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真空調理を使ったりんごの赤ワイン煮と最近の取材

最近の取材としては10/28日に開催された「vs東京サミット2018」に行ってきました。

会場となったのは渋谷区神泉町にあるホテル+レストラン「ターンテーブル」。1階がバル&カフェと徳島県食材を販売するマルシェ、2階がレストラン、それより上階がゲストハウスになっています。徳島県はサテライトオフィスを積極的に誘致するなど地域活性化に意欲的な県。この施設はその一環として展開されているもの。

この徳島県のVS東京というコンセプトを最初に見た時(徳島県の人の名刺に刷ってあるので)意図がよくわからなかったのですが、対決ではなく「東京と対になる」という意味なんですね。徳島県は基本的に大阪という一大消費地を相手に商売をしてきたわけですが、これからは東京もお客さんにしたいという目論見があるのでしょう。最新の国勢調査で大阪の人口が減少しましたこともあるので、これは当然の戦略。

しかし、地方創生絡みでは「東京の一極集中を是正しよう」(一体、何年前の話だという議論ですが)という意見と「一大消費地である東京を相手に商売しないと生き残っていけない」という矛盾がなんとも悩ましいところです。現状、成功している解決策は『交流人口』を増やすこと。交流人口を増やすことで、最終的に移住者が増えるという仕組みは取材していると時々見かけます。

構成は第一部としてパネルディスカッション、第二部が食材の試食でした。飯泉徳島県知事をモデレーターに迎えたパネルディスカッションの登壇者は以下の四名+二名。

(東京会場)
日本料理かんだ 店主 神田裕行氏
ターンテーブル シェフ ジョーダン マクラウド氏
プラネットテーブル(株) 代表取締役 菊池紳氏
(株)代官山ワークス 代表取締役 丸山孝明氏
(徳島会場)
(株)神山神領 取締役 神先岳史氏
つむぎカフェ オーナー 大杉まや氏

こういったパネルディスカッションは順番に話すだけで議論は深まらず、やめたほうがいい形式だと思うのですが、よくありますよね。とはいえ、感銘を受けたり、興味深かった話もいくつか。ミシュランガイドで三つ星を獲得し続けている神田さんの話で興味深かったのはやはりインバウンド需要。もはや、お店のお客さんの七割は外国からのゲストとのこと。ちなみに徳島県の魚介類は非常に高品質で三ツ星クラスのレストランで多く使われています。播磨灘、紀伊水道、太平洋と質の異なる海に面している地の利ですね。

一番、興味深かったのはプラネットテーブル(株)の菊池さんのお話。徳島県の食材を商材として扱っている理由は3つあり、「これまで東京の食料庫として機能していた北関東、山形と比べて雪が降って出せない時期に供給できる」「神戸や大阪と近い関係からか情報に敏感な生産者が多い」「生産地としての多様性。れんこんを一つ例にとっても、砂質で収穫されるものと粘土質で育ったものを提供できる」とのこと。たしかに徳島県でとれる砂地で育ったニンジンは非常に高品質で、見かけたら試して欲しい食材の一つです。

神山町のお二方とはテレビ会議のシステムで中継でした。地方創生の成功例として語られることの多い神山町は行ってみたい場所の一つです。地方創生で本を書かないかという話もあるのですが、僕のなかでいまだに答えが出ていません。地方創生の成功例として語られる町は他に例えば岩手県紫波町(取材半分済み)、高知県本山町、徳島県上勝町、島根県の海士町(取材済)などがありますが、どこも財政の健全さを表す財政力指数が非常に低い(ようは自分で稼いでいない)自治体なんですよね。別に悪いわけではないので、これをどう考えるか。難しいテーマです。

第二部は食材の試食です。ターンテーブルのシェフが担当したこれがなかなか素晴らしくてですね。例えば鹿肉は薪で軽くたたきにしてあるのですが、どれも素材の味がわかる穏やかな味付け。外国の料理っぽいなぁ、と思ったのですが、その理由を考えてみると、どれも旨味を足してないんですね。日本料理だと出汁とか入れてしまうところですが、それがない。野菜なら野菜を焼いただけ。加えるとすれば香辛料だけなので、それで印象が軽くなる。こういったブッフェ的な料理をつくる機会もあるので、勉強になりました。

徳島県の食材の品質は押し並べて高いのですが、それは正直地方はみんな同じ。あとの差は流通だとか、商品の開発力でしょうね。昔は大阪くらいまでしか運べなかった食材が現在では東京まで変わらない品質で出回るようになった、ということか、と思います。

真空調理を使ったりんごの赤ワイン煮

さて、真空調理の講義です。今まで肉、魚、野菜を扱ってきましたが、今回は果物のコンポートをつくります。りんごを使っていますが、洋梨でもおいしくつくれます。

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