見出し画像

目玉焼きの作り方

目玉焼きは簡単な料理の代名詞ですが、なかなか難しいものです。プロセスを確認しながら目玉焼きの作り方を確認していきます。

まずは〈卵の保存〉から。卵は通常、冷蔵庫に保管しますが、野菜室は避けた方がいいでしょう。卵の殻には気孔という細かな穴があり、ニンニクやタマネギのような匂いの強い野菜と一緒にしておくと、匂いがすぐにうつってしまうからです。余談ですが、トリュフと卵を一緒に保存して、香りを移したトリュフ卵はその性質を逆に利用したものです。

購入した卵はできれば包装のまま、冷蔵庫のあまり冷たくない場所にしまいます。卵は振動に弱いので、安定した場所に保存してください。また、卵は通常、とがった先端を下にして保存します。卵の丸い方には気室という空気が入った層があり、鮮度を失うと黄身が空気に触れ、新鮮さが失われてしまうからです。

目玉焼き(2人前)
卵 2個
(植物油 小さじ1/2)
(バター 小さじ1/2)いずれか、または両方を好みで

まず目玉焼きになにを求めるか、を決めます。今回、追求するのは〈白身は完全に凝固しているが、黄身は温まっているが滑らかなクリーム状の状態〉です。

美しい仕上がりにするために卵はあらかじめザルの上に落とし、水溶性卵白を取りのぞきます。水溶性卵白には鶏の餌に起因する匂いがあり、これを取りのぞくことで味も良くなります。

水溶性卵白を取りのぞいた卵は小さな容器にうつしておきます。ここまでが下準備です。

卵を焼く油脂にはバターが最適。その理由は風味の良さと目で温度がわかるからです。少量のバターを鍋に入れ、弱火にかけます。卵の凝固温度は

黄身:65度~70度
白身:75度~78度
なので、火を強くする必要はありません。弱火を守って下さい。また、蓋をすると黄身が先に固まってしまうので、蓋はしません。

ハロルド・マギーは「焦げずに軟らかい目玉焼きを作るためのフライパンの温度は、バターの泡立ちが収まり色づく手前、または油に水を一滴落としたときに跳びはねなくなる120℃前後が理想的」(『マギーキッチンサイエンス』共立出版)としています。それよりも高い温度で加熱すると白身がカリッと香ばしくなるので、醤油などをかけてご飯と一緒に食べる時には高温で焼くのもおすすめです。

バターの泡立ちが収まった頃を見計らって卵を投入します。この時は低い位置が投入します。卵黄は『卵黄球』という細胞の集まりです。卵黄級は衝撃に非常に弱く、組織が潰れてしまうと、加熱したときにゴム状になってしまいます。とろりとした食感がなくなるので、扱いは丁寧に。

ゆっくりと三分から四分、加熱します。焼き上がりの目安は〈黄身の周りの卵白が凝 固したら〉です。

底がかすかに色づき、まわりがちりちりと硬くなってきました。

皿に移して塩を振ります。ここで、注意点が一つ。塩を振るのは白身だけです。黄身に塩を振ってしまうと、水分が抜け、タンパク質が凝固し、白い斑点ができて見た目が悪くなるばかりか、食感まで損なってしまいます。

目玉焼きは白身が外側に広がるので丸い形にすることは困難です。また、香ばしさと舌触りはトレードオフの関係にあります。このように焼くと白身の舌触りが若干粗くなるのも難点。

それらの問題を解決するには型をつかうのが一番簡単です。低温で調理するため火にかけていないフライパンとセルクル型に溶かしバター、またはオリーブオイルを刷毛で塗ります。

型に卵を割り入れます。水溶性卵白は取りのぞいくのがベターですが、今回はそのまま割り入れています。こちらも弱火で加熱していきます。

卵の黄身は必ず寄るので菜箸などで黄身の位置を調整し、固定します。黄身が動かなくなれば箸を抜いて、じっと待ちます。

白身が完全に固まりました。弱火を守ることで滑らかな白身の食感が得られます。

皿に移すとこんな感じ。セルクル型を抜きます。黄身の外側の部分の白身が具合良く固まってます。

写真で見るとこれでも白身が完璧ではないことがわかります。(下部に穴が空いているのは加熱温度が高すぎるのです)火が若干、強すぎたことが推測されます。完璧な目玉焼きをつくるには温度管理がすべて。温度を一定に管理できるホットプレートで焼くのがオススメです。(フライパンは弱火でも温度が上昇しつづけるが、ホットプレートは一定のため)

おまけのtipsです。セルクル型がなかったらアルミホイルでもつくれます。ある程度の長さにアルミホイルを引き出して、、、

半分に折ります。

さらに半分に折って

さらにもう半分という具合に折っていきます。

四回目に折りたたんだ状態。これを丸めて、ホッチキスで留めます。

多少、不格好ですが、これで充分に代用できます。


撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!