文字の認識

ここ数日、絵本の読み聞かせ時の息子がいつもと違う反応を見せる。文字を指差して「これは何?」と聞いてくるのだ。

1文字1文字を指差す感じではなく、1行を指でなぞって「これは何?」と聞いてくる。絵本に書いてある文字の存在を認識し始めたのかもしれない。

以前から「あ」に関しては認識しているようだった。「あ」を指差して「『デザインあ』だね」と言うのだ。番組内で「あ」という文字だけが出てくる場面が割とあるので、認識しやすかったのだろう。

私は息子が興味を持たない限り、保育園や小学校で習うまで字を教えるつもりは無かった。字を覚えると、どうしても字を追っていってしまう。絵しか知らない時代に培われる想像力があるとどこかで読んだからだ。字を追うことはこれからいくらでもできるが、字を知らない時代に戻ることはできない。

だから聞かれたら答えるが、自分から教えることは無かった。それでも自然と、ある日急に興味を持つものなんだな。

よく考えれば文字というのは、何も知らない人には説明し辛い。例えば「りんご」にしても、りんごの絵なら実物と見比べて「これはりんごだな」とすんなり思えるが、「りんご」という文字を見て「これはりんごです」と言われても、何でそうなるのかよくわからないだろう。

文字にはルールがある。これはこういう文字で、こういう風に使います、というのを覚えてあてはめて、ようやく使える。そう考えると、文字というものに対して少し押し付けられている感じや堅苦しさを感じてしまうな。情報量という面ではとても優れたものであるし、今の世の中使わずに生きていくことは難しいけれど。

今のところ息子は「これは何?」と聞いてくるだけなので、聞かれたら答えるだけではあるが。自分でも書きたい読みたいと言い出したら、ちゃんと教えようと思う。

ずっと絵本の片隅に書かれていて存在していた文字。親しか読んでいなかった文字。息子もようやくその存在に気付いたらしい、という話。


ではまた明日。