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旧友との語らい、そして思いがけなく決まった2023年の目標設定

持病の影響で極端に体調を崩して、ソファやベッドで休みながら家事をしていた年末。

凄まじい頭痛のなか握りしめていたスマホに映し出されたYahoo!ニュースの平井理央さんの離婚記事。定かではないが、確か彼女の元ご主人は某タレントさんとの不倫疑惑で裁判の渦中にいると書き立てられていたような。

容姿に関して他人から散々な言われ方をしてきた私は、こんなに綺麗な方でも夫に浮気されてしまうのかと、小川彩佳さんの離婚報道の時と同じ意味でショックを受けた。平井さんのこと、自分の過去の恋愛を思い出したことで更に痛みを増した頭痛を治めようとスマホの電源を切るに至った。


「世の中って不安定だと思うのよ。お金と愛ほど不安定なものはないわ」

と、年明けに防寒、コロナ対策の完全装備で一瞬誰だかわからないような恰好で我が家を訪ねてきた高校時代の友人が怒ったように言った。恐らく、平井さんの離婚について話題にしたのだろう。

このところの彼女は世間を斜めではなく、逆さまにして眺めているような考え方をするようになった。元々、この友人は高校生の時から人目を引くような美人で、かつ頭が良く、人生観にも卓越していた。十代の頃から難解な哲学書を読み耽っては私にその解説してくれるような人だったが、今はそれに人生経験がスパイスとなり、悟りの境地にたどり着いたような感じなのだ。

「おまけに愛って、単純に見えて複雑でとても面倒なものよ」


確かに、それは恋愛経験が乏しい私ですらわかる気がする。
京都の友人が送ってくれた一保堂の緑茶を啜りながら、米津玄師の『シンデレラグレイ』という歌の、「あなたという不自由があたしを自由にしていたんだって」というフレーズが頭の中を通過していく。

「外見や地位の魅力で結婚すると、お互いにダメになると思うのよ」
「私なんて、見た目で相手にされないけどね。元婚約者のおばあさんに顔でダメ出しされてるんだから」
「でも、その方が見た目目当てでない一族と結婚できるから良いのよ」
「少しは否定してよ(笑)」
「あら、失礼(笑)」

高校時代からの気心知れている友人との会話。とは言え、お互いの欠点は非難せずに補完し合って、どんな時も凛として生きようと励まし合ってきた。イギリス人の友人が盟友ならば、彼女は戦友である。

二十代の頃、私と友人は親しくしていた学生時代の友人から"彼氏にあなた達の存在を知られたくない"という理由で切り捨てられたことがある。落ち込む私に友人は「私達の存在を紹介したら自分の立場が危うくなるような、そんな脆い関係の恋愛に身を投じているあの子のメンタルが心配だわ」ととても憤慨していたのだが、私達が大きなショックを受けたのは言うまでもない。

恋愛は人を変える。
それが若き日の私達が友人との出来事を通して学んだことでもあった。


「さて、2023年のeveの目標はお人好しを治すことに設定よ」

そう言いながら、彼女は私の今年の目標設定の用紙にその文章を書き込む。

「え、ここでもそのセリフを言われるわけなの?(私の"お人好し"は友人たちに毎回指摘されていて、お決まりのお説教パターンと化している)」

すると、友人は1枚の年賀状を私の前に掲げた。それは、私が喪中ハガキを出し忘れたせいで届いてしまった大学の先輩からの年賀状である。

「だってあなたね、何度年賀状を出しても何年も音信不通だった大学の先輩が、結婚して出産したことを見せびらかしたくて急に年賀状を送りつけてくるようになったなんて、あなたが律儀に対応するからでしょ! 年賀状以外の連絡は一切ないんだし、少しはマウンティングされてることに気付きなさいよ! この年賀状からはそう言う空気しか読み取れない! いい、eve。あからさまに攻撃してくる人だけが悪人じゃないのよ、こうやって良い人の仮面をかぶってマウンティングしてくる奴は悪党の極みと呼ぶの」

と言って、酔いの入った友人は大学時代の先輩の年賀状をビリビリに破き捨てた。何故だか今日の友人はとても激しい…と思わず「おぉ・・・」と言って後退った(笑)

「まして、お客様とか、ちょっとあなたを知っただけの人に「eveさんはHSP気質だから、そうなんでしょうけれど」とか上から目線で色々メッセージを送りつけてくる人とか腹が立たないの? 何十年も一緒にいる私だってあなたにそんな失礼で偉そうな言い方したことないはずよ。私はあなたがお人好し過ぎるから、おばあさんになっても安心して死ねないわよ」
「おばあさんって・・・私達、同い年ではないの?」
「それぐらいに心配ってことよ。別に悪人になれと言っているわけじゃないんだから、簡単なことでしょ! 年賀状の1枚2枚や失礼な客のメッセージを無視するのって」

本人意図せず、今年の目標はお人好しを治すことに決まったらしい。


2023年、お人好し脱却目指して頑張ります(笑)


2023年1月8日
春の七草を用意して、用事が出来てちょっと目を離していた隙に何故かそれがおかゆではなくうどんの具となって登場した。母よ、あなたの天然は素晴らしい(笑)

この度はサポートして頂き、誠にありがとうございます。 皆様からの温かいサポートを胸に、心に残る作品の数々を生み出すことができたらと思っています。