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シュタイナー教育のギモン。⑧

ルドルフ・シュタイナー著 新田義之訳 『教育の基礎となる一般人間学』を読んでいます。

現在第一日目講義、第十七段落まで↓

第十八段落要約

このように全ての授業ないし教育行為は、正しい呼吸の教授と、睡眠・目覚めの交替の正しいリズムの教授に向けて目標を定めることができる。
実際の教育の場においては全く関係のない事柄と関わることになるが、一つの方向として心霊を物質的肉体の中へ導き入れ、もう一つの方向として物質的肉体の持つ要素を心霊の中へ送り込むことを目標としていることを認識しなければならない。

第十九段落要約

人智学に基づく精神科学は、教育者が自分の行為だけに注目するのではなく自分の存在そのものによって教育を為すのだという事実の重みを洞察するためにある。
授業の際に現れる本質的な違いは、その教師が自分の生活の全ての瞬間に、どのような方向に自分の理念を向けて生きているかにかかっている。
呼吸過程とその教育の場での展開がいかなる宇宙論的意味をもつのか、睡眠と目覚めのリズムがいかなる宇宙論的意味をもつのかを認識し始めるようになると、教育者の内部において何かが、単なる個人的精神にすぎない判断がおさえられるようになる。

第二十段落要約

個体性の囚われを消去した境地になった教師は、内面からあふれ出す力によって生徒と「ある一つの関係」を生み出す。
最初のうち外面的には正反対の結果、生徒に嘲笑されるという結果を生むことも起こりえる。しかしこれを外面的な出来事として、突然の雨と同質の事件として受け止められるようになるべきだ。
私たちはとりわけ、自分自身を変革すべきであること、内面的で精神的な関係が教師と生徒の間に成り立っていること、単に言葉や生徒にむかって発する警告や授業の巧みさばかりでなく、前に述べた精神的な関係が成り立っているという確信をもって教室に入って行けること、これらを教育的課題の中で最も重要なものであると意識しなければならない。
「人間はこの世に生まれたことによって、霊の世界において為しえなかったことを為しとげる可能性が与えられたのだ」という事実を意識しなければ、授業に対する態度は十分になりえないだろう。

第二十一段落要約

明日は本来の意味での教育の問題をとりあげる。



以上で第一回講義が終了。

シュタイナーの基本的な考え方は、それ自体を理解するのはたいへんに難しそうである。
実際の授業や教育活動をみて、それはどの考え方が現れたものなのか? を並行して学ぶ方がよほど理解しやすそうに感じるが、この本では実践が行われる前のものなので今後も出てはこないだろう。

口述であるぶん、何度も言い換えて主旨が述べられているのは読解の手助けになった。

これまでの科学とは別の学問(思考)を打ち立てて、教育に利用していきたいのだという印象を受けた。
事実を科学が分析するならば、実証できない[事実]を人智学は理論づけたい、とでも言おうか。

この1919年から約100年、実践が進められていく中で保護者や生徒から「役に立っている」という評価を集めているのならば、見通しとして間違ったものではなかったのであろう。


とにもかくにも、この本は難しすぎるのでシュタイナー学校の授業見学なりもう少し初心者向けの子育て本なりを欲するところである。今度聞いてみたい。

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