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第3回SDGs担い手育成講座(2023年度)

第3回SDGs担い手育成講座を開催しました。この講座の概要、第1回、第2回の講座につきましては以前記事を作りましたので、こちらをご覧ください。

・トヨタ白川郷自然學校概要

第3回SDGs担い手育成講座のご報告

狙い

第3回:未来について本気で考え、本音で語る
第3回は現場体験として、白川郷学園を訪問し、学園7~9年生(中学1年生~3年生)と交流し、白川村の未来を担う子どもたちの想いに触れる機会としました。また、ゲストにトヨタ自動車株式会社の大聖悠介氏やトヨタの若手社会人で兼業起業として、どんぐりピッド合同会社を設立された鶴田彩乃氏にお越しいただき、未来に目を向け、可能性溢れる多様な未来について考えていただき、自身の想いを深めていただきます。

参加者

年間を通した連続講座の第3回は7都府県7学校から10名の若者が参加しました。今回も多様な分野の方がおり、様々な視点や想いを持った若者が集まりました。また、昨年の参加者3名もOBOGとして関わっていただきました。

スケジュール

【1 日目】
  PM 白川郷学園集合
     開会・オリエンテーション
     白川郷学園 7~9 年生合同授業出席「未来の担い手と交流」
     グループセッションⅠ
   夜 懇親会 
【2 日目】
  AM 朝の森の散歩
     ゲストトークⅠ「白川村育ち22歳が今、思うこと」
     ゲスト:大溝琴さん、大野日茉梨さん
  PM ゲストトークⅡ「トヨタ自動車のサスティビリティへの取組み」
     講師:大聖悠介氏(トヨタ自動車(株)環境エンジニアリング部) 
     ゲストトークⅢ
      「シェア冷蔵庫サービス開発とフードロスゼロに向けた挑戦」
     講師:鶴田彩乃氏(どんぐりピッド合同会社CEO)
     グループセッションⅡ
   夜 懇親会
【3 日目】
  AM ふりかえり
     グループセッションⅢ
  PM クロージング

活動の様子

①開会・オリエンテーション
まず簡単な近況報告などを含めた挨拶をしました。3回目となると久しぶりの再会でも緊張することなくすぐに打ち解けあい、自然と会話が弾みます。
その後、ファシリテーターの黒坂より、副題とのつながりとして、第3回は「誰もが」にフォーカスして学ぶことが共有されました。初日は白川村の未来を担う白川郷学園の生徒たちとの交流です。そこで、白川郷学園の生徒との意見交換会の準備として、コミュニケーションは「言葉のキャッチボール」ということで、実際にキャッチボールしながら、生徒とのコミュニケーションの際の心構えや教育的配慮などを考えました。

言葉のキャッチボールの練習

②白川郷学園7~9年生合同授業「未来の担い手と交流」
最初に、白川郷学園の説明について8年生(中学2年生)の生徒からお話していただきました。村民学や結クラスなど他にはない取り組みに驚き、白川村の抱えている課題を自分ごととして考え、発信する力を身につけている姿に関心していました。その後、少人数グループに分かれ、学園の先生より頂いたお題で 「SDGs視点で村が変えるといいと思うこと、また、変わってはいけないと思うこと」や「将来について」などを中心に意見交換しました。また普段の生活などざっくばらんなトークテーマでも盛り上がっていました。

③グループセッションⅠ
自然學校に戻り、白川郷学園の生徒たちとの意見交換の前と後での生徒たちへの印象の変化(ギャップ)などを個人ワークでまとめ、仲間と共に共有しました。また価値観の相対化を図るため、「各々が考える中学生像と比較して、白川郷学園の生徒たちを一言でいうと…?」というグループワークがありました。この問いに対して、「自立している」「素直」「”共に”を体現している」「生きる力」など、様々なキーワードが出ていましたが、話し合いの結果、「みんなが主役」というカタチで意見がまとまりました。

少人数グループに分かれ、意見交換
思い思いに、書き出します
各グループで意見交換後、発表
”LEGO” それぞれが自立していて、組み合わせ次第でいろんなカタチに変化する
さらに全体で、問いの答えを抽象化

白川郷学園訪問や生徒との交流を通して、次のような感想がありました。
「生徒達との交流後、自分含め皆の目がキラキラ力強くなった気がした。」
「生徒たちとの意見交換も一人一人が自立していて、しっかりしていて頼も
 しいと思いました。」
村への愛が育まれることで、村の良さや課題を的確に把握し、村をより良
 くしようという想い
が様々なカタチで彼らの将来にプラスに作用している
 と思った。」
「自分の住んでいる地域を通して、世界単位で注力しているSDGsについて学
 べる環境は素晴らしいと思った。」

③朝の森の散歩
2日目の朝、自然學校周辺の森を散策しました。森に棲む野生動物の話を聞いたり、クロモジやタムシバなどの香りを嗅いだりして、自然のなかでリフレッシュした1時間となりました。

④ゲストトークⅠ「白川村育ちの22歳が今、思うこと」
 ゲスト:大溝琴さん、大野日茉梨さん
世界遺産荻町合掌集落の中央に位置する荻町公民館へ移動し、白川村育ちの若者である大溝さん、大野さんのお二人に、其々からお話を伺いました。「これまでどのような人生を歩んできたのか」「今、どんなことを思って
暮らしているのか
」などを語っていただきました。

荻町公民館までの移動の様子
大溝琴さん・大野日茉利さん

大溝琴さん・大野日茉利さんとの交流後、次のような感想がありました。
「一度故郷を離れて、また戻ろうと思える想いや愛の深さを感じた。世代の 
 違いによって村内で意見がすれ違ったり、物事が上手く進まなくても、諦
 めていない。それは、村への思いの強さが表れているなと思った。」
「同じ年代の人たちが時間やお金、人脈をかけて一生懸命に取り組んでいる
 姿に胸を打たれた
。」
「自分の出来ること、それぞれの得意分野をかけ合わせたら、大きな一歩を
 踏み出せそう
だと強く感じた。」
「白川村外で暮らして戻ってきた人の体験を直に聞けたのはとても貴重でし
 た。」

⑤ゲストトークⅡ「トヨタ自動車のサスティビリティへの取組み」
 講師:大聖悠介氏(トヨタ自動車(株)環境エンジニアリング部) 
民間企業の一つとして、トヨタ自動車のSDGsやサスティナビリティについて、特に脱炭素(カーボンニュートラル)への取り組みを中心にお話しいただきました。脱炭素への道としては電気自動車が注目されているが、それを普及させるためには「発電のクリーン化」やリチウムなどの「資源の確保」「充電インフラの整備」などが必要だということでした。また、電気自動車以外にもトヨタとしては燃料電池自動車(FCEV)やバイオ燃料の自動車などを開発しており、「正解は1つではない。未来は自分たちで作っていく。豊かさ”とは”選択肢がたくさんあること”」という言葉で締めくくっていただきました。

⑥ゲストトークⅢ
 「シェア冷蔵庫サービス開発とフードロスゼロに向けた挑戦」
   講師:鶴田彩乃氏(どんぐりピッド合同会社CEO)
トヨタの先進プロジェクト推進部に所属している鶴田さんですが、トヨタの法人としての取り組みは前述の大聖さんにご紹介いただいたので、鶴田さんには一個人としての取り組みをお話いただきました。2020年コロナ禍に入り「社会のために何かしたい。私は何ができるのだろう?」という想いから、鶴田さんが興味関心が高かった「フードロス」という課題に対して、仲間と共に起業し、活動してきたことを苦労話なども踏まえ、お話いただきました。新しい挑戦で大切なものとして様々な壁を乗り越える「推進力」、さらにその推進力となるのは「共に信頼し、前に進んでいける仲間の存在」など、鶴田さんが大切にしている想いや考え方などを伺うことができました。最後に「今どき、どの選択が正解なのかわからない。正解の選択肢を選ぶのではなく、選んだ選択肢を正解にする力が必要」との話がありました。

⑦グループセッションⅡ
ここでは、初日の白川郷学園の生徒たち、2日目AMの大溝さん・大野さん、PMのトヨタの大聖さん、どんぐりピッドの鶴田さんの話を受け、次のような問いを投げかけました。
SDGs視点で、最も成果があるものはどれだろう?
少人数グループに分かれ、話し合いです。なんと順位をつけなくてはいけません。受講生は大分頭を悩ませていました。「地球規模の影響力で見たら」「人の心を動かすかという視点で見たら」「将来性や発展性で見たら」「17の目標という視点で見たら」など、いろんな意見が出ました。結果、真逆の順位になったグループもありました。このワークを通して、SDGs視点という時に、いろんなモノサシがあることを体感していただきました。

外からの視点で見て、本講座のデイリーニュースを作成するOBOG

⑧懇親会
この講座の特徴の1つでもある、ゲストと一緒にざっくばらんに交流できる懇親会。白川村の若者の大溝さんや、どんぐりピッドの鶴田さん、石渡さんにもご参加いただき、様々な想いを共有しました。

⑨ふりかえり
3日目の朝、しんしんと降る雪を眺めながらロビーで過ごすなど、それぞれ心地よいと感じる場所で2日間を改めて思い返し、自分の中に芽生えた新たな思いや気づき、考えなどを言葉にする時間です。

⑩グループセッションⅢ
個人でふりかえったことをグループで共有する時間です。誰かに話すことで考え方の幅を広げ自分の考えをまとめていました。また、「この3日間を一言で表現してください」という問いがあり、それぞれがまとめ、発表し、各々の想いを共有しました。

⑪クロージング
「今回の講座で新たに手に入れたコトは何ですか?」との問いに対して、各々が発表し、3日間の活動を共にした仲間の想いを分かち合い、第3回の
幕を閉じました。

なお、今回も22年度の講座OBOGの3名が参加し、第3者目線で日々の活動の学びや印象に残ったことにフォーカスし、デイリーニュースとして作成してくれました。

実施結果(主催者所見)
今回は白川郷学園の生徒たち、白川村の大溝さん・大野さん、トヨタの大聖氏、どんぐりピッドの鶴田氏・石渡氏と多くの方々にご協力いただきました。今回、副題とのつながりで”誰もが”がテーマで、子どもも大人も都市も田舎も、様々な人々がより良い暮らしを求めて過ごしていることを体感していただきました。ただ、その〝誰もが”に〝自分自身”が含まれていることも忘れてはいけません。初日のグループワークで〝みんなが主役”というキーワードがでましたが、その意識がとても大事なことだと考えております。

参加者の皆さま、ご参加いただき、ありがとうございました。また、第4回に会いましょう!

クロージング終了後、集合写真(白川郷の本格的な冬の幕開け?)