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札幌市内ブックオフ探訪(その9:清田区初上陸編)

本日は、札幌市清田区にあるブックオフを巡る。
私は2022年から北海道に住み、これまでに道内160以上の市町村(全体の8割強)に訪れたことがあるのだが、どういうわけか札幌の清田区には一度も行ったことがなかった

清田区は札幌の区の中で唯一鉄道が通っておらず、公共交通機関はバスしかないため、無意識のうちに敬遠していたのだろう。
今回、ブックオフに行くというしっかりとした目的ができたため、ようやく清田区に行くことができる。


地下鉄福住駅から、清田区里塚中央まで

まずは、地下鉄東豊線の南側の終点、福住駅に行く。

地下鉄東豊線:福住駅

福住駅から地下を通り、福住バスターミナルへと出る。

福住バスターミナル:バス案内

福住バスターミナルからは、主に清田区や北広島市大曲方面に行くバスが出ていて、鉄道のない清田区に行く人を中心に、多くの利用者がいる。

8番乗り場の千歳駅前行きに乗る

福住バスターミナルの8番のりば、「千歳駅前」行きに乗る。
このバスは清田区、北広島、恵庭を経由してJR千歳駅まで行くロングランのバスだ。

まだ発車まで20分ほどあるが、どれほど混むか分からないので早めに並んでおく。
この乗り場には北広島や柏葉台団地など、色々な方面に行くバスが出ているようで、私の乗る千歳駅前の出る10分前に「北広島駅行き」のバスがやってきた。

すると、後ろに並んでいた人から突然「すいません」と声をかけられて動転した。どうやらその人(とさらに後ろに並んでいた人)は北広島行きのバスに乗るつもりで、前にいた私がバスに乗り込もうとしなかったので、気づいていないのかと思い声をかけたらしい。

私はそのことに気づかず、要領の得ない日本語で「1本後のに乗りますから、大丈夫です」と言った。
最初は私の言葉を理解しかねていたようだが、(相手の認知能力に問題があるのではなくて、私の滑舌が悪すぎるのが原因)身振り手振りを交えて話したら何とか分かったらしく、彼らは北広島行きバスに乗り込んでいった。

後から、「ああ、『1本後』じゃなくて、『千歳駅前行きに乗りますから』と言った方が分かりやすかったなあ」と反省した。
(たとえ他の言葉を聞き取ってもらえなくても、「千歳」というワードさえ相手の耳に入れば何とか分かってもらえるという理由)
ただでさえコミュニケーションに難があるのだから、なるべく他人に伝わるような単語選びをせねばならない。

北広島行きが出た数分後に、私の乗る千歳駅前行きが来た。
並んでいたので無事着席できたが、乗客は結構多く、始発の時点で10人ほどが乗っていた。

20分ほどバスに乗り、1つ目の目的地「ブックオフプラス 36号美しが丘店」の最寄バス停「里塚中央」に到着。

ブックオフ36号美しが丘店

里塚中央のバス停

とうとう、初めて清田区の地に降り立った。

バス停から、ブックオフプラス36号美しが丘店が見える

このバス停はブックオフの目の前にあるから、公共交通でもアクセスしやすい。

ブックオフプラス 36号美しが丘店の外観

非常に立派な佇まいだ。
郊外の店舗であるし、これは期待できそうだと胸を弾ませる。
時刻は9時40分頃。まだ開店まで時間があるので、店の近くで待つ。

ブックオフの駐車場

ブックオフの駐車場には、「お売り下さる方専用」と書かれている。
おそらく、店の目の前にある駐車場については、客の便利を考えて売る物がある人専用としているのだろうが、そんなのお構いなしに駐車する人が多そうではある。

しかしまあ、3月中旬だと言うのに辺りはかなり寒い
冷たい風が吹き荒れていて、もし今が真夏だったら涼しくて快適だろうなと思わせる、クーラーのような風だ。
車で来ている人なら車内で待機することができるが、私の場合は外で待つ他ない。まあ、当たり前のことではあるけれど。

ブックオフ周辺の景色

ブックオフの隣には、「コーチャンフォー」という書店(写真右奥)があるようで、建物の大きさから察するに、大規模な書店だと思われる。
私は古本専門なのでここには立ち入らないが、郊外のこのような場所に立派な本屋があるのを見かけて、何だか嬉しい気分になる。
ネット通販の普及で本屋は厳しい環境に立たされているが、本屋には「偶然の出会い」を楽しめるという良さがあるから、本屋は社会インフラとして残っておいてくれると有難い。

開店時刻の午前10時が近づき、駐車場には数台の車がやってきていて、車から外に出て開店を待機している人も出てきた。
私もあまりの寒さに痺れを切らし、店の入口の前で数人の客とともに待っていると、ようやく扉が開いた。

さっそく本の売り場(2階)へと急ぐ。

岩波文庫(110円)の品揃え

すぐさま岩波文庫の売り場に行ってみるも、品揃えは意外と少ない。
「諸国民の富(一)」「孫子」「モンテ・クリスト伯(一)」など6冊。
郊外の店舗にしてはかなり少なく、先ほどの寒さも相まってテンションがかなり下がった。

講談社学術文庫(110円)の品揃え

講談社学術文庫についても、「経済学入門」や「論文の書き方」など5冊のみ。

岩波新書(110円)の品揃え
岩波新書+岩波ジュニア等の品揃え(全て110円)

岩波新書については、普通~少し多いくらいの品揃えだった。

結局、この店では何も買わなかった。
美しが丘店では100円引きのクーポンが使えたので、何とかして2冊くらいは買いたかったのだが、特に興味を引く本がなかったので仕方がない。

今までの経験から、郊外店舗は岩波文庫の品揃えが多いとばかり思っていたが、この美しが丘店の状況を見るに、必ずしもそうではないらしい。

清田区美しが丘1-4付近

で、この店舗を散策しながら考えていたことがあったのだけど、そういえばブックオフって店内にいつも同じBGMが流れていたような?
でも、最近は何かコンビニで流れているような音楽ばかりが響いている。
疑問に思い調べてみると、例のBGMはハードオフ専用らしいことが分かった。

里塚中央⇒清田区役所⇒ブックオフ平岡店

従来の予定では、ここを見た後は平岡のイオンモールに行き、そこで1000円カットを利用してから帰ろうと思っていたのだが、収穫がなく不完全燃焼なので、もう1店舗行くことにする。

同じ清田区にある「平岡店」までは、Googleマップによると徒歩45分くらいかかるらしいが、まあしんどかったらバスを使えばいいやということで歩き始める。

ニトリ平岡店を望む

私が歩いている国道36号は、通称「サブロク」と呼ばれる幹線道路で、札幌から千歳や苫小牧などを経由して、室蘭まで繋がっている。

道路沿いにはロードサイド店舗が立ち並び、自家用車を持っていればかなり便利そうな印象があった。

西友清田店

国道36号を北に進み、西友清田店が見えてきた辺りで、右に進路を変える。
ここからは道道341号線を厚別方面に進む。

清田区総合庁舎の建物

しばらくすると、清田区総合庁舎という建物が見えてきた。
ここには清田区役所のほか、清田区の図書館も入っているようだ。

同じ建物に、区役所、保健センター、消防署、図書館が入っている

せっかく来たので、清田図書館の中を見てみる。
かなり広々としていて、自習室も完備されており、まるで1つの自治体の図書館と言っても遜色のない立派な図書館だった。

文庫本コーナーを中心に蔵書を確認し、内田樹著「下流志向」と、講談社学術文庫の「日本宗教辞典」の2冊を借りた。

「下流志向」については、以前ブックオフの110円本で見かけ、読んでみたいと思っていたので、今回偶然出会うことができて良かった。

清田区役所からのバス案内

清田区は鉄道のない区であるから、やはりバスはかなり使われているようで、役所のエントランスにもバスの接近情報を伝える液晶モニターが置かれていたし、こんな情報量の多い看板もある。

私は公共交通全般が好きで、もちろん路線バスも好きなのであるが、そんな私でも、ここまで系統が多岐にわたっていると、全てを把握するのは容易ではない。

突然坂道が現れる

清田区役所を見学した後は、ブックオフ平岡店へ向けてひたすら道を北上する。
今までは平坦な道が続いていたが、突然上り坂が始まった。
雪がだいぶ溶けているので歩きやすいけれど、もし凍っていたら大変だと思う。

ブックオフ平岡店の外観

それからしばらく歩き、ドン・キホーテ平岡店を過ぎると、ようやくブックオフ平岡店に到着した。

店の外観は、先ほどの美しが丘店と比べるとやや年季が入ったような雰囲気だが、実情は中に入ってみなければ分からない。

ブックオフ平岡店

さっそく、岩波文庫(110円)の品揃えを見てみる。

岩波文庫(110円)の品揃え

…こちらも品揃えはそれほど多くはない。
「銀の匙」(2冊)、「育児の百科」を見るのはもう何度目だろう。
その他には、「グリム童話集(一)」「水滸伝」などがあった。
実際数えてみると意外と冊数があるが、文学系の本ばかりに偏っているし、「水滸伝」だけで5冊あるから、目に映る印象としては少ないなと思ってしまう。

また、110円ではなかったが、岩波の「舞姫・うたかたの記」(森鷗外)が別の売り場にあって、こちらは税込200円となっていた。

講談社学術文庫(110円)の品揃え

講談社学術文庫については、「現代倫理学入門」「論文の書き方」などがあった。

岩波新書(110円)の品揃え
岩波新書+岩波ジュニアの品揃え(全て110円)

岩波新書、岩波ジュニアなどに関しては、普通~やや多いレベルの品揃えだろうか。

新書本の数々

この店舗も、以前行った月寒東店と同様、本がたくさん積まれていた。

最終的に、岩波の「きけ わだつみのこえ」1冊を買った。
(先ほどの本棚写真に映っていないのは、本を棚から取り出した後に写真を撮ったからです)

2店舗回って収穫が1冊と考えると、やや残念というのが正直な感想だが、そもそもブックオフを回ることそのものが目的であるから、何冊本を買うかは別に問題ではないのだ。

昼ご飯+清田区についての雑感など

さて、漸く清田区にある2店舗を制覇し、これで札幌市内19店舗中、16店舗に行ったことになった。
時刻は11時30分過ぎ、昨日は店を探し歩いて疲れたので、今回はさっさと昼ご飯を食べてしまおうと思う。

かつや札幌清田店

ブックオフのすぐ向かいに、「かつや」があったのでこちらに入店。
かつやで食べるのは2022年の5月、札幌から逃げるように苫小牧に行った時以来のことである。

店に入り、カウンター席に座る。
カウンター席では、なるべく近くに人がいない席に座る。
これは鉄則であるが、今回はそれが裏目に出た。

私の隣の席には、湯吞みが1個置かれていた。
もう出て行った客のものかなと思っていたのだが、私が注文を考えていたら突然おじさんが隣に座ってきた。
どうやら、トイレか何かで席を立っていたらしい。
というわけで、周りのカウンターががら空きだったのにもかかわらず、私とそのおじさんだけが隣り合わせで席に座るという、傍から見たら親子と勘違いされるような様相になってしまった。

まあそれは別にどうでも良くて、当時は程よい疲労感と清田区の店舗を回った達成感が頭の中を駆け巡っていて、半ば「ゾーン」に入ったような状態になっていたので、おじさんのこともそれほど気にならなかった。

かつやでご飯を食べた後は、中央バスの平岡営業所へ向かう。

中央バス平岡営業所の様子

平岡営業所から、地下鉄福住駅や札幌駅方面に行くバスが出ている。
あまり時刻表を調べずにいたのだが、かつやの店内で簡単に確認してみると、福住行きは1時間に2本くらいしかない(それに、毎時05分と15分にバスが出るから、15分を逃すと50分間バスを待たねばならない)ことが分かった。

まあ予定も何もないし、別に50分待っても構わない、足掻こうとするだけで無駄だと考えて、かつ丼を食べることに注力した。
昼飯を食べ終わって時刻を確認すると、まだ12時過ぎ。
かつやから平岡営業所までは徒歩5~10分くらいで行けるので、バスには余裕で間に合った。

清田区への旅も、あっという間に終わりを迎える。
札幌市内に属しているはずの清田だが、何となく札幌っぽくないような雰囲気を感じた。同じく鉄道のない石狩市と何となく似ているように思った。

生活も便利そうだなという気がしていて、道路沿いには色々な店が並んでいるし、区役所と同じ建物に図書館が入っている。
自家用車を持っている人なら、この辺のエリアを少し走るだけで、簡単に用を済ませられるだろうなと感じた。

公共交通に関しては、鉄道がないのはマイナスポイントではあるが、それでも路線バスがかなり健闘していて、札幌駅や地下鉄駅方面に行けるバスが頻繁に出ているので、車が無くても生活はできそうだと思った。

可能であれば、福住から先、国道36号沿いに地下鉄を建設し、鉄道だけで清田区まで行くことができるようになれば、より利便性の高い地域になると思う。
だが、もし地下鉄が開通した暁には、私が此処で感じた「札幌らしくない札幌」を思わせる情景は、見るも無残に消え失せてしまうことだろう。

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