koutarou watanabe

1963年創業のツバメ日吉というネクタイ工房を営んでいます。ビジネスファッション、工房…

koutarou watanabe

1963年創業のツバメ日吉というネクタイ工房を営んでいます。ビジネスファッション、工房での創作の様子や工房のDIY活動などの様子を共有させていただきます。よろしくお願いいたします。

最近の記事

ネクタイ結び、迷ったらセミウィンザーがお薦めです!【結び方】【初級者向け】

【まとめ】 日本のネクタイ市場に出回っている既成品のネクタイの場合、長さ(140cm~146cm)と解けにくいことを考えると、初めに覚えるのは、セミウィンザーがお薦めです! そんなお話です。 【本文】 なぜ、セミウィンザーがお薦めか(ネクタイの長さ編)? 日本のネクタイ市場に出回っているネクタイの長さは、140cm ~ 146cm が多いです。140cm ~ 146cm くらいのネクタイだと、ウィンザーノットで結ぶと短くなり、プレーンノットだと長くなる人が多いと思い

    • 「ネクタイの大剣幅」は、「スーツのラペル幅」と合わせるのがコツです!【選び方】【中級者向け】

      【まとめ】 ネクタイを少しずつ購入するようになると、ネクタイの大剣幅には色々あることに気付くと思います。 では、ネクタイの大剣幅は、どうやって決めるのが良いでしょうか? 「ネクタイの大剣幅」と「スーツのラペル幅」、「シャツの襟先の長さ」を揃えるとバランスの良い綺麗な V ゾーンになります。 そんなお話です。 【本編】 スーツのラペル幅(写真:約8.5cm) シャツの襟先の長さ(写真:約8.5cm) スーツのラペル幅とネクタイの大剣幅を合わせるとなぜ良いのでしょ

      • ストライプ柄のネクタイは気をつけて!【選び方】【中級者向け】

        【まとめ】 ネクタイの色や柄は、冠婚葬祭でなければ、ある程度はどんな色や柄でも大丈夫です。しかし、海外の方とフォーマル度が高い場所でお会いする場合、ストライプ柄はしない方がお薦めです。 そんなお話です。 【本編】 なぜ、ストライプ柄はしない方が良いのでしょうか? それは、ストライプ柄の歴史が、16世紀の英国の連隊旗の柄から来ており、今でも、色々なグループの所属を表す手段として、ネクタイが用いられているからです。 海外のビジネスファッション指南書にも 「レジメント

        • ネクタイの HAND MADE って、何が良いのでしょうか?(生地への影響編)

          ネクタイの表示で HAND MADE という表示を見たことはありますか?HAND MADE って書かれているとちょっと、高級そうに感じるけど、使う側に何かメリットがあるのかな?なんて、感じたことがありませんか? HAND MADE (手縫い)もMachine Made (機械縫い)、どちらも縫製している工房からの視点で、HAND MADE のメリットを書いてみたいと思います。 【まとめ】 HAND MADE が良い理由は、2点あります。 ・生地を傷めない(機械縫いです

        ネクタイ結び、迷ったらセミウィンザーがお薦めです!【結び方】【初級者向け】

        • 「ネクタイの大剣幅」は、「スーツのラペル幅」と合わせるのがコツです!【選び方】【中級者向け】

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        • ネクタイの HAND MADE って、何が良いのでしょうか?(生地への影響編)

          ネクタイマニアの方へ、理想的なノットを作るための条件について考えてみました。(③ディンプル編)

          ネクタイの理想的なノットについて、第3回目は「ディンプル」についてです。 皆さんはネクタイを結ぶときディンプルを作る派でしょうか、作らない派でしょうか。 ディンプルについては賛否両論ありますが、やはりディンプルを作った方がネクタイは魅力的に見えますので、日ごろから作ってもらいたいなと思います。 ただ、ディンプルを作る派の方でも、なかなかうまく作れず困っている方が多いのではないでしょうか。 実はディンプルを作るには、ネクタイそのものがディンプルに適しているか否かも重要になっ

          ネクタイマニアの方へ、理想的なノットを作るための条件について考えてみました。(③ディンプル編)

          ネクタイマニアの方へ、理想的なノットを作るための条件について考えてみました。(②ノットの「高さ」編)

           3回にわたって、理想的なノットを作るための条件について、ネクタイ工房ならではの視点でお話しています。 第1回目は、結び方の違いでノットの形にどのような違いが出るかをお伝えしました。 第2回目の今回は、「ノットの高さ」にフォーカスしたいと思います。 ネクタイのノットは立体ですので、その形を構成する要素は「高さ」と「幅」と「奥行き」になります。 そのうち、結び方の違いで調整できるのは「幅」と「奥行き」です。 プレーンノットのようなシンプルな巻き方であれば「幅」は細く、「奥

          ネクタイマニアの方へ、理想的なノットを作るための条件について考えてみました。(②ノットの「高さ」編)

          ネクタイマニアの方へ、理想的なノットを作るための条件について考えてみました。(①結び方編)

           ネクタイのノットについて、皆さんは気にしたことがありますか?  普段何気なくネクタイを結んでいるかもしれませんが、ノットの形や大きさは、スーツとシャツ、ネクタイから成る、いわゆるVゾーンを構成する大事な要素です。  ただ、理想的なノットを作るためには、実はいくつかの条件を考える必要がある、ということはあまり知られていないと思います。  そこで、今回から3回にわたって、ネクタイ工房ならではの視点でノットについてお話ししたいと思います。  初回となる今回は基本となる「ネクタイ

          ネクタイマニアの方へ、理想的なノットを作るための条件について考えてみました。(①結び方編)

          ネクタイを初めて結ぶ方へ、ネクタイの長さと結び方の相性について

          4月からいよいよ、新入社員、新中学生、新高校生になる方は、初めてネクタイを結ぶなんてことがある方もいらっしゃることだと思います。最近では、ネットを見たりすれば、結び方を解説しているページがあるので結ぶことができると思います。ただ、ネクタイには、色々な結び方があるのはご存知ですか? ネクタイの結び方には、85通りあると言われています。この中で、有名な結び方は、四つあると思います。プレーンノット(フォアインハンドノット)、ダブルノット、セミウィンザーノット、ウィンザーノット、以

          ネクタイを初めて結ぶ方へ、ネクタイの長さと結び方の相性について

          "心を込めたものづくり"を目指し、失敗した過去のお話です。

          私は、2007年31才まで研究者として働いていました。2008年32才で家業であるネクタイ縫製業に興味を抱き、モノ作りを楽しみたいと入社しました。 しかし、ネクタイ業界というと、2005年クールビズ、2008年リーマンショック、2011年東日本大震災と弊社の売上は半減。特に、2011年東日本大震災は、入社して3年経ち、また、人の命に関して考えさせられることが多く、自分のモノ作りへの在り方を考えるようになり、使い手よりも、モノを流通させるためのモノ作りに疑問を抱き始めました。

          "心を込めたものづくり"を目指し、失敗した過去のお話です。

          ネクタイの大切な機能のお話をする前に必要な、ネクタイの構造のお話です。

          【テーマ】私が思う、ネクタイの大切な機能は、5つあります。結び始めがわかること。結びやすいこと。結んだ後のシルエットが綺麗なこと。型崩れがしにくいこと。しわになりにくいこと。以上の5つです。 「これら機能の良し悪しは、何が要因なのでしょうか?」 のお話の前に、ネクタイの機能に大切なネクタイの構造について、お話します。 【まとめ】ネクタイは、表地と芯地とそれらを紡ぐ糸で出来ています。ネクタイの構造はシンプルです。芯という体に、表地という服を着ているような感じです。表地はデ

          ネクタイの大切な機能のお話をする前に必要な、ネクタイの構造のお話です。

          デザイン重視でネクタイを購入し、失敗する理由を考えてみました。

          【テーマ】ネクタイは、購入時、デザイン性が重視されています。しかし、実際購入して、結んでみると合わないということがよくありますよね(デザイン性を気に入って購入したはずなのですが・・・)。それは、ネクタイとして機能していません。つまり、「ネクタイには、機能がある」ということだと思います。ネクタイの機能って何だろう?それを考えるうえで、スーツ、、パンツ、シャツがホワイト色だが、自分に合ったサイズだとして、それに、ホワイト色のネクタイを結んで見ることを想像して見ました。その上で、更

          デザイン重視でネクタイを購入し、失敗する理由を考えてみました。

          ネクタイの歴史(西洋と日本の歴史比較)

          【まとめ】1870年頃より西洋では第二次産業革命が起こり、労働者の働き方が現在に近くなり、現在のビジネスファッションが台頭してきた。1867年、日本では大政奉還がなされ、西洋化に舵がとられ、1900年に至るまでに、日本は西洋列強国と肩を並べるまでの存在になった(1894年日英通商航海条約の調印)。なので、1870年の西洋でのビジネスファッションの台頭以降、ネクタイの歴史は、西洋・日本でもほぼ大差がない。 【日本のネクタイの歴史(2つの覚えておきたいこと)】①ネクタイの日本語

          ネクタイの歴史(西洋と日本の歴史比較)

          ネクタイの歴史を学ぶための基礎知識⓪

          【基礎知識⓪】 1500年~1650年頃まで、貴族は胸元を豪華な「ひだ襟」で着飾っていた。1650年頃になると、「ひだ襟」の代わりに、「かつら」を豪華にするようになっていった。 【解説】 1500年代のイギリスでは、簡素なシャツの襟を紐で結び合わせていたが、やがて*「ひだ襟」へとなり、その「ひだ襟」はどんどん大きく豪華になっていった。しかし、「ひだ襟」は、洗ってから糊付けし、こて(糊を塗る道具)をあてなければならなかったため、実用的でなかった。そのため、豪華な「ひだ襟」のフ

          ネクタイの歴史を学ぶための基礎知識⓪

          ネクタイの歴史を学ぶための基礎知識④

          【基礎知識④】 結びにくかったネクタイの縦長結び(フォアインハンド)が、1925年、ネクタイ製法の歴史的大発見により、結びやすくなり、それ以後、様々な縦長の結び方が考案された【解説】 1924年まで、ネクタイを仕立てる際、生地の裁断を生地の布目に沿って(縦横)に裁断していた。そのため、フォアインハンドで結ぶ際に生地が結び目方向に伸びず、結びづらかった(現在でも生地を縦横で裁断したネクタイは結びづらい)。1924年、ニューヨークのジェシー・ラングスドルフがこの問題を解決する。ネ

          ネクタイの歴史を学ぶための基礎知識④

          ネクタイの歴史を学ぶための基礎知識③

          【基礎知識③】 ネクタイは、上着やシャツの構造変化(1850-1900年)により、縦長結び(フォアインハンド)が考案された 【解説】 1850年頃から、上着のボタンの位置が高くなり、胸元面積が小さくなる(*1870年代スーツが正式に誕生)。更に、1850年代には、立ち襟シャツの利便性が悪いことから折り襟シャツが登場(立ち襟は糊付けが大変だった)。ネクタイは、今までの横長結びでは、収まりが悪くなる。その問題を解消するため、ネクタイは、「フォアインハンド(プレーンノット)」と呼ば

          ネクタイの歴史を学ぶための基礎知識③

          ネクタイの歴史を学ぶための基礎知識②

          【基礎知識②】 ネクタイは、1780年頃から、様々な巻き方・横長の結び方が考案された(1780-1850年) 【解説】 長方形の布切れだったネクタイは、貴族達が、豪華なデザイン性を競うかのように、高価な布地をレースなどであしらうようなものに変化、形も長方形以外に先が尖ったネクタイも出現した(1650-1780年)。 *ジョージ・ブライアン・ブランメルが登場することで、貴族の時代は終焉し、紳士の時代に入った(1780年頃~)。"何を"着るかだけでなく"いかに"着るかに拘った(ダ

          ネクタイの歴史を学ぶための基礎知識②