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ネクタイマニアの方へ、理想的なノットを作るための条件について考えてみました。(②ノットの「高さ」編)

 3回にわたって、理想的なノットを作るための条件について、ネクタイ工房ならではの視点でお話しています。

第1回目は、結び方の違いでノットの形にどのような違いが出るかをお伝えしました。

第2回目の今回は、「ノットの高さ」にフォーカスしたいと思います。

ネクタイのノットは立体ですので、その形を構成する要素は「高さ」と「幅」と「奥行き」になります。
そのうち、結び方の違いで調整できるのは「幅」と「奥行き」です。
プレーンノットのようなシンプルな巻き方であれば「幅」は細く、「奥行き」も狭くなりますし、ウインザーノットのような複雑な巻き方だと「幅」は太く、「奥行き」も広くなります。

では、残りの「高さ」が異なると印象にどのような違いが出るのでしょうか。
2つの写真を比べてみましょう。

ノットの高さ3.3cm

プレーン・3.3cma

ノットの高さ5.5cm

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いかがでしょうか。どちらも同じプレーンノットで結んでいますが、ノットの高さによって印象が全く違うと思います。
ノットの高さが低いと丸っこい(場合によっては平べったい)ぽってりとしたノットになり、高いと長細いスマートなノットになります。

では、ノットの高さはどうやって決まっているのでしょうか。
実はノットの高さは、大剣先からノット部分の下までの長さ+約14cm部分のネクタイ幅と決まっています。(例えば、大剣先からノット部分の下までの長さが45cmだとすると、大剣先から59cmくらいの位置がノットになり、その幅がノットの「高さ」になります)


なぜなら、ネクタイの生地は、大剣からノットの中を通り1回だけ裏に回ってからノットの表に出てきます。
そのため、どんなネクタイでも、どんな結び方にしろ、ノットに中に入るところから表面に回るまでの長さはほとんど変わらず約14cmとなる訳です。

ただ、ネクタイは、あまり気づかれないかもしれませんが、実はそのネクタイによってシルエットが異なっています。具体的には、大剣先からノット部分にかけて、幅を大きく狭めているものもあれば、あまり狭くしていないものもあります。

そしてネクタイは多くが既製品のため、結んでみない限り、ノットの「高さ」がどのくらいになるかわかりません。(当然、店頭で試しに結ぶことはできないのが現状です)(皆さんが予め大剣からノット下までの長さを把握しておくと、どのくらいのノットの「高さ」になるかはある程度わかります)


ノットの「高さ」はVゾーンの印象を決める大事な要素なだけに、お客様にとっては買って結んでみるまでわからない状況になってしまっているのが、作り手としてはもどかしいところです。

もしノットの「高さ」までこだわりたいという方は、数は少ないですがオーダーメイドネクタイを取り扱っているテーラー様もありますので、ご利用なさってはいかがでしょうか。

「ネクタイの結び方」「ノットの高さ」の次は、ノットを美しく魅せる「ディンプル」についてお話ししたいと思います。

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