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疾風。

 目の前で起こったことの意味がわからなかった。
不測の事態というのを俺はいつでも想定している。
何が起こってもいいように。という意識が消えたことはない。
がしかしこれはどうだ。

 「想定外」という言葉が嫌いな俺から、全く衒いなくその言葉が口を衝いて出る。誰がこんなことを想定できるだろうか。

いや、誰も出来ない。

国内最高峰。ということは、世界最高峰の要人護衛のプロ集団である俺たちが直面したのはおそらく世界のどの護衛集団でさえ防ぐことのできないエラーだった。これを想定外というのは、あまりにも自己弁護がすぎるのだろう。これを目の前にして、正しい言葉は想定内だ。

俺たちには荷が重すぎた。こうなることは、想定内だと言える。


ことの起こりは、たった1分前だ。

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