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素晴らしい日。

 こんなことってあるだろうか。
川野一平は浮き足立っていた。
一瞬前までなんでもなかった町田の街並みは、今この瞬間を以てきらびやかに光り輝いて見える。薄汚い路地裏に乗り捨てられてある自転車でさえ、どこへでもいける自由の象徴に見えたし、人でごった返している商業ビルの森ですらあらゆる可能性の詰まった宝箱に見えた。

孤独をことさらに強調する冬の風が冷たく感じられたが、
目の前に輝く彼女の笑顔はその冷たさをすらロマンチックなものに変えた。


ことの起こりはほんの五分前だった。

一平は特にすることもなくバイトも休みののほほんとした1日を町田で過ごすことにして、何かいいことはないかと目を光らせていた。

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