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冷やし煎茶の入れ方と考察

昨日、アップした『狭山の的場園で茶の製造工程を見学してきました』という記事の続きです。

普段の暮らしにおいしいお茶があるとうれしいものですが、お茶を淹れるには急須と細かな温度管理が必要で、やや面倒な部分もあります。そこで今回、オススメするのは冷やし煎茶です。

今回は『的場園』の二番茶を使いました。

お茶はカレー用スプーン1杯、6gが目安。多少の誤差は問題ありません。

水1lに対して茶葉の量は15gが目安。

冷蔵庫で6〜8時間、あるいは一晩、抽出します。見落としがちなポイントは容器をきちんと洗うことです。蓋もきちんと洗い、雑菌が入らないようにしましょう。また、ペットボトルのお茶と違って、酸化防止剤としてのビタミンcを添加していないので、早めに飲みきりましょう。

出来上がり。色が深いのは深蒸し茶を使ったから。ほのかな甘みとすっきりした後味が楽しめます。

今回は二番茶を使いましたが、一番茶を低温でじっくりと抽出することで玉露のような味にすることも可能。その理由は成分の抽出温度にあります。

お茶の味は

アミノ酸(テアニン)の〈旨味〉
カテキンの〈渋み〉
カフェインの〈苦み〉


の3つが関与しています。この三角形のバランスがいいのがいわゆる『おいしいお茶』です。アミノ酸は低い温度でも抽出されますが、カテキンとカフェインはある程度の温度がないと抽出されません。

茶の淹れ方による呈味の味認識装置による評価』(内山裕美子、大森正司ら)という論文によると、実験では旨味は60℃をピークでそこからは温度を上げても横ばいなのに対し、渋みは湯温の上昇とともに増加していくという結果でした。ざっくりとした説明ですが、

アミノ酸は 60℃
カテキンは 70℃~
カフェインは 80℃~

多く抽出されます。(とてもざっくり言ってますが、要点としてはこんなところだと思います)

つまり、渋みと苦みの少ない甘みのあるお茶を淹れるには低温で抽出するのは理に適っているのです。逆に渋くて苦いのが好きというのなら高めの温度で淹れればよく、理屈の上ではアミノ酸+カテキン(旨味+渋み)を味わいたいのなら70℃で抽出するのが一番良い、という結論になります。また、普通にお茶を煎れて、一煎目、二煎目、三煎目と比較した場合、旨味は一煎目が最も多く、二煎目からは一気に減少したのに対して、カテキンとカフェインの減少はそれよりもゆるやかなことがわかっています。つまり、水に溶けやすいアミノ酸は一煎目でほぼ抽出されてしまっているので、低い温度で何度も淹れるよりも、丁寧につくった水出し煎茶をじっくり味わうほうが、旨味はより味わえるということ。

この記事では二番出汁は必要ないと書きましたが、このあたりの考え方は『出汁』と似てると思います。煎茶の研究記事はもう一回だけ続きます。

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