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這い蹲る。

 息が荒れる。
まるで背中に刺された極太のストローで体力をゴクゴクと何者かに飲まれているような感覚がある。

動けども動けども、自分が思うように動けない。
水の中で必死に溺れ、暴れているのと同じだ。
少し息を止めてがむしゃらに手を掻いてみても状況は変わらない。
たった一つの変化は、またもや自分の体力が強烈に消耗しているということだけ。

僕は窓の外にゆったりと浮かぶ入道雲が、自分をせせら笑っているような気がするこの夏の真ん中に枯れ死んでいく蝉のような気分で、彼女の下敷きになっていた。

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