いちばんの椅子
保育園には、「いちばんの椅子」というものがあるらしい。皆が狙っている場所があるのだそうな。
息子はいつも、早出で保育園に行っている。
早出の部屋は普段過ごす自分のクラスの部屋ではなく、学年ごちゃ混ぜ。合同で1つの部屋にいることになる。
8時頃になったらそれぞれクラスごとに並んで、自分の部屋に移動していくようだ。
移動の時、列の一番前に並ぶにはどうしたらいいのか?
元々列に一番近い場所にいればいいよね!
誰が言い出したのかは知らない。しかし出入り口に一番近い椅子は、列の一番前に並べる椅子、つまり「いちばんの椅子」と呼ばれ、特に年長さんの間で人気があるのだそうな。
もちろん皆、登園してから時間までじっと座っているわけではなく、部屋の中を移動して自由に遊んでいる。おそらくだけれど、並ぶ前に片付けて、そして椅子に座る時間が少しあるのだろうと思う。
その時座るのは、自分が来た時に荷物を置いた椅子。つまり早いもの勝ち。
息子は「いちばんの椅子」に荷物を置くべく、一番に登園しようと毎日奮闘している。
去年までは、「長いブロック」のために早く登園しようとしていた。なんでも長いブロックは3つしか無くて、先に来た子がいると全部取られてしまうのだそうな。
最近はブロックの話は全然聞かない。椅子の話しか聞かない。対象は移り変われど。「クラスの中で一番に登園したい」ということは変わらないらしい。
ブロックも、列の一番前に並ぶということも。正直私からしたら、そこまで真剣になることではないのだ。でもこういう何でもないようなことに謎の価値が出てきて皆が狙うという。そこにとても「子供時代らしさ」を感じて、話を聞くのは楽しいのであった。
しかし「いちばんの椅子」は、誰が最初に言い出したのだろう。上の学年の子がやっていて、「自分もそうしよう」と思ったのか。それとも一番に並ぼうと考えた時に自然とそういう方法を思いついたのか。
いちばんの椅子の歴史に少し興味がある私なのであった。
息子は今日もいちばんの椅子を目指して走るのだと思う。子どもは元気が一番だね。
ではまた明日。