ルーブル美術館展 愛を描く

本日、ルーブル美術館展に行きました。

ルーブル美術館展の入り口



前書き、あるいは雑談

ルーブル美術館展は現在国立新美術館で開催されている美術展です。さまざまな形の「愛」を題材に描いた作品が集められています。

余談ですが、美術館に行くと、程よい疲労感と、すっきりした気分が得られます。絵を見ることで、知らず知らずのうちに自分の心の中と向き合っているのでしょうか。毎回不思議と爽やかな気持ちになります。
 
そんな話はさておき、普段美術展に行く前は絵についてあまり調べていきません。純粋にその場で見た絵画を感じ取りたいという建前のような理由と、あまり調べていく時間がない、という本音のような理由からです。

ですが、今回はいくつかの展示についてあらかじめ調べてから美術展に挑みました。
結果として、調べていくことで、絵画について予備知識が身に付き、深く観察することはできました。
一方で、純粋に絵画から感じるインパクトのようなものは割と薄れてしまったように感じました。それでも、圧倒的な雰囲気を感じた作品はたくさんあったので、絵画ってすごいですね。
 


というわけで、忘れないうちに、印象に残った作品について、感想を述べていきたいと思います。


ルーブル美術館展のポスター(at 国立新美術館)

①アモルの標的(フランソワ・ブーシェ)

この作品は、ルーブル美術館展のポスターにも用いられています。アモル(キューピッド)がたくさん描かれている作品です。
 

この絵については、事前に少しだけ調べていきました。
作者のフランソワ・ブーシェはロココ美術の代表的な作家です。ロココ美術とは、バロック美術の反動で興った美術の潮流であり、自由奔放で親しみやすい画風が特徴的です(*1)。
 


この絵は美術展の一番初めに飾られていますが、目の前で見た瞬間に圧倒されました。文字通り。
ロココ美術のいう自由奔放さや親しみやすさが存分に表れている作品だと思います(美術に精通しているわけではないので、素人目線からの感想ですが、悪しからず)。
 


具体的にどこが印象に残っているかというと、空の明るさとアモルたちの行動が、明るい恋の行方を示唆してくれるように感じたところです。
 
まず、空はきれいな水色です。何か良いことがおこりそう、というそんな素敵な予感をくれる色になっています。
そして、アモルの矢は1本はハートに刺さり、もう1本はハートの下に刺さっています。アモルの矢がハートに刺さっているということは、愛が誕生したということです。ハートの下に1本刺さっているということは、もう1人アプローチした人がいたけれども、成就しなかったということでしょうか。そんな想像をしつつ、絵の下のほうを眺めてみると、アモルが不要になった矢を燃やしている場面が描かれています。愛が誕生したので、愛を誕生させる矢はいらなくなったということです。恋人たちの一途な想いを表しているようで、ほほえましく感じます。
(ちなみに、ここに書いた説明の一部は、『ルーブル美術館展』のHPの作品紹介にも掲載されている内容なので、詳しく知りたい方はそちらへどうぞ。*2)
 

写真やポストカードで見るよりも、実際に見ると明るい絵のように感じました。見るだけで、なんだか元気をもらえる1枚です。


②プシュケとアモルの結婚(フランソワ・ブーシェ)

この作品も、ブーシェの作品です(どうやら私はブーシェの作品が好きなようです)。
 
プシュケとアモルの恋愛にはさまざまな試練がありました(知りたい方は調べていただければ、すぐにわかるはずです。ルーブル美術館展の作品紹介にもエピソードは掲載されています)。それを乗り越えて、天上で結婚式を挙げた二人の幸せそうな様子が描かれています。二人の周りには、祝福する者たちがたくさん描かれています。ただ一人を除いて。
 
この一人というのは、アモルの母ヴィーナスです。ヴィーナスは二人の結婚に賛成しているわけではないのです。その証拠に、ヴィーナスは戦車の上に乗って、そっぽを向いています。なんだか人間味があってちょっとお茶目でかわいらしく感じますね。
 
この作品も、幸せなのだろうな、と感じる様子が絵いっぱいに感じられます。ブーシェの明るい色使いのおかげなのでしょうか。

③アモルとプシュケ(フランソワ・ジェラール)


アモルとプシュケ(この作品は撮影が許可されていました)




少し順番が前後して、最後のほうに展示されているこの作品。
この作品は、別名「アモルの最初のキスを受けるプシュケ」と題されています。どこか虚空を見つめるように見えるプシュケに対して、アモルが口づけをしています。目が見えていないようなプシュケの様子は、初めて愛を自覚した無垢な少女の様子が読み取れ、彼女の上には、蝶が舞っています。これは、プシュケが「蝶」と「魂」を意味するためだそうです(*2)。
 
この作品は、プシュケが初めて愛を自覚したということから、アモルとプシュケの恋愛の、初めのほうのプシュケの様子であると考えられます。
この作品でのプシュケと比べると、②の天上で結婚式を挙げているプシュケは、明らかにアモルを愛していることがそのまなざしから感じられ、様々な経験を通して、プシュケが愛に対して自覚し、経験を通して愛がさらにはぐくまれているように感じました。
 
同じ2人を題材にとっていても、2人の話のどの部分を切り取るかで、アモルとプシュケの表情や描かれる様子が変わっていくのもまた面白い点です。


④アモルの誕生(ウスターシュ・シュウール)

ここまでアモルについて題材をとっている絵を見ていると、アモルについて気になってきます。そこでウスターシュ・シュウールの描いた、アモルの姿が現れると、さらに惹きつけられます。
 
シュウールは「アモルの誕生」だけでなく、「ユピテル、ユノ、ネプトゥヌス、ディアナにアモルを紹介するヴィーナス」など、アモルの様々な姿を描いています。すべて同じ場所に展示されており、中には「母に叱られ、ケレスの腕の中へ逃げるアモル」というほほえましいエピソードを描いた作品もあって、やはりギリシア神話の神様は少し人間味があって親しみやすいなぁ、と改めて思わされます。



おわりに

いろいろ書きましたが、実際に見に行ってみると、ここに書いたよりももっとずっと多くのものを感じられると思います。ここで挙げた作品はほんの一部分ですし、私自身見終えてから気づいたのですが、ギリシア神話を題にとった作品が好きなようで、かなり偏ったジャンルについて感想を述べています。
ギリシア神話の神様の愛や、キリスト教の愛など、いろんな愛の形があるようですが、私にはまだその一部分しか理解できていないようで、絵の解説が書かれていても、「ふぅん……?」となんとなくよくわからない気分に襲われることもたくさんあります。経験を積んだらわかるようになるのでしょうか。


ちなみに、乃木坂駅から国立新美術館に向かったのですが、紫色のネズミが天井にいました。何かの展示展のネズミのようです(おそらく)。


手を振る紫色のネズミ。

つけたし。
ルーブル美術館展のPC版のHPがとてもかわいいので、ぜひ興味がある方は一度でもいいので除いてもらえると……!
特に、作品紹介で絵にカーソルを合わせると、ハートでかたどられたViewが出てくるのがとても魅力的です。


参考HPなど。

*1

*2


ぜひ、少しでも興味がある方は、足を運んでいただきたいなと思います。

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