私の撮影した写真がYouTubeの動画で使用されていると知り、YouTubeに削除依頼したというお話です。
　私と同じ立場になりこれから報告しようという方の参考になれば幸いです。

私の写真がYouTubeの動画で使用されているらしい

　私は「トリップウォーカー」というサイトを運営しています。商店街散策の写真やら海外旅行の写真やら「どこに需要があんねん」というまぁ昔ながらの個人サイトです。

　連絡先としてメールアドレスを公開してはいるもののメールなんて1年に1通届くかどうかというところなんですが、ある日その1年に1通のメールが届きました。

「トリップウォーカーの写真がYouTubeの動画で使用されている」という旨でした。

　URLを記して下さっていましたので確認してみますと確かに私が撮影してサイトに載せている写真が動画で使用されていました。写真を使用して良いかという伺いは受けていませんし、そのYouTubeのチャンネルの存在も知りませんでした。
　さてどうしよう……？

自分のスタンスを決める

　まずは自分がどうしたいのかを考えてみます。
　人によって「問答無用で許さない！」という断罪のスタンスから、「勝手に使いなはれや」という放置のスタンスまで様々でしょう。自分がそれでお金を稼いでいるのか、また相手がそれでお金を稼いでいるのかといったことも関係するでしょう。
　私としましては、私の写真を販売してお金を稼ぐとか、自分が撮影したものだと偽るとかいったことでなければ「問答無用で許さない！」まではしないという考えです。
　引用元としてサイトの名前とURLを記せばそれで良しとすることとしました。ここはしっかり決めておかないと後でブレてしまい自分も困ることになると思います。

動画の投稿者に連絡を取ってみよう

　しかし自分のスタンスが決まったところで投稿者と話をしなければ始まりません。どうやって連絡したらええんや？
　調べてみますとYouTubeのチャンネルを表示して「概要」タブを開けば連絡先が載っていることが分かりました。

引用元: youtube.com

　上図のようにメールアドレスとサイトのURLが載っているのですがですが、どちらも公開は任意なのでした。載っていませんでした。終了ー！

　YouTubeの外を探せばサイトが見付かるのかも知れませんが、被害者の私がそこまで手間を掛けなあかんの？
　動画のコメント欄は幸いにも開放されていましたのでコメントを投稿することにしました。さて何て書く？

　若い頃なら迷わず「人の写真何勝手に使うとんねんワレぇちょっと事務所来て貰おかー」と殴り込んでいたところですが、さすがに私も良い年齢ですので人とやり合うことにどれだけのエネルギーが必要かまたそれだけのエネルギーを費やす価値があるのか分かってはいるつもりです。喧嘩が目的ではありませんし投稿者の顔を潰したいわけでもありません。

「トリップウォーカーの作者です。お話したいことがありますので連絡下さい」といった程度にしておきました。
　どう考えましてもオリジナルの写真を使用していると思える動画ではありませんでしたので、察しの良い視聴者でしたら「著作権者が乗り込んで来たんだな」と考えるでしょうが、メールアドレスが公開されていないのですもの仕方ありません。

本人確認をどうするのか

　しかしこれでメールが届いたとして、そのメールが投稿者本人からのものであるとどう確認すれば良いのでしょうか。コメントを読んだ第三者が面白半分で投稿者になりすましてメールを送って来る可能性はゼロではありません。
　投稿者のメールアドレスがどこかに公開されていれば届いたメールアドレスと答え合わせをすることが出来ますというかそれならコメント欄に投稿などしません。
　氏名や住所を言わせたところでそのメールが投稿者からのものであるという証拠にはなりません。

　本人であれば私が何者なのか、どういう用件があるのか察するでしょうし、まずこちらからは何も言わず相手に喋らせるしかないのかなぁ……まぁそれも察しの良い視聴者でしたらあんまりですが。
　と、どうしたものか考えていたのですが……。

なしのつぶて

　メールなど届きません。あっれー、私の想定では24時間以内にメールが送られて来るはずだったのになぁ。
　そもそも投稿者がコメントを読んでいるのかいないのか、それさえも分かりません。コメントに「高評価」を付けてくれた人が何人かいますが、この怪しげなコメントに何を考えて高評価を付けたんやろう……？
　待てど暮らせどメールは届きません。3日経ってしまいました。

　もう一度コメントを投稿することにしました。今度は期限を設けます。

「先日コメントしましたトリップウォーカーの作者です。現在のところご連絡を頂けておりません。○月○日×時×分まで待ちます、ご連絡を頂けないのであれば他の方法を考えざるを得ません」という旨にしました。

　とりあえずは待ちましたがメールは届きません。コメント欄に返事はあるかなと思い確認しましたら……コメントがないぞ？　あ、オレのコメントを消しやがったな。

　私が猶予期間を設けている間にも再生回数は増え続けていきます。私のサイトはロボットを含めて1日100人も来んのにふざけんなよダボハゼがよ！

YouTubeに報告しよう

　YouTubeに著作権違反の報告を行うことにしました。

引用元: youtube.com

　動画のページで「…」→「報告」を選びます。

引用元: youtube.com

　どういった理由で報告するのかを選びます。

「著作権侵害による削除依頼を送信する」というページに移動しました。色々と説明が記されています。その中で下記の内容が気になりました。

・動画が著作権侵害によって削除されると、動画の代わりに著作権者の名前が YouTube に表示されます。
・削除依頼を完了するには、正式な氏名（実名）が必要となります。この名前は、著作権侵害によって削除される動画をアップロードしたユーザーと共有されることがあります。
・削除依頼に記載したメインのメールアドレスは、著作権侵害によって削除される動画をアップロードしたユーザーと共有されることがあります。アップロードしたユーザーが、著作権侵害の警告を解決するためにお客様に連絡を取る可能性があります。
・住所と電話番号は機密情報として取り扱われますが、訴訟の過程で要求される場合はこの限りではありません。お客様の情報を共有する必要がある場合は、YouTube からお客様に事前にお知らせいたします。

引用元: support.google.com

　つまり
・自分も氏名、住所、電話番号を明かせよ
・相手に連絡先が伝わるぞ
「著作権侵害による削除依頼を送信する」にも責任を持てということです。まぁそりゃ虚偽や悪戯目的という可能性もありますものね。

引用元: support.google.com

　で、具体的にどの動画のどこが何の著作権を侵害しているのかということを入力していくフォームに移動したわけですけど、誰でも知っているような写真家もしくは写真ならまだしも「トリップウォーカー」と書いて誰が知っとんねん！

　フリーコメント欄がありませんので、「アートワークのタイトル」欄に「私が運営しているサイトの http://....... にある写真が使用されています」という旨を入力し、「権利を侵害しているコンテンツのある場所」もわざわざ何分何秒まで調べて入力しました。オレがこんな労力を掛けなあかんのか……。まぁこれもマイナーな人間のペナルティと思うことにします。知らんけど。

「削除オプション」という項目もありまして、猶予を与えるか否かを選択出来ます。「今すぐ削除」の場合は、動画のURLにアクセスしたとき「〇〇の申し立てにより削除されました」と自分の名前が表示されることになります。これもまた責任を持てということです。
　私としましては猶予は与えましたので「標準: 今すぐ削除をリクエストする」を選択しました。いざ送信！

結末

　送信して2時間ほどで動画が削除された旨のメールがYouTubeから届きました。
　ただ、動画のURLにアクセスしますと私の申し立てにより削除ではなく投稿者が自主的に削除した旨のメッセージが表示されました。削除依頼があった旨のメールが投稿者に届き、それを受けて削除したのでしょう。
　削除されるまで2～3万程度の再生回数があったようですが、その収益が凍結されたかは分かりません。私のサイトが3万アクセスを得ようとしたら何年かかると思っとんねんダボハゼが。1円稼ごうと思ったらどんだけ大変や思とんねんボケが。
　私のメールアドレスは投稿者に通知されているはずですが、3ヶ月ほど経った現在でも何の連絡もありません。

　しかもどう考えたってオリジナルの写真を使用した動画ではありませんし、オリジナルであればオリジナルであると言うであろう動画でした。にもかかわらず「動画が急に削除されて心配」という旨のコメントが多かったこと……。こういう人たちは「漫画家のトレース疑惑」とか「楽曲のパクリ」とかいった話題に対しては何も言わないんですよね？

まとめ

　私としては、後付けでも引用元を表示すればそれで手打ちとするつもりでした。そのために直接的な表現を避けてコメント欄へ投稿し、結果的に1週間ほどの猶予を与えたのですが、完全な間違いでした。
　無断転載する人間と話し合おうと思っても無駄であり、即時削除依頼すべきでしょう。話し合いに応じる人間であればそもそも無断転載などしないのです。
　無断転載をされて許せないのであれば即時削除依頼しましょう。