Chance!! 1
「なあ、お前さあ。そろそろ幹部目指してみねえ?」
青い顔をしたボログが一匹のゴム兵に向かってそう言った。
倒れ込んだまま状態を起こしたゴム兵はなんのことかもわからずきょとんとしたまま、その表情のわからない顔をボログに向けている。ボルグは長い黒のマントをはらりと地面に這わせるようにしゃがみ込み、目線を合わせると、「お前、言葉わかってんべ?」とその顔を覗き込んだ。
「い、いやいや、そんな・・・!!」
ゴム兵は唐突な出来事にあたふたと両手を顔の前で振ってボログの申し出を断ろうとした。咄嗟の判断では仕方もない。
「ほら。返事できるもんなあ。いや、まあ急に言ったしな。そりゃ判断もつかねえよ。もちろん、テストもあるんだ。急にお前を昇格はさせねえよ。ちゃんとそれなりに見極めるつもりだし。まあ気軽にやってみろよ。」
な。
と言って、ボログはゴム兵の肩をぽんっと、鋲がたくさん並んだ指の出ている革手袋をつけた手で叩いた。
「あ・・・・はい・・・・。」
ゴム兵は戸惑ったまま、そんな返事をした。
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