日本のモノ作りを支えてきた品質管理を軽視する企業に天誅

戦後日本は1950年の朝鮮戦争をバネとして世界の工場といわれ激的な復興を遂げた。しかし、あまりにも爆発的な製造量拡大に「質より量」が優先され世界中から「安かろう悪かろう」と粗悪品の日本製品と批判された。そこで国策として品質の向上を早急に成し遂げることになった。時期は1960年代となり品質管理を製造大企業を中心に導入されることになった。もっとも有名なスローガンが「デミング賞を受賞しよう」であった。デミング賞とは品質管理の推進に当時優れた貢献をなしたデミング氏に因んで付けられた優良印の一つであった。さて、デミング賞の受賞には幾多の品質管理の厳しいハードルを乗り越えて何年もかけて取得するものであったから受賞した時には大変な感激があった。むろん、製品にはデミング賞受賞品であることを明記し誇らしげに世界に出荷していったものでした。その後、世界一の品質を誇る日本製品はまさに世界中から称賛されるに至ったのは周知の如くである。このような歴史的な経緯には本質的な舞台裏があることを忘れてはならない。それは、品質管理の原点は現場にあり小集団活動が基本になっているのである。現場重視で品質とコストの相反する二律背反事象を適切に判断して突き進む品質向上スパイラルのステップを登っていくのである。
たとえば、トヨタ自動車では「カンバン方式」、ホンダでは「わいがや」など現場の臭いがプンプンする素晴らしい発想が出現している。
きて、今般日本いや世界を代表するような巨大企業が次々に品質に関わる大失態を犯している現状をみるにあたってまさに基本となる小集団活動を蔑ろにしている実態が手に取るようにわかる。どうやら、社用車にお抱え運転手を乗せ送り迎えで会社に通う大企業の社長には現場の油臭い原点は無縁なのかもしれない。つい先日、トヨタ自動車の豊田会長が謝罪会見してはいたがあまりにも現実離れした虚しい内容であった。一言で言うと悪事を働いたが反省して将来に向かって頑張ります。しかし、これでは本質が理解されていないので今後の立て直しに何の役にもならないのである。たぶん全トヨタに有用なお触れを発することはできなかったはずである。これほど愚鈍なリーダーには天誅があっても不思議ではないであろう。


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