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俺がこんな風になっちゃったいくつかの理由。

 中学生の時のことだった。
俺は、友達の村上氏の家に遊びに行った。
あんまり人の家に遊びに行ったりしなかったが、村上氏の家にはよく遊びに行った。

理由は、単純なことだった。
村上氏の姉ちゃんが可愛かったからだ。
それは具体的な俺の初恋と言っても良かった。
少しだけヤンキーっぽいけどケバくもなければ、グレてもいない。タバコも吸ってないみたいだし、清楚で、でもあんまり大人しすぎない感じ。と言えばいいのか。

何しろ彼女は、エロかったのだ。

初めて出会った時のことを少し思い出す。
なんとなく村上氏の家にお邪魔することになった日。
もう時刻は夕方ごろだったか、日の傾きかけた街にたたずむ村上氏の住むマンションはやけに豪奢に見えた。村上の家は両親が共働きで、夜遅くまで帰らないので『何時までいてもいいよ』と言う彼の無邪気な一言が彼の家にお邪魔する最終的な動機になった。

オートロックのエントランスを入って、エレベーターで5階に上がる。
部屋はそのフロアの一番端にあって、ドアには鍵がかかっていなかった。

「ただいま〜。」

村上氏のそんな声に応えるものはいない。
が、奥からは人の気配がしていた。
「姉ちゃんだよ。」
村上は少しだけ嫌そうな顔をして、そう俺に言った。
ヒョイっとリビングを覗いた時に、俺の気持ちは一気に昂った。そこには、クラスでは到底お目にかかれない色っぽい女の人がキャミソールに短パンというとても露出度の高い格好でソファに寝そべっているのが見えたからだ。

ん?

と雑誌から顔を上げて、こっちに目をやる。
少しだけ気怠そうな視線と整った顔つきがたまらない。
肌は健康的に少しだけ焼けていて、それが妙にギャルっぽいエロさを演出していたように思う。

「お友達ー?いらっしゃい。」

彼女はぼんやりと、基本的に興味なさそうにそう言って、
また雑誌に目を戻した。

俺は「お邪魔・・・しまーす・・・・。」

と言って、そそくさと村上氏の部屋に入り込んだ。

「お姉ちゃん?」
ドキドキしたまま、俺がそう聞くと村上氏は「ああ、暴力姉ちゃんだよ。ろくなもんじゃないんだからほんとに。」と、異性姉弟によくある忌避の顔色でそう言ってのけた。

めっちゃ可愛いじゃん。
喉まで出かかったその言葉を、しかし俺は彼の顔色を眺めて引っ込めた。
まああんまり女の子のことを可愛いとか言えない年頃でもあった。

ゲームする?

村上氏が家につくなり手持ち無沙汰になってしまった俺を気遣ってそう言った。彼の個室にはなんとテレビとゲームが備え付けられていて、いつでも稼働可能な状態であった。それは俺の家ではまああり得ないことで、なんとも貧富の差というか、処遇の差を見た気がした。



それから、割と頻繁に彼の家に出入りするようになった。
目的は彼女に会うこと。もちろん、彼女だって女子高生だったわけで、友人たちと遊びに出ることもあれば家にいないこともある。

なんとなく村上氏も、俺のそんな浮き沈みに気がついていたような気がする。

そんなある日。

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