被害者の証言1。

ある日、警察に通報が入った。「ある場所に壊れかけの男を一人放置してあるから助けてあげた方がいいよ。」というものだった。
場所は、都内某所の路地裏にあるゴミ捨て場であった。管轄の警察官が二名で指定された場所に向かうと、確かにそこには「壊れかけ」た男が一人放置されていた。保護した当初は自分の名前はおろか、年齢住所、今何処にいるのか、何故居るのかも答えられず宙を見つめるばかりであった。唯一極度におびえたような反応を示すのは、警察官であろうが医者であろうがそのドス黒く変色した男の首に手を触れようとしたときだけだった。
以下は四日ほどして正気を取り戻した男が警察の事情聴取に対してこたえたものである。

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