消費者インサイトを見い出す方法を、わかりやすく解説します
今回は、マーケティングの消費者インサイトについてです。
この記事でわかること
・消費者インサイトとは何?
・どうやってインサイトを見つければいい?
・インサイトを見つけるフレームワークとは?
こんな疑問に答える内容を書きました。
この記事で書いているのは、消費者インサイトとは何か、インサイトをどうやって見つけるかの方法です。
具体的な事例から消費者インサイトの見つけ方を解説しています。
マーケティングのものの見方や考え方は、ビジネスで汎用的に使えます。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、仕事での参考にしてみてください。
消費者インサイトとは
いきなりですが、消費者インサイトとは何でしょうか?
私の一言の定義は、消費者インサイトとは、「人を動かす隠れた気持ち」 です。
普段は消費者本人も意識していないが、そうだと気づかされれば買うなどの行動につながり、時には習慣すらも変えてしまう奥にある感情です。
消費者インサイトのポイント、それからインサイトではないものを見比べると、消費者インサイトへの理解が進みます。
消費者インサイトのポイント
・隠れている
・行動につながる
・新しい発見がある
インサイトでないもの (逆から理解する)
・ニーズではない
・不満ではない
・建前や意見・考えではない
ではここからは、消費者インサイトをどのように見い出すかの How を解説します。
インサイトは主体的に見い出すもの
まずはインサイトへのマインドセットです。
インサイトを得るために求められる姿勢は、受け身ではなく主体的な態度です。インサイトは、人から聞いたり教えてもらうのではなく、能動的に自分たちで見い出すものです。
インサイトは新しくつくるというよりも、すでに生活者が奥の気持ちとして持っているものを見つけ出します。
ただし、そう簡単にインサイトはすんなりと出てきません。
調査から発言や行動などのファクトを知り、分析、気づきや考察を統合して、インサイトを見い出します。何か調査をすれば自ずと出てくるものではなく、自分たちで考え抜いて初めて得ることができます。
私の経験から、インサイトを得る際の感覚は、ある瞬間に自分の目の前に現れます。頭の中で色々と考え、ああでもないこうでもないと試行錯誤をした後に、突然降ってくるような感覚です。
インサイトを評価するフレームワーク
消費者インサイトを見い出すために有効なフレームワークをご紹介します。これを覚えておけば、ヒット商品の裏にあるインサイト、日常生活でも人々のインサイトを理解するのに役立ちます。
以下が、消費者インサイトのフレームワークです。
消費者インサイトを評価するフレームワーク
・これまで当たり前だったこと
・当たり前を覆す新しい切り口 (インサイト)
・インサイトに対して提供する価値 (バリュープロポジション)
もう少し詳しく説明すると、以下のようになります。
消費者インサイトを評価するフレームワーク (詳細)
・これまでの当たり前:生活者や商品の作り手・売り手にとって当たり前なこと。思い込みや先入観
・新しい切り口 (インサイト):これまでの当たり前を覆す新しい切り口。ここにインサイトがある
・バリュープロポジション:インサイトに対する提案。インサイトを満たし、心の琴線に触れるような訴求ができれば、人の行動に影響を与えられる
なお、インサイトフレームワークで参考にしたのは、こちらの本です。
では、フレームワークを具体的な例で解説します。
インサイトフレームワーク事例 (Amazon キンドル)
アマゾンの電子書籍キンドルの読書体験です。
キンドルでは、本文をハイライトして保存することができます。気になる箇所を蛍光ペンでハイライトするように残せます。
ハイライトした情報は、キンドルのマイページに自動で保存されます。私は、読み終わった後に振り返りたい本は、以下のやり方をしています。
キンドルでの本の読み方
・キンドルマイページのハイライトをドキュメントファイルにコピーし、紙で印刷する
・ 印刷したハイライトに、手書きで思ったことや理解したことを書き込む
・最後に、読書後のまとめをノートの見開き (2ページ分) に書き出す
読書後のこのプロセスで、本から得られる知識や思ったことが、自分の頭の中に今まで以上に定着しました。
この読書体験から思ったのは、読書とは読んでいる最中だけではなく、読み終わった後に振り返り、自分なりに考えることも楽しいということです。
これが自分の中にあったインサイトです。
インサイトのフレームワークに当てはめると、次のようになります。
消費者インサイトの評価フレームワーク (キンドル)
・これまでの当たり前:本は読書をしている 「最中に」 楽しむもの。読書中の体験が重視される
・新しい切り口 (インサイト):ハイライトを見直したり、自分が思ったことを書くなど、読み終わった 「後で」 自分なりに振り返る時間に知的楽しさがある
・バリュープロポジション:キンドルは本で気になった箇所をなぞってハイライトをすれば、マイページにそのまま文章を保存できる。手書きで写す必要はなく、簡単に残せるので便利
なお、キンドルのハイライト保存機能は重宝していますが、まだ機能的な不便があります。例えば、以下のような機能的な制約です。
キンドルの機能的な不便さ
・マイページに保存されるのは文章 (テキストデータ) のみ。図やイラスト、グラフの画像は保存されない
・保存されたテキストは改行されていない。本文と変わってしまい、後から振り返る時に読みづらい
・マイページはウェブページで提供されるが専用アプリはない。アプリがあるともっと便利
まとめ
今回は、マーケティングの消費者インサイトについてでした。
記事のまとめです。
消費者インサイトとは、「人を動かす隠れた気持ち」 。
普段は消費者本人も意識していないが、そうだと気づかされれば買うなどの行動につながり、時には習慣すらも変えてしまう奥にある感情。
消費者インサイトは主体的に見い出すもの。新たにつくるのではなく、すでにあるものを見つける。
頭の中で色々と考え、ああでもないこうでもないと試行錯誤をした後に、突然降ってくる。
消費者インサイトを評価するフレームワーク
・これまでの当たり前:生活者や商品の作り手・売り手にとって当たり前なこと。思い込みや先入観
・新しい切り口 (インサイト):これまでの当たり前を覆す新しい切り口。ここにインサイトがある
・バリュープロポジション:インサイトに対する提案。インサイトを満たし、心の琴線に触れるような訴求ができれば、人の行動に影響を与えられる
最後に
ご紹介した消費者インサイトのフレームワークはいかがだったでしょうか?
自分が買ったもの、気に入って使っているもの、あるいは世の中のヒット商品などを、自分なりに分析する時に役に立ちます。
背景には、どのような 「これまでの当たり前」 があったか、消費者・売り手の両方で当然と思っている先入観は何か、それを覆すような新しい切り口 (消費者インサイト) は何かです。
そして、インサイトに対して、どのようなバリュープロポジション (価値の提案) がされているのかです。
インサイトという新しい切り口は、世の中のことを見るレンズの役割を果たしてくれます。
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