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自分に厳しい人は、他人にも厳しい(その1)

本日の話題は、自分への戒めも込めて。
毎週配信しているメルマガ「ここみち便り」でとても好評だったシリーズです。


「人には優しく、自分には厳しく」
そうあれたらいいな、と思う人は少なくないと思います。

誠に残念ながら、これは無理です。

なぜなら、自分に厳しい人は、他人にもどうしても厳しくなってしまうからです。

このことについては、いくつかの切り口から説明できると思いますが、今日はその1つを試してみます。


自分に厳しい人は、「〜であるべき」という世界観で世の中を見ています。

「会議には万全の準備で臨むべき」
「メールにはすぐに返信すべき」
「業務時間中は常に全力を出し切って仕事すべき」
「決断は直ちにすべき」
「家事は家族の中でやり切るべき」

その人にとって、これらは至極真っ当な常識であり”世の中のルール”とすら見えています。

ご自身は、このルールに違反しないようにして生きています。
万が一、自らがこれに違反してしまうと、「反省」という名の、ざらっとした罪悪感に襲われます。

一方、世の中を生きる人たちは、皆それぞれの世界観の中で生きています。
「会議では、その場の議論に集中していればOK」
「メールは、自分の都合の良い時に読んで対応すればいい」
「持続可能に働くためには、息抜きも大事な仕事」
「決められない時は、一旦置くのが良い」
「家事が大変なら、家事代行サービスを頼めばいい」

後者の世界観で生きている人たちが取る言動は、前者の方々から見ると
「世の中のルールを破っている」という風に見えてしまいます。

往々にして、自分に厳しい人たちは「ルールは守るべき」という価値観を持っていたりもしますので、ルール破りに見える言動はますます許し難くなります。

前者の方々も、おそらく、他者に対して、根本的に愛情や思いやりがないわけではないのです。
多分、できることなら優しく接したい。
でも、「彼ら」は「ルールを破っている」ので、「許し難い」または「正してあげなくてはならない」という思考になります。

口では「いいよ、いいよ」と言っていたとしても、お腹の中ではフツフツと怒りや苛立ちが収まらないだろうと思います。
それはだいたい、どこかで爆発します。
あるいは、爆発させずに抱え込みすぎて、自分がストレスでやられます。

ではどうしたらいいのか?

他者を”正す”代わりに、ご自分自身がこれらのルールから解放されることです。
すると、他者の言動はルール違反とは見えなくなります。

悩ましいのは、当事者にとっては、
それらの「〜べき」はもはやその方にとっての常識になりすぎていて、
自分がそれをルールとしていることに気づかない
ほどであることです。
コーチがお役に立てる場面の一つは、こういうところです。

コーチングを受けることで私が気づいた、自分に課してきていた”ルール”は数え切れません。
「お取引先からの問い合わせには、即座に正しく答えられるべき」
「間違いは許されない」
「仕事は遊びよりも優先されるべき」
「人に迷惑をかけるべきではない」

こういうものに気づいて解放される、を繰り返してきたことで、まずは、私自身がだいぶ楽になりました。
加えて、人の言動に腹立たしい、どうにかしなければ、と思うことはかなり減ってきました。

もちろん、今でもまだたくさんの「〜べき」を持っていると思いますが。


いかがでしょうか。
皆さんはどんな「〜べき」を自分に課していますか?

頭の中で、「こういう『〜べき』を手放したら、自分も家庭も会社も大変なことになるじゃないか!」という叫び声が鳴り響いているかもしれません。

これはまた別の話。

そこもまた、コーチの出番でもあります。

次回は、もう一つ別の切り口から、このことについて書いてみたいと思います。
どうぞお楽しみに。

では、今日もよい一日を!


◆今日の写真は、いつか行った動物園より。彼らの世界にも何かの「〜べき」があるのでしょうか。

この記事は、2021年5月19日配信のここみち便りをリライトしたものです。
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