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12【連載小説】パンと林檎とミルクティー~作家・小川鞠子のフツーな生活日記~

12)それでも紙がいちばん好き

 いくつものプロジェクトをかかえて、今日は東京、明日はニューヨーク、明後日はアフリカ、と世界を飛び回っている人の基本となる考え方が示された本を読んだ。
 友人の恋愛小説家麹まゆか から本をもらったから。
 
 スマホひとつで仕事はできないなあ。というのが、読んだ後の感想。
 小説を書くのは、パソコンのキーボードが楽だし、構想は紙に書きまくっているうちにまとまってくるから。
 個人的には、パソコンやスマホを手にしている時間よりも、紙のノートに好きな青いボールペンかピンクのペンで何か書いている時間の方が長いかも。
 別にわたしのやり方を否定されたわけじゃないんだけど。

 ただ、この人は頭がいいんだろうなあって思ったのは確か。
 ぶっちゃけ、じぶんは「小説を書く」ことに囚われているのではないか、こだわりすぎているのではないか、と思ったり。
 いや全部スマホの文字だけではどうにもできないし、ペンを持って紙に書いた方が脳は動くんだって、というどこかでみたひとつの説にしがみついてはいないか、と思ったり。
 そう思っちゃった時点で、負けなんじゃないの。
 何が負けで何が勝ち何が勝ちなんだか。

 間違っていると思ったら変えればいい。失敗したと思ったらまたやり方を変えてやればいいだけ。
 
 基本は「楽しいって心から思えること」なら、わたしは紙が好き。
 紙に書くのが好き。
 書いた紙が残るのが好き。
 書籍でも日記でも。
 あ、でも、わたしが死んだ後に日記をみられたら超こっぱずかしいMAXだわ。
 残ってる日記とかメモとか、読み直してみよう。
 次の小説の構想ができちゃう。

 それよりも、麹まゆかにどんな本を返すか考えなきゃ。
 ここは『さみしい夜にはペンを持て』にしようか。わたしが持ってるのはサイン本だから、もう一冊買って、渡すことにしよう。


つづく
 

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