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日本語学、日本語教育学を主軸に投稿していきます。たまに趣味のものも。

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  • 日本語学

    tsuguが執筆したnoteのうち、日本語学に関わるものを集めた。

最近の記事

日本人にこそ知ってほしい日本語2  ~正しい日本語は存在するのか~

 本来、この投稿はバイト敬語について記述する予定でした。しかしながら、バイト敬語について調査する中で、「日本語の正しさ」は絶対的なものでないことを改めて認識しました。そこで、本投稿では「日本語の正しさ」について再考していきたいと考えています。 世間にはびこる「正しい日本語」 テレビやネット記事、書籍で「正しい日本語を使おう」「正しい敬語をマスター」、あるいは「間違った言葉遣い」など、ある一定の規範を設けて、それ以外を間違えとして扱うものが存在します。最たる例として挙げられる

    • ヲ格の用法に対するコーパスを用いた調査

      先日ある記事で、以下の記述を目にしました。 ヲ格と接続する名詞を制限するなんて聞いたことがなく、とても新鮮でした。しかし、自身の内省において「ヲ格と接続する名詞はできあがったもの」という縛りはなく、違和感を覚えました。そこで、今回はこの「ヲ格と接続する名詞に制限があるのか」を検証していきます。 内省 上記の記事で挙げられた例文はたしかに「できあがったもの」とヲ格が接続しています。しかし、「米をとぐ」や「卵をまぜる」など反例も挙げられ、必ずしも「できあがったもの」とヲ格が接

      • 8月のTリーグを振り返る

         みなさま、閲覧頂きありがとうございます。さて、今日は8月31日です。8月31日といえば「夏休みの終わり」から転じて宿題に悩殺される日として扱われることがあります。私自身も学生時代宿題に苦しめられてきました。そして今も、noteの執筆やスプラシーズン最終日という「宿題」に苦しめられています。ということで、今回は「宿題」のうちの一つ、8月のTリーグを振り返っていきます。  ちなみに今回から、内容がアカデミックでないときはこういう形態で、挨拶をしてから目次、本題という流れで書いて

        • Tリーグにおける「マジックナンバー」の試み

           プロ野球に親しみがある方は「Tリーグにおけるマジックナンバーの現状」から、Tリーグを観ている方は「Tリーグにマジックナンバーを導入する」から、スポーツ観戦をあまりしない方やマジックナンバーという概念の認識に不安がある方ははじめから御覧ください。 はじめに 今シーズンも無事、卓球プロリーグ:nojimaTリーグ2023-2024シーズンが開幕しました。今年から、男子に2チームが新規参入していよいよリーグが熱くなるところです。さて、6チーム制といえば野球のプロリーグ:セ・リ

        日本人にこそ知ってほしい日本語2  ~正しい日本語は存在するのか~

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        • 日本語学
          4本

        記事

          次作以降のテーマ一覧 ・なぜ夫婦のことを「パートナー」と呼ぶのに違和感があるのか  分野:日本語学 ・バイト敬語は誤りなのか  分野:日本語学 ・Tリーグにおける「マジックナンバー」の試み  分野:趣味 ※構想段階で打ち切る場合があります。 ※すべて仮称です。

          次作以降のテーマ一覧 ・なぜ夫婦のことを「パートナー」と呼ぶのに違和感があるのか  分野:日本語学 ・バイト敬語は誤りなのか  分野:日本語学 ・Tリーグにおける「マジックナンバー」の試み  分野:趣味 ※構想段階で打ち切る場合があります。 ※すべて仮称です。

          ヤクルト「公式がないぴ」事件の検証

          要旨 阪神タイガース対東京ヤクルトスワローズ第19回戦(於京セラドーム大阪)で起きた阪神梅野選手骨折の後、ヤクルト公式サイト内でいわゆる「ないぴ」と呼ばれる死球を当てた選手を好投したと評価する記事が問題になった。そこで、当該サイト内で救援投手を取り上げた記事における本文を分析した。その結果として、対象記事のうち60%が「好リリーフした」と評価するもので、かつ「好リリーフした」と評価するものの7割は定型文化したものであった。この結果から、「公式がないぴ事件」はテンプレートをそ

          ヤクルト「公式がないぴ」事件の検証

          幼少期から第二言語を学ぶべきか

          読み方忙しい方:本題だけでもお読みいただけると嬉しいです。 ざっくばらんに内容を把握したい方:まとめ①②③→本題の順でお読みください じっくり内容を把握したい方:全文お読みください はじめに 昨今、SNSで「英語がペラペラになる方法」を唱える方や子どもに英語を学ばせることを推奨している方々がいます。また、そのような推奨に対して応えるようなコンテンツを発信している企業や組織もたくさんあります。例えば、「こどもの聞き流しにぴったり」というタイトルで投稿した動画や「生まれも育ち

          幼少期から第二言語を学ぶべきか

          日本語における「主語」の曖昧性と国文法教育への提案

          問題提起 みなさんは、小学校や中学校で「主語」をどう教わりましたか。概ね「~は」「~が」で記述されるもので述語と対になる(=主述の関係)と教わったと思います。しかしながら、「今日は本を書く日だ」の文において、「今日は」は述語「日だ」と対になっているでしょうか。また、この文における動作主体を鑑みたときに、「今日は」は主語として適切でしょうか。  次に、埼玉県公立高校の入試問題を紹介します。 この問題を取り上げた意図は、学校文法における主語の定義では「普段よりは」と「機会も」

          日本語における「主語」の曖昧性と国文法教育への提案

          日本人にこそ知ってほしい 「日本語」

          読み方暇な人:全部読んでください。 片手間で読む方:②から読んでください。 忙しい方:④だけでもいいので読んでください。 ①日本人はみんな日本語を教えられる?質問です。ある日突然、外国人*¹から「日本語を教えてください」と言われたら教えられますか。主語述語とか修飾語とか、外国人が知らなそうな言葉は使わないで教えられますか。 …多分無理だと思います。根拠は、日本人*²が日本語の裏にあるメカニズムを深く知らないことです。 *¹便宜上外国人としていますが、厳密には日本語非母

          日本人にこそ知ってほしい 「日本語」