四回分の一首評も書いていない。おそろしくなる。ふだん何して過ごしてるんだろう……。
あまり外出をしなくなったからなのか、年齢を重ねて分母を厚くしているからなのか、ひと月、いち年の印象が薄い。あっという間に消える。もともと、家にいるあいだ・風呂に入っているあいだ・ふとんにいるあいだは時間のカウントから外れていると感じているので、ここxx年はずっと外れている。家にいるだけなのに/風呂に入っているだけなのに/ふとんにいるだけなのに時間が流れるの、変じゃないですか?
今月は五首掲載。
それなりに納得感のある結果だけど、ぜったいにこれがいちばんいい歌だと考えていた歌が落ちたのでやはり歌会をしましょう。次の月が返ってくるまでの、ひとつきのあいだに。
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