見出し画像

【galleryTSD企画展】のぐちみつよ+のぐちようこ さわる あそぶ えほん展『ふかふかパクパク』2023.7.28金 - 8.13日  

TOKYO SOCIAL DESIGNは、東京・板橋にある板橋不動通り商店街内に『galleryTSD』という場をひらいています。

今回は、galleryTSDで2023.7.28金 - 8.13日まで開催した、企画展「のぐちみつよ+のぐちようこ さわる あそぶ えほん展『ふかふかパクパク』」のレポートを書きます。

本展示のメイン会場が『gallery TSD』。そして、『パンを楽しむ店 ぱ~ね』『さがつく Craft & Cafe』、『板五米店』の4つの会場をつないで、“ボローニャ絵本さんぽ2023” に参加しました。

※“ボローニャ絵本さんぽ 2023”は、板橋区立美術館「2023 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」関連イベントです。

ようこさんがデザインしたチラシ表
ようこさんがデザインしたチラシ裏
のぐちみつよさん、のぐちようこさん親子と打ち合わせ(2023年5月)

のぐちみつよ(野口光世/ぐるーぷ・もこもこ)は、布のえほんと出会って44年、ただ今88歳です。
こどもたちの様々な特性や状況に寄り添って、あそびの中で成長や発達のひとつの支えとなるよう工夫をしながら、毎日ちくちく、パワフルに制作しています。
そして、共にボランティア活動をする、布のえほん・遊具の製作「ぐるーぷ・もこもこ」の仲間や、バリアフリー絵本を支援してくださる皆さんと、こどもたちの元へ贈り続けています。  

のぐちようこは、昨年と今年の春、講師をつとめた板橋区立美術館のこどもアトリエにて活用した“美術館で使いおわった紙” と“おうちにやってきた紙” “おうちにあった紙” の紙あそびをします。役目をおえた紙も、くしゃくしゃ・ぐるぐる・ぴりぴり・ぺたぺた、手でさわったり、音を聞いたり、観察や発見が面白く、まだまだあそびたくなる紙なのです。そして、自由研究中の“かたちとえほん” もお持ちします。なにかのかたち、ページをめくってもめくってもつづく構造、穴からのぞく向こう側、そこから膨らむ発想を手にとっていただければと思います。

のぐちようこさん広報用テキストより

みつよさんが現在88歳ということから、八十八=米!とようこさんが打ち合わせの際に思いつき、近所の板五米店とコラボして、食をつなげ『パクパク』をテーマにみつよさんの作品を選ぼうという発想が生まれました。

おいしい食べ物はもちろんのこと、お酒もいただけちゃう『パンを楽しむ店 ぱ~ね』、かつては、牛乳屋さんの冷蔵庫だったというユニークな空間のある『さがつく Craft & Cafe』、大正から築100年の歴史を持つ『板五米店』など、それぞれの場の魅力にちなんだ昔話を選びました。

1999年から12年間に渡り、甲斐大泉の絵本の樹美術館にて開催した“子どもも大人もお話の世界に入って楽しむ参加型シリーズ” より、一面に昔話の広がるタペストリーや的当てなどの大きな作品を展示します。ふかふかな布のパン・スイーツ・おむすびと、本物のパン・スイーツ・おむすびを、どちらもパクパクしながら、絵本さんぽをお楽しみください。

のぐちようこさん広報用テキストより

板五米店


おむすびとお弁当の販売と、定食と甘味処をメインにした、大正時代に建てられた元お米屋さんをリノベーションした古民家でお食事ができるお店。板橋区の有形文化財です。

『さるかに合戦』より
土間には『さるかに合戦』
奥の間に『ももたろう』
奥の間に『ももたろう』
床の間に『したきり雀』
『板子米店』外観


さがつく Craft & Cafe

さがす、つくるをコンセプトにしたカフェ。元牛屋さんをリノベーションした大きな冷蔵庫のあるカフェです。ここは、小茂根福祉園の珈琲(296coffee)をメインにテイクアウトとイートインの営業をしています。
みつよさんが44年前にはじめてつくった『おばけのほん』より、おばけを1匹、冷蔵庫の部屋に隠しました。(その理由は後ほど・・・)

みつよさん作『おばけの本』よりお化け
『三匹のこぶた』エプロンシアター
『三匹のこぶた』
ようこさんデザイン『かたちこくばん”まぐねっと”』日本理化学工業
『さがつくcafe&craft』カウンター
『さがつくcafe&craft』冷蔵庫
『さがつくcafe&craft』外観

パンをたのしむ店ぱ~ね

ハード系本格化のパンを販売、中でもおいしいドリンクとまさにパンが楽しめるパンメニューが食べられるお店『ぱ~ね』さんでは、『7匹のこやぎ』より巨大オオカミのタペストリーと7匹のこやぎが店の中に隠れているという設定で展示しました。

『7匹のこやぎ』よりオオカミのタペストリー
みつよさんがつくったパンの展示
隠れている子ヤギ
隠れている子ヤギ
隠れている子ヤギ
隠れている子ヤギ
隠れている子ヤギ
ぱ~ね外観

■展示の様子


メイン会場の『gallryTSD』では、みつよさんの代表作の展示とあそべるコーナーとフェルトでできたパン・ケーキの販売、ようこさんのデザインした文具の販売を所狭しと展示!
会場の装飾、キャプション、広報物はすべてようこさんが手がけました!

■7月28日~8月13日の間、SNSにて当時の様子をアップした記事


TOKYO SOCIAL DESIGN instagram 
TOKYO SOCIAL DESIN Facebook

■ワークショップ

8月11日にのぐちみつよさん、ようこさん、TOKYO SOCIAL DESIGNの3者それぞれでワークショップを行いました。

〇布のえほん「パクパク」より おさかなパクパク ワークショップ
フェルトでお魚の小さなしかけ絵本をつくるワークショップです。

▷のぐちようこ かたちとえほん『おべんとう〇△⊡』をつくろう
おべんとうばこのカタチに切り抜かれた、ジャバラ折の紙のカタチに絵を描くしかけえほんのワークショップです。

□TOKYO SOCIAL DESIGN『おばけのエコバックをつくる』ワークショップ
シルクスクリーンで刷られたおばけの周りに、のぐちようこさんがつくった消しゴムハンコで好きに模様をつけるワークショップです。

ワークショップは、つくる楽しさをみなさんに味割っていただけたと思います。またようこさんのワークショップでは、探す、発見する面白さも加わり、わたしたちもその様子を見ながらの気づきもたくさんありました。

今回の展示は公開日は13日間でしたが、3週間にわたる期間で私たちのギャラリーでも初めての長期間でした。そして、板橋区立美術館と、商店街の多店舗との連携ということで、大掛かりな企画となりました。

それも頼まれてやったというより、板橋区立美術館の松岡館長にきっかけをいただき、あとは私とのぐちようこさんでの企画で勝手に盛り上がったというところ。だからこその熱量で、この期間を乗り切りました。

今回、多くのお客様に来ていただきました。およそ、200人ほどのお客様にご来場いただきました。
ボローニャ絵本原画展のお客様から、みつよさんの44年間の活動にリンクしていらした方々、ようこさんのデザインや子育ての関係でつながった仲間、そして私たちのアトリエやギャラリーの活動、福祉関係の方々、それからこのギャラリーを通りがかって入ってきてくださった方、板五米店、さがつくcafe&craft、ぱ~ねのお客様と・・・、長い歴史と積み重ねの結果や、偶発的に出会った人たちによってこの輪が生まれました。

この地域は『縁宿』と通称言われていますが、食と文化がつなぎできた縁がこの旧中山道を行ったり来たりして豊かな風景として現れました。

みつよさんの活動は、私自身も子どものころに通過してきた懐かしい子どもの文化活動です。戦後、平和を願う大人たちが子どもたちに良質な文化を届けようとして、様々な取り組みがあった昭和の時代が感じられます。
みつよさんが戦前に体験したことが、きっとこの作品に表れているのではないかとお話を聞くたびに感じました。
私と同世代のようこさんがこのことを引き継ぎ、デザインを取り入れ、今回は編集したつもりでいます。

この8月上旬というもう80年近く前の二度と繰り返してはならない戦争を思い起こす期間に今回の展示ができたこと、大変ありがたい機会をいただいたと感謝しております。

これから子どもの文化について、ようこさんと何かしら続けていくきっかけをいただきました。今後、どんなカタチで何をしていこうかと二人で早速作戦を練り始めます。そして、毎年この8月上旬に、戦争を繰り返してはならないことを絵本という切り口でgalleryTSDは毎年、絵本の企画を行っていきたいと決意しました。

今、コロナ禍が通過したところ、劇的に世の中が変化しています。これから必要な力は何か、もう答えが出ているように感じます。子どもたちだけではなく、人生100年時代と言われている現代、どの年齢の人にとっても、不安が尽きない時代になっています。

今回の企画展で感じたことを、様々なカタチで今後もこの場から発信し続けていきます。

TOKYO SOCIAL DESIGN 代表 加藤未礼

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?