見出し画像

えんちょう先生 / じょにー・カド

 子どもが好きだ。
 そう気づいたのは、息子が保育所に入ったころだった。
 公園で息子を遊ばせていると、同じくらいの年頃の子たちが寄ってくる。「わー!」と脅かして追っかけたり、一緒にバッタをつかまえたり、芝生で相撲っぽくつかみあったりすると、たちまち子どもたちは懐いてくれる。
 息子が学童保育に入った後も、ほかの家の子たちとそんなことばかりしていたら、行事のたびにたくさんの子どもたちに囲まれるようになり、保護者の方々から「えんちょう先生」のあだ名をいただいた。
 ちなみに、当の息子はそういう父をいつも冷ややかに見ている。
 自分にそんな一面があること、思ってもみなかった。
 なんでだろう。
 母も父もそういう感じで遊んでくれるタイプではなかったし、ほかの大人が周りにいた記憶もない。
 ただなんというか、子どもたちと遊んでいるとただ単純に自分も楽しい。  新しい仕事を探すとき、保育士や学童保育の指導員を目指すことも頭によぎった。結局、諸般の事情で別の道を選んだが、これからもたとえばファミリーサポートとか週末里親とか、なんかできたら、と思っている。
 いまも公園を通りかかると、知らない子たちと遊びたくなる自分がいる。
 一歩間違えば変質者なので、さすがにやらないが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?