本。ロウソクの科学

今日は本の話。『ロウソクの科学』(ファラデー著、三石巌訳、角川文庫)を読んだ。

Newton(科学雑誌)の2021年9月号が「科学名著図鑑」という特集で、その中で紹介されていた一冊である。紹介されていたのは岩波書店の方なのだが、Kindle Unlimitedにあったのが角川文庫のものだったので、こちらを借りてみた。

この本は、1860年から1861年にかけてイギリス王立研究所で開催された「クリスマス・レクチャー」という講座の内容を本にしたものである。まず1800年代の話ということで、そこに驚く。そしてタイトル通り、「ロウソクが燃える」ただそれだけについて書かれた一冊である。「ロウソクが燃える」とはどういうことなのか、どういう物質が発生しているのか、その物質を特定するためにはどうしたらいいのか、などなどを沢山の実験をしながら解説している。

実験の中には私が学生時代に習ったことがあるものもあり懐かしかった。ただ、たまに図はあるものの、基本的に文章の説明になるので、頭で想像した実験装置と本物が同じかどうかがわからない。できることなら、この講座をそのまま目の前で見たかったなと思った。

実験するとはどういうことなのか、どういう視点を持てばいいのか、実験の結果をどう捉えればいいのか。そういう「科学的な視点」を持つために、この講座はとても良いものだと思った。ただ、現実に目の前でしてくれているわけではないので、読んだだけではどうしてもわかりにくい内容になっている。

こういう目の前で沢山実験がある講義に触れる子どもたちが増えれば、科学の面白さに気付く子どもも増えるのではないかなぁ。

正直、本書を読んで面白さに気付ける子どもはなかなかいないと思うが、こういう方向の催しが増えるといいなぁとそんな指針になる一冊だなと思った。


ではまた明日。