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FIFAワールドカップ・欧州予選 グループC 第10節 スイスvsブルガリア 感想

サッカーを愛する皆様、こんにちは。
くろだといいます。
ワールドカップ欧州予選アーカイブ計画として、僕は「#W杯欧州予選グループC全部見るマン  」として今回はスイスvsブルガリアの試合をお届けします!

※本稿執筆時にはすでに結果は出ていますが、結果としてワールドカップへのストレートインを見せたスイスに軍配でした。強い気持ち。

試合前情報

スイスは前節のイタリア戦で辛くも引き分けたことでワールドカップへのストレートインの可能性を残しながら最終節へと突入。イタリアから見たスイスと同様、スイスから見たイタリアも北アイルランドに負けることは想像しづらく、スイスもイタリアと同様出来る限り得点を重ねた上でイタリアの結果次第ですが得失点差で上回りたいところでした。
目指すべきスコアはイタリアが最少得点で勝利した場合を想定しても3点以上の勝利。これだけを見たら難易度の高いミッションではありますが、試合展開はどうなるでしょうか。

返してブルガリアは北アイルランドと同様、出来る限りの結果を残してグループ内の順位を上回って予選を終えたいところ。スイスの強力な攻撃陣相手にどれだけ辛抱して逆襲の機会を迎えることが出来るかに注目です。

スタメン

試合雑感

前節では最前線で活躍したオカフォー(9)は右ウイングとして先発。序盤の動き方を見ている感じ、相当に広いプレーエリアを与えられている印象を受けます。最序盤ではブルガリアがボールを持っているシーンが多かった事からサイドの深さを取る動きがメインだったためスタートポジションからのレーン移動は少なかったものの、スイスがボールを握って動かすようになってからは隣のレーンに動きつつライン間の上下動を含めてビルドアップを助ける動きが目立つようになります。
当然、ボールポジションが前に移行するにつれてゴール前への侵入も見せている事から右サイドバックのムバブ(2)が大外で幅を取ることとは関係なく最前線のガヴラノビッチ(19)の周囲を動きながら中盤での影響力を助けるようなタスクになっていたと想像します。

序盤は中盤の4枚がスイスの中盤の枚数との噛み合わせから圧力を上手くかけることが出来ていたように思えましたが、オカフォー(9)のポジショニングや両サイドバックの上下動によって局面で優位を取ることが出来ずに主導権を明け渡してしまったブルガリアは、前半10分を超えたあたりから重心が低くなる場面が増えます。
sofascoreにも明らかですが、圧倒的な支配率はこの最序盤での攻防によってブルガリアの攻め筋が見えなくなってしまった事が要因として大きいのではないかと。

15分を超えたあたりからはブルガリアはスイスの布陣や機能性に対して配置を整えることは難しくなり、スイスのボール保持時における持ち上がりやハーフスペースへの配球など自由にさせてしまった事で効果的なボール回収がままならない状況が続きます。トランジション時の帰陣がスイスの動きに対して鈍くなってしまっているのもスイスの攻め残りを警戒する重心後ろ目のディフェンスラインとポジティブ・トランジションで攻め込む前線との距離感が広がってしまったことに起因すると思われますが、この時点でスイスの中盤に対して効果的なポジショニングやマーキングを見失ってしまっていたのではないかと思われます。

とはいえ、圧倒的なポゼッション率を背景に攻め立てるスイスに対してブルガリアのバックラインが粘り強く守備をすることでシュートを打たれながらもゴールを割らせない時間帯が続きます。序盤の展開だけ見れば同時刻にプレーしているイタリアと似たような状況が続いておりリアタイ時には「これは・・・意外と苦戦してしまうかな?」という見方が強かったことを思い出します。

前半30分を過ぎたあたりでオカフォー(9)とバルガス(17)のプレーサイドを入れ替えて打開を図りますが、逆にブルガリアの逆襲の機会を与えることに。それまで左サイドで前進をすることが出来ていたことからオカフォーをもう少し深い位置でプレーできるようにしたかったのだろうと思いますが、左サイドにボールを持ちあがる中盤とポジショニングが被ってしまう場面があったりと効果的な配置を見出すのに時間がかかりました。
それでも前半終了間際には惜しいシュートを放つなど左右に揺さぶりながらサイドチェンジでの展開を受けるなど比較的クリーンな配球を受ける場面が増えてくるようになります。

後半にはいると、ブルガリアはイリエフ(9)にかえてミンチェフ(17)を投入。守備時の基本布陣に変更はなく後半キックオフ直後のスイスに対する振る舞いは引き入れていきたい雰囲気の立ち上がりを見せます。
押し込まれてからの陣形も前半と大きな差はなく、5バック化しつつボールサイドでは大外の選手に1枚付く形で局面によっては6枚がバックラインに並ぶような形は前半から継続。

対してスイスは中盤からボールポジションを少しずつ上げつつフライ(4)などもポジションを上げて前への圧力を増して対応。重心が低くなったブルガリアに対して自由になったフライがボールを持ち出し、大外にポジションを取ったバルガス(17)へ配球。この時点ではバルガスに対応していたチョチェフ(18)の後ろを伺っていたシャチリ(23)でしたが、ハーフスペースにポジションを取ったフロイラー(8)にボールが入った時点でのポジション修正からガヴラノビッチ(19)からの落としを受けてオカフォーへクロス、見事先制点を上げます。

後半早々に先制点を与えてしまったブルガリアは攻勢を強めますがスイスの圧力も同様に高まり、ブルガリアが重心を高めたことによってできたスペースを効果的に使うようになります。
2点目はまさに前がかりになったブルガリアがビルドアップ阻害を積極的に狙った結果として生まれたものです。
ムバブ(2)・シェア(22)・フライ(4)でビルドアップを狙うラインに対してブルガリアは4-4配置を崩さずに2トップでビルドアップ阻害を狙いましたが、プレスラインも大きな制限とはならず、簡単に寄った結果としてフライへの配球を許します。
そこからフライが若干ラインを高めたブルガリアのディフェンスライン裏への配球をバルガス(17)が競り、こぼれ球を受けたガヴラノビッチ(19)が再度バルガスへスルーパス。これをゴールへ叩き込んだことでスイスは立て続けのゴールを決めることが出来ました。

これで最低限のノルマまであと1点、イタリアの結果は観察しているでしょうが試合展開として着実にプレーを進める事が出来ればさらに点を重ねる事が出来るであろう状況が出来上がります。
スイスはホームでの試合という事もあり大勢の観客の後押しを受けてブルガリア守備陣を攻め立てます。押し込んだ後のカウンタープレスも積極的に行いながらブルガリアの逆襲の機会を制限しボールを回収、サイドを起点にしつつハーフスペースにはフォローとなる人員を送り込み続けることで押し込まれた後のブルガリアは息つく間もなく攻められ続けます。

そうしてスイスのあわや3点目かというシーンは生まれるわけですが、カヴラノビッチのヘディングが見事であったことはもちろんですが、これだけ圧迫され続けたブルガリアとしても心が折れ始めた時間帯であったことも特筆すべきかと思います。
ただし、これはカヴラノビッチがオフサイド判定を受けて得点取り消し。
スイスとしては歓喜の瞬間は持ち越しとなりましたが、意気消沈することなくなおもブルガリアを攻め立てます。

68分には殊勲のオカフォーに代えてシュテフェン(11)、カヴラノビッチに代えてイッテン(14)が投入されます。
交代直後にイッテンの裏抜けから、すわ3点目か・・・!というシーンが生まれますが、これもオフサイド。とはいえ、スイスのスタンスとして積極的にブルガリアのディフェンス陣の後ろのスペースを活用していきたいという意向は依然と感じるワンプレーでした。
スイスからすればビルドアップ阻害は圧力とならず、ビルドアップ時に相手陣形を動かしつつブルガリアのサイドハーフに2択を迫りつつクリーンにボールを前進させられる状況は続いていたので、前がかりになれば裏への配球、ブロックを敷いてきてもサイドへの配球からクロスを送り込めることからやることは変わりません。

71分にとうとう迎えた3点目はサイドからの配球が結実した形となりましたが、これでスイスは最低限のノルマを達成。おそらくイタリアの試合展開はベンチとしては把握していたでしょうが、このまま試合を終えることが出来ればワールドカップへの出場が決まり。最悪イタリアがゴールを決める事が出来た場合に備えてもう1点取れれば盤石という状況になりました。

恐らく、87分ごろに給水していたシャチリにはベンチから他会場の結果なども伝えられた事でしょうがなおも圧力を高めて攻め立てるスイスはアディショナルタイムに4点目を奪うことに成功します。
何回繰り返されたかわかりませんが、ビルドアップ時のボールの持ち上がりから大外に位置していたヴィドマー(3)へ配球されるとハーフスペースでサポートしているゼキリ(7)がとのコンビネーションからシャチリ(23)も絡み、シャチリのマイナスのクロスに対してフロイラー(8)がゴールに突き刺します。
これによってスイスは欧州予選での勝利を確信し、ベンチメンバーも抱き合って喜びを表現します。

アディショナルタイムは8分と長いものでしたが、試合の主導権をそのまま明け渡すことなくスイスはホームの圧倒的な雰囲気も味方につけて試合終了のホイッスルを迎え、ワールドカップ出場を賭けた大一番でしたが、危なげのない盤石の試合運びを見せてスイスの勝利、ワールドカップへのストレートインも獲得と最高の試合となりました。

まとめ

結果としてスイスは試合展開も欧州予選も劇的な大勝利を収めることが出来ました。
とはいえ、今節の出来も素晴らしかったのは間違いありませんが前節のイタリア戦をドローで終えることが出来たことも欧州予選突破の大きな要因であったと言えます。
欧州予選トータルの力関係でいえばイタリアが少し抜けていた感もありますが、イタリアはペナルティキックを失敗(しかも両方のスイス戦で!!)したことが大きく響く結果となりましたし、結果論ではありますが最後の2試合でケガ人が続出したことで想定以上に柔軟性に欠けるメンバー選考をせざるを得なかったことも北アイルランド戦で勝利を収めることが出来なかった要因のひとつでもあったことを考えると、今回のスイスはキーとなる試合で最悪の展開を回避しつつシャチリだけに頼ることなくオカフォーなどの新戦力も台頭したことでチームとしての強靭性を見せつけた格好となります。

とにもかくにも、素晴らしい試合を見せて欧州予選を突破したスイスには大きな拍手を送りたいですし、新戦力だけでなく今回ケガで出場がかなわなかtった選手(ジャカとか)が復帰してきた場合にさらにメンバーに厚みが増すことが想像されることから楽しみなチームのひとつとなりました。
(とはいえ、ジャカはワクチン非接種とのことでどうなることやら・・・ですが)

そして、3週間後にはイングランドとのフレンドリーマッチが予定されていますがザカリアが内転筋を痛めたとの情報もあり、ワールドカップへの試金石としてどのような試合が行われるのかにも注目です。(視聴環境があるのかどうかわからないのでチェックできるか不明ですが・・・)

なにはともあれ、強い気持ち。

注目選手

オカフォー
今回も注目選手にオカフォーを挙げたいと思います。
前節ではスタートポジションがセンターフォワードでしたが、今節では右ウィングの位置に入り、プレーエリアも広く左右どちらでも仕事が出来るポテンシャルを示したことでスイス代表における大きな武器としての立ち位置を確立したと思われます。
最近ではニューカッスルが関心を示しているとの報道がある通り、注目株のひとりとなっていますし、今後の活躍にも期待です。

試合結果

2021.11.15
カタールW杯欧州予選 第10節
スイス 4-0 ブルガリア
スイスポ・アレーナ
【得点者】
SWI:48' オカフォー 57'バルガス 72'イッテン 91'フロイラー

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