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スタンダード環境分析 10月4週目 ~混沌を極めるメタゲーム~

■前書き

前回記事

圧倒的にシェアを伸ばし続ける三神ザシアン。
続くムゲンダイナ、ズガドーンの割合と合計するとベスト4以上の3分の2を占めていて、全体的な流れとして既存のデッキを流行に合わせてチューニングする傾向にあると書いた前回記事だが、今週はどういう結果になったか。

■シティリーグ(10/24,25)

◇ベスト4以上のデッキ分布
情報はほとんどTwitterより。

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前回の記事では「既存の強デッキの割合が高くなってきている」と述べたが、その流れと逆行して多くのデッキタイプが入賞する結果になった。

この2日間で、シティリーグは10会場の開催。
1会場につき上位4デッキを抽出しているため母数は40件になるが、前回から引き続き上位率トップの三神ザシアン(入賞11件)以外のデッキは最多でも3件の入賞に留まっている。
先週の結果から考えると、上位のデッキが固まることで対策の範囲が狭まり、使えるデッキの幅が広がったということだろうか。
(三神ザシアン以外を使用候補とする場合、)とりあえず三神ザシアンに勝つ手段を持っていれば、あとは慣れや好みでデッキを選べているような印象を受けた。

群雄割拠、というか、もはや三神ザシアン+その他という構図になりつつある。

◆永遠の環境トップ・三神ザシアン

前回と比較して、割合自体は減ったものの、やはり他を圧倒する勢いがあるのは三神ザシアン。

その背景には、シティリーグの形式も関係しているだろう。
昨今の情勢を鑑みてか、シティリーグは去年と比べて開催数増加・参加者数減少の傾向にあり、32名で開催されている会場も多数ある状況。
予選が4回戦の場合、序盤の1戦でも落としてしまうとトーナメントに残れない可能性がある。
どんなデッキと当たるか分からない中で1戦でも落とせないとなると、環境に存在するデッキのうち、「このデッキと当たったら負け」のような相性差のあるデッキを選択するのには心理的な抵抗がある。
例えば、どんなに構築・プレイングで優れていたとして、

①ピカゼクを選択
②初戦で明らかな不利マッチであるセキタンザンを踏んで敗北
③その後3勝するものの、オポネント差でトーナメントの上位8名には残れず

のような状況が、32名のシティリーグでは往々にして発生し得る。
32名のシティリーグでピカゼクを選択するということは、序盤にセキタンザンに当たらない覚悟というか、ある程度の割り切りが必要になる。
対して、極端な不利マッチがない、ほとんどのデッキに勝ちのルートを持っている三神ザシアンは「初戦にこのデッキと当たったら負け」のような不安を抱くこともない
他のデッキからいくら意識を向けられようと、こちらがオルタージェネシスを有していて、環境に存在するデッキのほとんどにHP180以下かつVあるいはGXのシステムポケモンが採用されている限りは三神ザシアンに勝利のルートが存在していると言えてしまう。

例外的に、上記の条件のポケモンが不採用かつエネルギーでテンポを取れるブルーレシリザ等は明確に有利と言えるのかもしれない。
ただしズガドーン等、明らかに不利を取るマッチが存在していることから、三神ザシアンの現状を脅かすほどの驚異にはなり得ないか。

ここまで来ると、よほどの変化がない限りは三神ザシアンの上位率は揺るがないだろう。

◆VMAXスペシャルセット リリース

まずはプールの変化について。
2020年10月23日(金)に「VMAXスペシャルセット」が発売。

ダダリンVmax、ウッウVmaxが新規カードとして収録された。

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サーチ手段の少ないVmaxポケモンということもあり、構築に加える場合はサブ的な運用は厳しめ。
つまり既存の構築にタッチするというアプローチよりは、新規にデッキを構築する必要があると判断。
さらにシティリーグは発売の翌日・翌々日ということもあり、入手する手間もかかることから選択するプレイヤーはほとんどいないのではないかと考えていた。

しかしながら、シティリーグ バトロコ横浜伊勢崎町ではダダリンVmaxの準優勝報告が。

ダダリンVmaxメインのデッキというわけではないが、ベンチ攻撃が展開に絡むことによってゲームプランが柔軟になった印象。
あとはデッキの動きが想定されていないことによる強さもあっただろうか。
モクナシゴリランダー軸自体ほぼ環境に存在していなかったことに加え、ダダリンに関しては発売からの期間が短すぎてテキストを把握していない参加者がいることすらあり得る。

草タイプのデッキにも新たな可能性が拓けたか。
ウッウVmaxも含めて、今後の動きにも注目していきたい。

◆タッグチーム軸の復権

混沌としたメタゲームの中で、確かに勢いを付けているのがタッグチームを主軸とするデッキたち。
ミュウミュウ軸は合計して4件。
レシリザとピカゼクを加えると、計9件(22.5%)の入賞実績がある(それでも三神ザシアン(27.5%)には届かないのだが)。

タッグチーム軸および三神ザシアンは、HPの最高ラインがVmaxに比べて低いことからムゲンダイナの登場によって淘汰されてきた。
その中で、形を変えることで生き残ってきたのが三神ザシアン。
かつてタッグチーム対策に向けてきたデッキリソースをムゲンダイナや他のVmaxポケモンに向ける必要があった。
具体的には、HP270,280帯を強烈に意識したガラルニャイキング、戒めの祠(大きなお守りまでケアするための竜の鉤爪)などが採用されていた枠が、Vmaxが環境に介入することによってクチート、ザマゼンタなどに変わっていった。
以前と比較すると、タッグチーム軸にとっては三神ザシアンに最適な打点ラインを出される機会は減ってきているため、タッグチーム側のゲームプランが通りやすくなっている印象を受ける。

Vmaxに勝つために形を変え、ほとんどベースを変えることなく圧倒的なトップシェアとなった三神ザシアン。
その流れに対して、タッグチーム軸は比較的動きやすくなっていると考えることができるだろう。

■まとめ

打倒・三神ザシアンに名乗りを上げる多種多様のデッキ達。
特にタッグチーム軸はそれぞれ三神ザシアンに有利な要素が強く、頭角を現し始めた。

来週の注目ポイントは、特に対応の幅が広いミュウミュウ軸、そしてこの影響を受けて三神ザシアンの動きがどうなるかといったところか。

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ではまた次回。

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