読んだ本 2023年12月−2024年1月
ここ2カ月ほどでいろいろな本や雑誌を買ったので、読んだものから雑感を書いていきます。
まだ全部読めてないからまずは5冊だけ。
『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった』
宮崎伸治 著
2020年1月/フォレスト出版
『7つの習慣』の関連書籍を翻訳した著者が、仕事を始めるまでの経緯や、出版社との間に起きた数々のトラブル、出版業界を去ったキッカケをまとめている。
イギリス留学時代、新聞によくエッセイが掲載されたというエピソードも納得の書きぶり。面白いというには不謹慎な内容だけど、ずっと続きが気になる本だった。
登場する出版社の名前は伏せられてはいるが、かなりヒントが出てるのでどの出版社の話なのか検討をつけられると思う。
そんなぶっちゃけた話をしたくなるのもわかるくらい散々なトラブルに見舞われていた。
トラブルの大半は「20~30年前の話だから」で済ませられるわけではなく(さすがに担当編集者らの言葉遣いは違うだろうけど)、発刊時期の延期などは今でも十分にあり得る……。
いま出版翻訳家を目指してる人が読んだら、“トラブルの傾向と対策”みたいなのがわかるかもしれない。
こうして私は職業的な「死」を迎えた、というサブタイトルが付けられている通り、著者は現在(著者の提示する条件で以外では)出版翻訳家の仕事を受けていないらしい。
『誤訳の構造』
中原道喜 著
2021年7月/金子書房
実際にあった誤訳を例に出し、どんな誤訳が発生しやすいかを解説した書籍。
著者は「誤訳をあげつらう本ではない」と明言していて、「引用した誤訳はどれも翻訳者の力量不足が原因ではない」という注意が度々書かれている。
僕の英語力はまだまだなので「こんな単語はこんな意味で使われてるんだ」「高校のときにこの構文を習った気がする」くらいの感想しか持てなかったけど、プロでも誤った英文解釈をすることがあると知れただけでよかった。
一部、1928年の三省堂英和大辞典(96年前!)を参照して解説する場面もあり、著者の気合いのようなものを感じる。著者は1931年生まれなので、単純に使い慣れた辞典を引用しただけなのかもしれないけど。
『2024年版 このミステリーがすごい!』
『このミステリーがすごい!』編集部 編
2023年12月/宝島社
最近の推理小説の流行りを知りたくなったので約10年ぶりに購入。
昔は価格が500円くらいだったけど、いまは税込900円になって驚いた。紙の値段上がってますよね。
冒頭は東野圭吾と青山剛昌の対談。二人とも「あのキャラクターのあの行動には実は意味があった、とか後付けで考える」って話してるところが面白かった。
各小説家が新刊情報を語る「私の隠し玉」のコーナー。
10年前、皆川博子(当時80代)が「手書きで原稿を書いていたけど、最近はワープロで原稿を書いています」なんて書いていたなあと思い出した(うろ覚え)。
今年は「小説が完成するまで待ってください」と死神にお願いされていた。
鯨統一郎が新刊とまったく関係ない文章2行ほどで終わらせていた。10年前もこういう人が気がする(もしかして毎年2行で終わらせてる?)。
『モネへの招待』
井口俊 作品解説監修
2021年3月/朝日新聞出版社
上野の森美術館で開催される展覧会「モネ 連作の情景」に向けて読んでおこうと思い買ったものの、結局展覧会には行かず……。
今年の10月にも、国立西洋美術館で展覧会「モネ 睡蓮のとき」が開催されるしなあと思いながら読んだ。
年代別に解説文と作品が掲載されるだけでも嬉しいけど、モネの作品を所蔵している美術館のマップがあったり、関連本の読書案内(しかも他社の本)があったりするのも嬉しい。
『王国(あるいはその家について)』
高橋知由
2023年/コギトワークス
映画「王国(あるいはその家につおて)」のシナリオブック。
監督のコメント(1ページ分)、劇中に出てきた供述書と手紙も掲載されている。
劇中では登場しないシーンのシナリオがあったり、暗号回線のシーンの“暗号”部分も書かれたりしているので少し得した気分になった。
亜希と野土香が話すシーン、2人の関係が終わり得る重い空気のなかで「助けてほしい時はいつでも言って」というセリフが出てくるのがすごく好き。
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