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おにぎりにあう海苔とは?

〈究極のおにぎり〉の記事の続きです。先日、かっぱ橋にある〈ぬま田海苔店〉さんに行ってきました。

どんな海苔屋さんなのかは御本人のnoteを読んでいただくのが一番、早いか、と。有明海の初摘み専門というかなりめずらしい海苔屋さんです。noteもまだ二本しかありませんが必読です。個人的には「なぜアパレルから海苔屋さんに?」という部分を詳しく聞いてみたいです。

海苔については拙著『おいしいものには理由がある』のなかで宮城県、東松島の相澤太さんの海苔を紹介していますが、彼が修行したのも有明。やはり産地として一日の長があるらしいです。

有明における海苔づくりの特徴は支柱式という独自の養殖方法。他の産地では筏を浮かべる(浮流し式)のが一般的ですが、有明では海に支柱を立て、そこに網を張って海苔を育てます。有明海は干満差が大きいため、満潮時には海苔が海水に浸かり、干潮時には海面から海苔が顔を見せ、日光を浴びてうま味を蓄えるというメリットが。支柱式で育てられた海苔はそのやわらかさが特徴。一方の浮流し式は厚みがあり、しっかりした食感が特徴……と教科書で習いました。一般的にすぐに食べるなら有明産、巻いてから時間が経過する場合は浮流し式の海苔を選ぶべし、みたいな感じです。

しかし、その理解は浅薄だったようです。有明海は意外と広く、多様性が半端ない。七種類、試食させてもらいましたが、それぞれの個性に目からうろこがボロボロ落ちました。

さて、海苔で巻いてしばらく経ってから食べるおにぎりに向いた海苔を、と聞いて、おすすめされたのが『芦刈壱重1』という海苔。有明海の海苔ですが、しっかりとした厚みがあり、噛むほどに旨味が広がります。有明の海苔といっても色々あるんですね。

早速、買って帰りおにぎりに巻いてみました。

海苔の天敵は光と湿気、空気です。遮光性の高いパッケージに入っているのもおいしさの証拠。

おにぎりに海苔を巻くときは、底の部分まで巻くようにしましょう。長方形のおにぎりを中央において、包むようにすると上手に巻けます。

こんな感じ。吝嗇家の人は海苔を三角形に切って巻き込みますが、海苔の割合が少なくなるので個人的にはあまり好きではありません。海苔がいっぱいのほうがおいしいですよね。

おお、これはアルティメットオニギリに少し近づきました。にぎりたてを巻いて食べるならもちろん薄い海苔がおいしいと思います。しかし、時間が経って味が出てくる海苔というとやはりこういうタイプがいい。炊き方は前回の記事の通りで行くとして、あとはコメの品種と水の選択だけです。こちらは今後、研究していきます。沼田さん、ありがとうござました!

ところで海苔はどのように料理に活用していったらいいのでしょうか? 海苔と相性のいい素材をFoodpairling.comで検索してみました。

なんと、海苔と最も風味化合物が近いのはフルーツのグァバという結果が。どんな料理にすればいいのか、すぐには思いつきませんが、東南アジアではグァバに唐辛子の粉と塩をかけて食べるので、案外魚料理の付け合せに使えるかもしれません。

次に相性がいいのがバター。バターと海苔は相性がいい。

ということはトーストを焼いて、バターと海苔をのせて食べるのは理に叶っているということになります。他の海藻とは明らかに違う海苔らしい香りの元であるノルカロチノイドがバターの香りと共通しているからでしょう。ということは卵もいけるはずです。

次の牡蠣はなんとなくわかりますよね。磯の香り(ジメチルスルフィド)が共通している。牡蠣の磯辺焼きは絶品です。ということはウニを海苔で巻いて食べると香りがハモって、印象を強められるということでもあります。

緑茶の相性の良さも海苔茶漬けで証明済。たしかに緑茶を飲んだ時、なんとなく「海苔っぽい香りがするな」と思うことがありますが、そういうことでしょう。

オリーブオイルだとアルベキーナが高相性。醤油よりも相性がいいのが面白いです。醤油をつけるよりもオリーブオイルと塩をつけて食べたほうがおいしいかもしれません。

魚介類との相性ではスモークサーモン、貝類などが組み合わせやすそう。

肉類では豚のロース肉とベーコンが目を引きます。しっかりと焼き上げたロース肉にパウダー状にした海苔をまぶすといいかもしれません。

参考までに野菜も載せておきますが、面白いのはフレンチフライと海苔の相性の良さですね。これは使えそう。あと使えそうなのはマッシュルームですね。さて、色々な料理を考えてみましょうか。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!