MEN / エクス・マキナ

※以下若干映画「MEN」のネタバレを含む可能性があります。

MEN

夫を自殺で亡くした主人公が、心の傷を癒すためにロンドンから車で4時間かかる田舎にある、なんとも素敵な屋敷に滞在するのですが、この屋敷の管理人といい、教会の神父といい、なぜか男たちはみんな同じ顔をしているし、なんか変な素っ裸の男がいきなり敷地に入ってくるしでもう最悪、もう帰る、ってなるんだけど、帰れなくなるどころか世にも恐ろしい一夜を過ごす羽目になるホラー的だけどホラーじゃない映画です。

わたしが高校生だった時、ちょっとおかしな英語の先生がおりました。

「men」は「man」の複数形で、「男性」という意味だけでなく「人類」「人間」という意味でもある。つまり人類というのは男のことを指すのだ。女性を表す「woman」はmanに子宮を表す「womb」がくっついたもので、つまり女性は「子宮人間」なんだ。

高校の時の英語の先生

気持悪いですね。今の時代だと完全アウトな発言だと思いますし、当時でも何言ってんだこいつという雰囲気になった記憶があります。

でも、英語の意味で言うと確かにそうですよね。
世の中の男性はそれらの言葉が内包する無意識的な差別みたいなのを、まぁそういう言葉だから、それはそれでしょうがないよね、ということで許容してきている気がします。

そういう何とも言えない気分の悪さ、みたいなのをギュッと詰め合わせにした映画です。「子宮人間」って聞いた時の底知れない嫌な感じを思い出しました。

あと美術、音楽が素晴らしいです。美しくて、とても不自然。主人公を演じるジェシー・バックリーも最高に素晴らしい。あの無表情!

エクス・マキナ

「MEN」を見る前に、アレックス・ガーランド監督の前々作をプライムで予習しました。

こちらはSF的だけどSFじゃない映画です。美しい風景と不穏さのコントラスト、定型のストーリーをちょっとずらして新鮮に見せる手法。共通点をいくつか感じました。

「キョウコ」という見た目アジア系の女性アンドロイドが出てきますが、「こいつは英語がわからないから大丈夫」とか、相変わらずひどい男も出てきます。

アレクサでもSiriでもいいですけど、現代のAI機器になにか頼むときって「命令」しますよね?

「アレクサ、8時に起こして」
「hey siri, 明日の天気教えて」

ちょっと変じゃないですか?
なんで命令系なんですかね?
なんで機械だったら奴隷みたいな扱いしていいんですかね?

そういう意識でずっと人工知能、ロボティクスが発展していったら大変なことになるよ、という警告のような映画だと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?