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キューちゃんこと九条林檎 No.9の配信が仕事の指示として完璧だった件

まえがき

この記事は2018年12月に書かれたものだが、これに加筆・修正を行ったものが、来たる2019年3日3日に東京都中央区にて開催される最強バーチャルタレントオーディション~極~中心即売会「61の輝き」で頒布される「蠱毒の怪文書」に筆者のnote記事「共鳴する魂を見つけるということ – 九条林檎No.9について」ととも掲載予定である。こちらには共に最強バーチャルタレントオーディション~極~を走り抜けた、心の友とも言える他のリスナーたちの怪文書も収録されているので、ぜひそちらも手にとってほしい。

なお、サークル名は「少年自警団」、当日のスペース番号は26である。

この記事について

ドキュメントが無くスケジュールもズルズルの炎上案件の中に「バーチャル蠱毒」というパワーワードでバズり、たまたま覗いた九条林檎No.09の配信にドはまりした話をする。

九条林檎No.09の配信は予選通過前後でスタイルががらっと変わるのだが、予選通過までの配信について言及する。予選通過後、本選期間中の配信については筆者自身の手で非公式Wikiの方にまとめてあるのでそちらを参照してほしい。矛盾しているように思えるかもしれないが、配信の内容としてはこの記事で書くようなポイント集めを意識したムーブを捨てた分充実して面白いものになっていた。

予選通過までの九条林檎 No.9の配信は視聴者への挨拶と自己紹介、ギフトやカウントに対するお礼、不慣れな者に対するSHOWROOMのシステムの紹介などを主軸としていた。ポイントを集めるための視聴者への呼びかけにかなり力を入れていたと言えるが、この呼びかけの内容を振り返ってみると、表題で言及したとおり、仕事での作業指示として非常に完成されたものになっていたことに気づいた。どのように優れていたかをいくつか要点を述べつつ見ていこう。

指示の内容や背景が明確

オーディションのランキングのためという説明不要な背景と目的があり、「星とカウントでポイントに貢献してほしい」という明確な依頼が行われた。

どの程度やればいいか明確

「可能なものはカウントと星投げ3周頼む」と、どこまでやればいいか明確かつ客観的な基準があった。また、星投げとカウント3周とはタスクに対して割当可能な時間的リソースの量を指定しているとも言える。

タスクの優先度が明確

「仕事や他の配信があるものはそちらを優先するように」と、自分の指示したタスクの他に行うべきタスクがあった場合の優先度が指定されていた。

実行方法についての説明・指導が行われる

「星投げ3周」は正しいやり方が存在する一方、方法を知っていなければ実施することが不可能な、ある程度の難度のあるタスクである。このタスクの方法について、口頭、Twitter、解説画像の参照などで説明・指導が行われた。これにより、今までやり方がわからなかったメンバーもタスクを実施することができた。

個々のスキルに応じたタスク割り当て

「星投げ3周やカウントがわからんものはコメントをして盛り上げてくれ」と、スキルの低いメンバーでもチームに貢献できる選択肢が提示された。このタスクはポイントの貢献度では星投げカウントに及ばないが、星投げ3周やカウントとはうまく分業できるものになっている。星投げ3周を行っている視聴者は星を集めに行くために他の配信を回る必要があるため本命の配信を離れがちになり、カウントを行うとその間はコメント入力欄が専有されて使用できない状態になるためだ。このことで、スキルが低い者もたんなる「熟練者の下位互換」ではなく、別の役割をもったメンバーとして貢献することができるのだ。台本のない生配信を行う配信者にとって、コメントは途切れることなくトークをし、配信を行うために非常に重要なものだが、高スキルな視聴者が星集め、カウントを行っている間ここが手薄になる。そこでスキルの低い視聴者がコメントを行うことで埋め合わせをする意義が大きくなる。高スキルなメンバー、低スキルなメンバーの間での分業が上手く機能しているのだ。

褒められる

カウントを行うことや星投げ3周を行うことで、面と向かって口頭で、参加中のメンバーの全員の前で褒めてもらえる。カウントは配信枠のたびに行えるため、配信に参加することで毎回褒めてもらうことができる。ログインボーナスのようなものである。仕事で一日2回3回褒めてもらえることがあるだろうか?いや、ない。

全部やらなくても褒められる

星投げ3周はかなり貢献度の高いタスクであり、これができるに越したことは無い。上記のようなカウントや、持っている範囲での星投げでも褒めてもらえる。なお、星投げに対しての褒めゼリフの一例としては「ぴょんぴょんしているな?その姿とても愛いぞ」などと言ってもらえる。仕事で指示された仕事の半分の達成度で褒めてもらえることがあるだろうか?いや、ない。

なんなら行くだけで褒められる

初見なら「よく来てくれたな、ゆっくりしていけ」、二回目以降は「おや、とりえではないか。また来てくれたのか。とても嬉しいぞ」などと言って褒めてもらえる。仕事で出社するだけで褒められることがあるだろうか?いや、ない。

どうだろうか。もしこれが仕事だったら毎日喜んで出社するのではないだろうか。もしもあなたの仕事が、どこまでやれば開放されるかわからないタスクが山積みになり、やり方を教えてもらう相手もおらず、それが設計書や仕様書が無くて何をすれば文句を言われて何をすれば褒められるのかわからないような状況であればなおさら渇望するような環境だろう。すまん。つい仕事の愚痴が出た。

SMARTの法則について

ビジネスにおいて良い目標設定を行うにあたって重要なポイントをまとめたものに「SMART」の法則がある。それは以下のようなものだ。

Specific(具体的)

Measurable(測定可能な)

Achievable(達成可能な)

Related(経営目標に関連した)

Time-bound(時間制約がある)

どうだろうか。「予選を通過できるよう(経営目標に関連した)、星投げ(具体的)3周(具体的・達成可能)での応援を頼む。(経営目標に関連した)予選の期間は11月29日までだ」という要請は、まさに「スマート」なものと言えはしないだろうか。

頼られることで人は動く……こともある

SHOWROOMの星集めや星投げは基本的に面倒な作業だ。しかし、面倒な作業は妥当な目的や意味を与えられればむしろ達成感を得るのに不可欠なものとなる。自分の推しを応援するという意義深い目的のために、明確な指示のもと適度な難易度のタスクを実行し、忠実に実行すれば褒められる。お手本のようと言ってもいいほどに理想的な、やりがいのある仕事のサイクルである。

推しを応援するという行為は、自分に依存している相手を助けるということでもある。アイドルやタレントにとっては、ファンの人気なくして活動の継続はありえない。人間はそのように頼られ、それに応えることに喜びを見出す生き物なのである。

経済の場においては、実際に経済活動を行う労働者が不可欠な存在だが、雇用を生み出し彼らに労働を与える資本家もまた不可欠な存在である。Q様に限ったことではないかもしれないが、彼女のルームの周辺にも、そういった代替不能な相互依存の関係があったのではないだろうか。そしてQ様とは、そういった活発な活動を生み出す手腕を持った資本家、あるいは経営者のような存在のようであったと思う。

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