2022年 良かったもの・こと

坂口恭平『土になる』
エーリッヒ・フロム『愛するということ』
桜庭一樹『ファミリーポートレイト』

漫画

魚豊『チ。-地球の運動について-』第5集、7集
新井英樹『ひとのこ』
藤本タツキ『さよなら絵梨』
タイザン5『タコピーの原罪』

演劇

安住の地『iplay!』『凪げ、いきのこりら』
ペトリの聲『満月』
共通舞台『Why theatre? Why you?』
劇団ケッペキ『無差別』
ダンススタディーズ1#6『透明なパズルをつかまえて』

映画

クリストファー・ノーラン『インセプション』
ジョン・ワッツ『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
大林宣彦『この空の花 長岡花火物語』
ジョヴァンニ・ピスカーリア『ゴッホとヘレーネの森』
トム・ギドク『嘆きのピエタ』
イングマール・ベルイマン『仮面/ペルソナ』
トッド・フィリップス『ジョーカー』
ヤン・シュヴァンクマイエル『アリス』
ジョージ・ロイ・ヒル『ガープの世界』

アニメ

進撃の巨人
少女革命ウテナ

音楽

Dios『CASTLE』
銀杏BOYS『ねえみんな大好きだよ』
笹川真生『うろんな人』
きくお『きくおミク3』『きくおミク6』
きのこ帝国『愛のゆくえ』
BUMP OF CHICKEN『ユグドラシル』

できごと

1月:安住の地の『iplay!』金沢公演で仕事をした。とても良い経験になった。宿で劇団のみなさんとお話できたのも楽しかった

2~4月:劇を観たり、稽古をしたりしていた。4月末ごろコロナにかかった。しんどかったけど色々見つめ直す時間にもなって、よかった気がする

5月:江沼のライブがよかった

6月:彼女からの妊娠報告。子どもが欲しいのかわからずにいたけど、聞いた瞬間迷いがなくて、待っていたんだなと思った。自分の人生が別の誰かの人生になっていく気がした。まだ小さな卵みたいな子どもが、有無を言わさぬ力で運命を変えていく。親子関係は神にたとえられることが多いけれど、子どもこそ神だと思った。子どもから、生まれてくるという強い意志を感じる。おれは命令を受けたと思った。

彼女のご両親にご挨拶。驚くほど受け容れていただけてありがたかった。つくづく、いざというときの人との縁には恵まれている。

下旬から就活を始める。

7月:16日に入籍。就活ざんまい。妻はつわり。しんどい月だった。

8月:内定が出る。社長がおれの小説にとても興味を持ってくれたのが嬉しかった。また人との縁。

両家の顔合わせをする。良い会になってよかった。

「透明展」も観に行った。あまにがさんたちとお話できて楽しかった。

9月:引っ越し準備。大変だったけど、良い部屋が見つかってよかった。

引っ越し前に友達の家に泊まった。楽しかった。

10月:仕事がはじまる。フルリモート。マーケティングの戦略的なところからやっている。大変なところもあるけど、良い経験になっていると思う。クリエイター気質の強い会社で、けっこう攻めたことをやっても受け容れられる土壌なのがありがたい。

進撃の巨人のアニメにハマっていた。親と子の話であり、何かを選ぶ/守ることは、別の何かを選ばない/殺すこと、という話だった。
進撃の巨人が面白いのは、よくある「親に呪われた子ども」の話かと思わせておいて、実は「子どもに呪われた親」だったのではないか?という、因果関係がぐちゃぐちゃになっているところだ。
おれも父親になろうとしている今、そんな気がしている。子どもの命令には逆らえない。子どもが自分の自我のために、たとえそれが悪の道でも「進みつづける」ことを選ぶなら、止めることはできない。
でも、そうした子どもの絶対性は救いかもしれない。おれは基本的に懐疑主義者なので、「絶対なんて絶対ない」と思っている。でも、親は子どもを捨ててはいけない。これはほとんど絶対に近い掟だと、なぜか思っている。子孫を残すことが生物の存在目的だから?本能に刻まれているんだろうか?
わからないけど、とにかく、絶対を持てないが故に揺らぎつづけていたおれのなかに、子どもは揺るがない一つの軸を立ててくれる気がする。それはやっぱり、神への信仰に似ている。

11月:妻と一緒に暮らしはじめる。一人よりも二人の生活のほうがいいなあと思う。
車も買った。乗るの怖いけど、こうでもならないと一生乗れるようにならなかった気がする。

12月:小説の一週目を書き終わる。
会社の忘年会があった。楽しかった。やっぱりこの会社は他の会社とは違う何かがあると思った。
小説の二週目を書きはじめる。
妻のお腹はどんどん大きくなっている。子どもも最近おれのことを認識しているっぽい。おれの手や声に反応する。
子どもの名前がたぶん決まった。

来年:育児も仕事も小説もぜんぶやっていきたい。
子どもがおれを進ませてくれている。
一人じゃこんな未来には来られなかった。
ありがとう。来てくれて。
無事に産まれてきてくれ。育てるから。
一人じゃ育てられないけど。一人じゃないから。
みなさん、ありがとうございます。
来年もよろしくお願いします。

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