見出し画像

京丹後の食材をめぐる旅

1/30、1/31に農水省の〈農泊地域と料理人のマッチング事業〉の取材で、京丹後地方に行ってまいりました。

ところで農泊というのは聞き慣れない言葉。農水省の定義では「農山漁村において日本ならではの伝統的な生活体験と農村地域の人々との交流を楽しみ、農家民宿、古民家を活用した宿泊施設など、多様な宿泊手段により旅行者にその土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行を指します」とのこと。

農山漁村の所得向上を目標にしている農水省はこの農泊を推進しています。人口減少時代を迎えるなか、外から人を呼び込んでお金を稼ぎたい、というわけです。

京都の北に位置する京丹後地方も農泊体験を目玉に観光客、移住者を増やそうと頑張っているそう。今回は料理人や料理研究家の先生がたを招いて、地元食材への理解を深めてもらい、最終日にはそれらの食材を使って料理をし、地元の生産者に提案する試食会も行いました。ツアーのアレンジは農水省からこの事業の一部を委託されている(株)パソナ農援隊の方々。

まず、はじめに訪れたのは地元のスーパー『いととめ』。店内の写真は撮っていませんが、品揃えがすごい。ニッチな調味料から在来品種の野菜まで選ばれた商品が並んでいます。このお店、都内にあったらすごい人気になりそう。

まずは郷土料理の『バラ寿司』をいただきました。丹後バラ寿司はちらし寿司のばらずしではなく、サバのおぼろを用いるのが特徴の郷土料理。もともとは焼き鯖を使っていたようですが、今ではサバ缶を使うのが一般的。そのためか、このあたりのスーパーではでかいサバ缶が売られていました。

「最近のブームの影響でサバ缶が品薄。価格も1.7〜1.8倍くらいになってしまったのでなかなか大変ですが」

との話。これはプラスチックですが、本来はまつぶた(松蓋)という浅い木箱に盛り付けるのが昔ながらの提供方法。

四角く切り分けて提供されます。どうやら昔は上から押して、熟成させていたという歴史もあるようですが、現在ではこんな形。具材は甘辛く炊いてほぐしたサバ缶、しいたけ、それに錦糸卵、かまぼこくらいまでは決まっており、季節によってはフキなどを乗せる家もあるそう。関西なのでかなり甘めの味付けです。

もう一つの郷土料理は『ぼたもち』。他の地方では萩の花が咲く春はおはぎ、牡丹が咲く秋はぼたもち……かと思いますが、丹後では年中、ぼたもち。一説には夏が終わるとすぐに冬になる丹後のぼたもちは秋(飽き)がこないので年中、ぼたもち……らしいです。本当かな? という感じなので、このあたりはいつかきちんと調べます。

もち米にうるち米を混ぜることで冷めても固くならない、とのこと。いととめさんのぼたもちはおそらくうるち米の比重がかなり多いのだと思われますが、軽い味でした。

あんこの糖度も40度とのこと。一般に流通しているあんこの糖度は52度が基準で、大量生産品で保存を効かせたい場合は58~62度にする場合もあるので、かなり甘さは控えめ。冷凍して地方発送すれば売れそうだけど……と思いましたが、ここまで来て食べることに意味があるのかもしれません。

ここから先は

5,124字 / 41画像

¥ 200

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!