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紺色のパーカー。黒い髪。 冬の風が少し残る光の中。 私の魂に春はやってくる。 もっとあなたをみていたい。 もっとあなたの声を聞きたい。 鼻孔をくすぐるその残香。 あなたは春を撒いてやってくる。
ただ午後の光の中で、君の肩にもたれて眠りたい。 せまりくる夜の果て。 僕はなにも怖くない。 僕は此処に居ていいし、君も此処にいていい。 誰の許しも必要ない。 さあ、黄金と青の時間がやってくる。
あなたの指先の美しさに気付いてしまった。 あなたの澄み切った瞳に気付いてしまった。 清かなる声で名前をよんで。 いくえにも重なっていく瑪瑙(めのう)の河よ。 わたしを連れてゆけ、 そのたおやかな流れのままに、連れてゆけ。 あなたのもとへ、あなたのもとへ。
あなたが帰ってきた秋の白昼夢。 変わらぬ瞳の色。黒い髪。声。笑い声。 ああ、まだ忘れていない。
ビルの森の中、 見上げれば琥珀の宇宙、凪いだ海の中に沈む七番目の鯨。 目を閉じればいつでも「静かな場所」へ行ける。