見出し画像

謎のつけ合わせウーフィレ

昔の料理本をぱらぱらとめくっていたら『Oeufs Filets』(ウーフィレ)なるつけ合わせを見つけました。直訳すると『卵の糸』という料理ですが、1952年のMOF(フラン ス最優秀料理人)コンクールの課題料理にもなっています。(鴨のオレンジソースのつけ合わせとして)

今ではまったく見かけなくなったつけ合わせに興味を持ったので、試作してみることにしました。あ、はじめに書いておきますけど、これ見て『作ってみよう!』とは思わないでください。理由は後述します。

ウーフィレ
卵黄 五個分
砂糖 300g
水 300g

材料はまったくのシンプル。

卵黄だけを使います。カラザを取り除いておくことが成功のコツと1952年のMOF受賞者、マルク・アリックスさんが解説していました。

水と砂糖をあわせて加熱します。

105度まではあっという間に上昇するので、ここから注意して120度まで温度を上げます。文明の利器、温度計を投入したので楽ですが、当時は少量を水にとって手でまるめて判断してました。

氷水を用意して、シロップを少量垂らし……

手で丸くなれば120度前後です。ちなみに飴状に固まったら、125度。

卵黄を溶いてしぼり袋に移しておきます。

で、シロップのなかに糸状にぐるぐると落としていきます。1分間、火を通すと

こんな感じに麺状に固まるので、氷水に落とします。お湯に落とすと卵黄が散って しまって形になりませんが、糖蜜のなかだと上手に固まる技法です。

どんどんつくっていきましょう。なんだか楽しいですが、コンクールの制限時間があ るなかでこの作業をしたら気が狂いそうです。多分、もっと細くつくらなくちゃいけないんですよね。 しぼり袋の口を切りすぎたよう。気をとりなおして作業を続けます。

できあがりました。味見をしてみましたが、旨い・・・・・・ものではありませんが、決し てまずくはありません(笑)うすら甘い火が通った卵黄です。調べたところ『飾り』 的な意味合いが強いつけ合わせのようです。作らないでくださいと書いた理由ですが、率直に言って・・・・・・たいして美味しくないからです(笑)
「それはお前の作り方が悪いからだろ!」
という声もあると思いますが、ウーフィレという料理を現代に復活させるためにはもう少し研究が必要のよう。

氷水に落とさなかったものを味見したところ、当たり前のようにかなり甘いです。しかし、どこかで食べたことがあるような気もします。思い至ったのが長崎銘菓の鶏卵素麺。たしか作り方もほとんど同じです。ブラジルやマカオ、スペインにも似たものはありますが、中世にポルトガルから伝来してきた南蛮菓子とこのフラ ンス料理はひょっとすると同じ起源を持っているのかも知れませんね。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!

ありがとうございます。料理のリクエストがあればコメントに是非
60

樋口直哉(TravelingFoodLab.)

樋口直哉 作家・料理家 主な著作として小説『スープの国のお姫様』(小学館)ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)など。新刊『新しい料理の教科書』が1/17日に発売されました!

試したくなるお話

noteで見つけた、いろいろな方によるためになるお話や試したくなるお話などなど。 どちらかというと自分メモ。
2つ のマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。