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大人になってからはじめるリズムダンスの難しさと上達方法

大人になってからリズムダンス(特にストリートダンス)をはじめるととにかく苦労しがちです。
子どもたちは見よう見まねでどんどんできるようになるのに、大人は何年経ってもなかなか上手くならない…、なんてこともよくあります。

かくいう私自身がその一人です。
ストリートダンスを20歳のときにはじめたのは良いのですが、10年以上経っても棒立ち感が消えず。もたもたしている間に、後からはじめた人たちのほうがあっという間に圧倒的に上手くなっていく。

もちろん、センスとか才能みたいなものはあるのですが、そうではない大人ならではのカバーの仕方があるなと気が付いたので、誰かの参考になればとここに書いてみます。

※ここで書く「リズムダンス」とは、ほぼストリートダンスについてですが、少なくともフラについてもかなり当てはまると思います。
※ここに書いていることはあくまで私の所感です。学術的な裏付けとか全くないので、そんなふうに捉えている人がいるんだな程度に思ってください。たぶんプロの人からは全く違う意見が出てくると思います。

なぜ大人になってからはじめるリズムダンスは難しいか

1.「非日常」の動作であること
(ボディコントロール)

立つ、座る、歩く、走る……などの動きは日常の動作です。
リズムダンスの体の動かし方は、これら日常の動作とはまったく違う非日常の動作です。

人は普段体を動かすとき、自分の体を意識して動かしているわけではありません。
歩くときに「右足を出して、左手を出す……」と考えませんよね。
でも非日常の動きをするときは、考えながら体を動かさざるを得ません。
特にリズムダンスの動きは体を立体的に使うこともあり、最初はまともに体を動かすことができないでしょう。

フラのすごい先生の踊りを見ましたが、完全に日常動作になってました。
気負いとかまったくなく自然な動作すぎて、「踊っている感」がありませんでした。

2.体を音楽に乗せる感覚がない
(リズムコントロール)

こちらがリズムダンス最大の障壁だと思っています。

スポーツとの最大の違いは「音楽の有無」です。
音楽に乗せて体を動かすと「流れるプールに乗っている感覚」にとても似た感じになります。
大人になってからダンスをはじめると、この感覚を習得するのにとても時間がかかります。

ストリートダンスでよく言われる、アップやダウン、8ビートや16ビートは体を音楽に乗せたうえでの「手法」の話です。
ここをごちゃまぜにしがちなのですが、ごちゃまぜにすると上達は遠くなります。

上達方法

1.時間を投入する

当たり前の話になるのですが、時間を投入しましょう。
できれば1日1時間以上。時間の確保が難しければ、1日5分でも10分でも確保してください。

非日常の動作を、どれだけ日常の動作に近づけられるかです。
子どものように見たまま真似るができなければ、時間を投入してリズムダンスの動きを体に定着させていくしかありません。
近道はありません。

またスクールでレッスンを受けている人にお伝えしたいのは、レッスンの時間は新しいことを学ぶ場だけではなく、確認の時間でもあるということです。
レッスンとレッスンの間に必ず復習の練習をしてください。
これは勉強でも一緒ですね。復習しないと成績は上がりません。

2.頭を使う

子どものように見たまま真似ることができなければ、残念ながら頭を使って踊るしかありません。
自主練習中も考えながら試行錯誤をする必要がありますし、踊っていないときも考えましょう。
そして、高速でPDCAを回してください。

個人的な話ですが、フィットボクシングでボクシングの基本的な立ち姿勢が体に定着するのに「100時間&25万発以上のパンチ」を必要としました。
考えながら立ち姿勢を探り、考えながらパンチを撃ちました。
それでやっと立ち姿勢が体に定着しました。
パンチに関しては、まだ定着していないなと感じます。

ダンスを26年やっていても、立って構えるだけの動作を身につけるのにこの有様です。
それぐらい、非日常の動作を日常の動作に近づけるには時間がかかります。

また、ひとつ重要なポイントがあります。

A.理解する→できるようになる
B.できるようになる→理解ができる

これ、どちらが正解だと思いますか?
個人的にはこれ、Bが正解だと思っています。
できるようになって、初めて理解ができるようになると思っています。
「じゃあ考える意味がないじゃん!」
と思われるかもしれませんが、それでも考えないとできるようになりません。考えるからこそ先に進めるのです。
知恵熱が出るまで頭を使って考えて試行錯誤してください。

体を音楽に乗せる感覚を身につけるには

ここではリズム感覚について特記します

大人に決定的に足りない2つのリズム要素

大人からリズムダンスをはじめた人の中には、何年経っても
棒立ちに見える
音を外す

ことを治せない人がいます。

これは2つの要素が決定的に足りないことで起こると、個人的に思っています。
その2つの要素とはなんでしょうか。

1.偶数拍のリズム感覚

日本人に手拍子をさせると、奇数拍で手をたたく人が非常に多いです。
いち!に、さん!し、ごぉ!ろく、しち!はち
日本人は奇数拍の文化と言われているようなので、無理もないかなと思います。

ですが、リズムダンス、特にストリートダンスは偶数拍でリズムをとることが多いです。
いちに!さんし!ごぉろく!しちはち!

この感覚が決定的に足りない要素の1つめです。

2.円(波)のリズム感覚

ストリートダンスでは基礎練習でアップとダウンをよく行います。
さきほども述べましたが、これはあくまで手法です。
アップとダウンの練習には弊害があって
「カウントの瞬間だけを意識するようになってしまう」
ことです。
カウントの瞬間だけ上下を合わせるようにした結果、カウントの瞬間瞬間でリズムが切れてしまうのです。

体を音楽に乗せるうえで大事なのはカウントとカウントの間をどう取るかです。
カウントでリズムを切らさず、ひとつの波を描くように、円を描くようにしなければなりません。

カウントの瞬間に体が上や下にいるかもしれませんが、あくまでそれは波に乗っている途中、円を描く途中過程であって、常に音楽に体を乗せて動かしています。

この感覚が決定的に足りない要素の2つめです。

「ウォーターゲート」を何年でもひたすらやる!

ウォーターゲートは大人に決定的に足りない2つの要素を身につけさせてくれる動きです。
動き自体はとても単純ですが、以下の2つのポイントを押さえないとできるようになりません。

  • 偶数拍を強めに意識する

  • カウントとカウントの間を踵で「んー……」とためて意識する

10年ほどストリートダンスをやってもなぜか棒立ち感が消えずに悩んでいた時期があったのですが、ウォーターゲートを1年練習した結果、無事棒立ち感が消えました。

それと同時に「流れるプールに乗っている感覚」を体感できるようになりました。
それだけではなく、今までさんざん聴いていたダンスミュージックの聴こえ方・感じ方も全く変わりました。
たぶん、このときにはじめて、体内にリズム感覚が定着したのだと思います。

補足

ここまで書いておいてなんですが、あくまで個人の体験と感想によるものがほとんどです。
最終的には「私はこれで解消した!」という話でしかありません。
みなさんにもあてはまるかどうかはかけらも保証できません!
それを踏まえたうえで、ひとつのとらえ方として読んでいただければと思います。

長文にお付き合いいだたき、ありがとうございました!

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