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5月31日の中国人反体制派ツイッター大虐殺

ツイッターは、米国の民間企業のはずである。しかし、そのツイッターが中国共産党の圧力のもとにあるとしたら? 

このことは米議会でも取り上げられ、特に中国委員会で議長を務めるルビオは、ツイッターで中国人の主要な反体制派のアカウントが凍結される事態を重く見てきた。

だが、この2019年5月31日に起こった事態ほど大規模なものはない。この日ツイッターでは、主に海外で暮らす中国人の反体制派を中心に、およそ3万人ものユーザーが突然ツイッターのアカウントを凍結された。

おりしも、天安門大虐殺が起こった6月4日からちょうど30周年を目前に控えた非常に敏感な時期である。そこで海外で暮らす中国人の反体制派を狙い撃つように、3万人におよぶユーザーのツイッターアカウントが凍結された。

中国人の反体制派たちの間では騒然となり、なんとかアカウント凍結をまぬがれた人々がいまも必死になって情報発信を行っている。

主要な反体制派のリーダーたちは今回の事件について、これは言論封殺のためになされた「ツイッター大虐殺」だとして、中国共産党とツイッター社に対して強烈な批判を行っている。解りやすいところで、まずは英語による告発から紹介しよう。以下は、郭文貴へのインタビューで知られるボイス・オブ・アメリカ中国語主任の龚小夏による告発だ。


彼女の場合は12時間でツイッターに復帰できたが、しかしこんなに早くアカウントが回復するのは例外的だ。いまだアカウントが凍結されたままの「戦友」の声を代弁すべく、龚小夏は数多くのツイートを行っている。今度は中国語での告発を紹介しよう。


ここで彼女は、ツイッター社が中国政府と緊密に協力して6月4日天安門記念日の前に言論封鎖を行った、人々はこれを「ツイッター大虐殺」と呼んでいると訴え、ツイッター社と中国共産党を強烈に批判している。

“推特大屠杀”、この表現がツイッター大虐殺にあたる。中国語でツイッターのことを推特というのだ。以下は、民主救国戦線で主席を務める唐柏橋が編集している「良知媒体」の報道だが、ここでも今回の件を「531中共的推特大屠杀」と形容して事態を伝えている。「531中共的推特大屠杀」、つまり「5・31中共的ツイッター大虐殺」だ。

この唐柏橋も、アカウントが凍結された一人だ。

かろうじてアカウント凍結をまぬがれた人々は、今回のツイッターによる大量粛清劇について積極的に発信している。特に郭文貴を支持する人々は短編動画を制作するのが大変に上手で、今回の件でもツイッター社と中国共産党を告発する2分ほどの動画が作成され、各ユーザーのコメント付きで盛んに拡散されている。以下の2つの動画は、その代表的な例だ。



米議会も問題視

もちろん、反体制派たちは今回の件を米政界に訴えている。以下は、郭文貴の盟友である路徳のツイートで、上下両院の議員、ホワイトハウス高官、ペンタゴン、米メディアが既に今回の件に注目しており、彼らがツイッター社に圧力をかけると告げている。

米政界のなかでも、特に熱心なのはルビオだ。今回の件について、ルビオは次のようなツイートをしている。


今後米議会では、今回の件でツイッター社の幹部を招いて公聴会が開かれることもありうるので、昨年開催された公聴会の動画を紹介しておこう。昨年、民主化運動のリーダーである郭文貴がフェイスブックやツイッターから締め出されたことを受けて、ルビオはこれらの米ネット企業幹部を公聴会に招き、郭文貴の件について厳しく詰問したのだ。


このたびアカウントを凍結されたおよそ3万人の人々も、これらの内容を見ることで冷静に事態に対処できるだろう。というのも、ツイッターではアカウントが凍結になっても、フォローしている人のツイートはちゃんと読めるのだ。こちらから情報を発信することはできないが、ツイッターのタイムラインに流れてくる情報を読むことは普通にできる。

ちなみに、これは非常に妙な部分もあって、アカウントが凍結されて暫くするとそのユーザーはフォローもフォロワーもいずれもゼロの表示になってしまうのに、しかしそれでいてタイムラインには、アカウント凍結前までフォローしていた人の投稿が流れるのだ。

ただし、もちろんアカウントが凍結されたユーザーの情報は流れない。彼らは情報を発信できないからだ。もちろん当の本人も情報を発信することは不可能である。

私も被害者

何故ここまで詳しく解るかというと、かくいう私自身もこの5月31日にツイッターのアカウントが凍結された。私は日本人であり、中国人ではないのだが、しかし中国共産党から見たら、私は中国人の反体制派と同じように映るのだろう。

なにしろ私は、楊建利や唐柏橋とは推友として相互フォローの関係にあった間柄で、私のツイートの多くは中国語によるもので、そんな私のツイートの内容は楊建利など中国の民主化運動家たちと連携するものだった。

また、私のことをフォローしてくれている中国人のなかには、かつて国家政権転覆罪で実刑となった活動家や、最高法院の元法官で中国の司法の腐敗を激しく告発する人や、兄弟が中国共産党によって獄中に送られた人などがいる。

しかし、だからこそ私も5月31日の一斉取り締まりの対象にされ、私のツイッターアカウントは凍結されてしまったのだろう。中国共産党は、どうやら私のことを「敵兵」と看做しているようだ。

もちろん、私は今回の件でツイッター社に異議申し立てをした。しかしこれを執筆している6月2日深夜の時点でも、いまだ私のツイッターアカウントは復活していない。私は、一刻も早く以前のようにツイッターを利用したいのだ。

天安門の件などをめぐり、日本人の私のツイッターアカウントまで凍結される。このような事態はとても納得できるものではない。

ルビオたちによる告発を受けて、ツイッター社は今回の件で謝罪したらしい。しかし、私のように実際にアカウントを凍結された者にとって、何よりも強く望むのはアカウントの早期復活である。そして、二度と今回のような事態を起こさないでほしい。

私は中国のことが好きだし、日本と中国が真の友好を構築する日が来ることを切に望んでいる。私は楊建利をはじめとする民主化運動家たちを心から尊敬している。

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