CITE JAPAN2023 展示会壁面アイキャッチ製作秘話ーエンボス加工で環境負荷が少なく美しいデザインを提案するー
こんにちは!ツジカワSNSチームのカタヨセです。
この記事を書かなきゃなーと、タイトルだけ書いて寝かし続けて早2ヶ月。現在2023年7月です。
尻に火がついてきたので5月から眠り続けている記憶を叩き起こしながら書いて行きたいと思います。
今回の記事では先日の展示会でツジカワブースにて展開された
「エンボス加工を施した紙を一面に貼り付けた波々の壁」製作の裏側を公開します!
展示会についてはこちらの記事を御覧ください!
これがエンボス加工した紙を一面に貼り付けた壁面アイキャッチだ!
というわけでまずは実物がどんなものだったのか御覧ください。
様々な紙にエンボス加工を施し、ブースの壁面一面に配置しました。
配置されたエンボスのパターンは渦や波のような形状を描き、さながら白い砂に模様を描くことで水の流れや宇宙を表現した枯山水のような壁面となりました。
写真だといまいち伝わりづらい点もあるのでメイキングの過程を短い動画にしてみました!
作成の経緯を追う
今回の壁面アイキャッチを作成するに際して、尽力してくれた2名にインタビューしてみました。
ワタナベ:訪れていいただいた方の評判はよかった様に思います。
ただ精巧にできすぎていて、タイルかなにかの装飾だと思われていることも多かったです。こちらから「すべて紙なんです」と伝えると驚かれているお客様も多く見られました。
スズキ:そうですね、紙を壁に貼るってあんまりないことだから余計に紙と思われなかったのかもしれません。もう少し「紙」であることを強調した展示の仕方をすればよかったかも知れない。
コンセプトができあがるまで
スズキ:元々のアイデアはTDCから出ました。
華美な装飾ではなく、白い紙にエンボスを施すことで、環境に配慮したパッケージへのアイデアをお客様に提示したかったからです。
今回の展示会で重視されるテーマとして環境配慮型の素材や技術・デザインがあると考えていました。
リサイクルや脱プラスチックを重視されるお客様に訴えるものを作りたいと考えた結果、紙そのものの質感をエンボスでシンプルに表現したデザインを押し出したいと考えました。
スズキ:先程の理由に加えて、無垢で染まっていない「白」という色で「可能性の広がり」を提示したかったからです。
スズキ:実は明確に「枯山水」みたいにしようとしたわけではなくて・・・
蝶々や花、など具象的なイメージだと用途が限定されてしまうかも知れないので、できるだけ抽象的なイメージで、お客様にアイデアを膨らましてもらいたかったんです。
形を変えつつ変化に適応していく「水」や「流れ」を思わせる、有機的な形状を作ろうとした結果、枯山水と共通するモチーフになりました。
スズキ:ちょっと現実的な話になっちゃうんですが、実際に壁面全面をエンボスするような大きな版は製作できないので笑
今回製作した版は7種類あるのですが、それを組み合わせて大きな絵のようにしました。
ただ、適当に並べても豊かな表情は出ないので、配置は非常に悩みました。
実際には7種類しか版はないけど、そうは見えないものを作りたいと思いました。
使用した紙について
スズキ:まずはTDCにあった株式会社竹尾の見本帳から白い紙をピックアップしました。薄紙など、あまりにエンボス向きでないものを除いても全部で500種類ほどありました。
スズキ:そこから竹尾さんの営業の方に相談して、エンボスにおすすめの紙をピックアップしてもらい、150種類に絞りました。
ワタナベ:営業の方もよくこんなにたくさんのリスト作りましたね!とびっくりされていましたね笑
スズキ:そうなんです・・・そこからなんとか46種類にしぼりました。
スズキ:エンボスによく使われている紙、あまりエンボスでは使われない紙、元々エンボスパターンが入っている紙、の3種類を取り入れるようにしました。
スズキ:パッケージデザイナーの方など、デザインに関わる方が普段テストできないような紙を使用して、実験結果を見てもらおうと思いました。
スズキ:そうですね、光沢のある紙は陰影がハッキリでいていていいな、と思いました!
ツヤがあるとエンボスが際立つように思います。
あと、元々エンボスパターンが入っている紙も、あとからエンボスを入れると元々のエンボスパターンが潰れてしまったりするかと思ったのですが、
きれいに出てくれたので良かったです。
エンボス版について
ワタナベ:腐食版に関しては、マグネシウム版と銅版の両方でテストしました。色々と試してみた結果、マグネシウム版と、ニュークリアダイ(※)の組み合わせでの加工が一番迫力のあるものに仕上がりました。
ワタナベ:一般的に腐食版とセットで使用されるナイロン樹脂版でもテストしてみたのですが、薄めの紙だとカチッと出るのですが、厚い紙だとニュークリアダイのほうが盛り上がりました。
スズキ:彫刻版では腐食版との違いをより強調できるような版を製作したいと考え、彫刻深度が出せる金属版と金属版の組み合わせでエンボス加工をしました。
ワタナベ:テスト品を製作したときに深度が浅すぎて腐食版との違いがあまり出なかったので、急きょ深度を深くしたものを製作しました。
ただ彫刻深度が深ければ深いほど、紙が盛り上がるというわけではなく、
深度が深すぎるとシワや破れなどのトラブルが発生してしまいます。
そうなると、今度は圧力をかけられないので紙を盛り上げることができなくなってしまいます。
今回は特定の紙ではなく色々な紙を使用するので、そこのところはエンボス加工をする作業者の方に頑張ってもらいました。
他にもやってみてわかった反省点があったので、今後に活かしたいと思います。
スズキ:そうですね、かなり良かったです。
エンボスが目立たなかったらどうしようと思ったのですが、離れたところから見てもしっかりエンボスが見えたのでめちゃめちゃうれしかったです。
ワタナベ:やっぱり「白」といっても色々な色合いがあることが並べてみてはっきりわかりましたね。版と紙のバリエーションを提示しつつも統一感のある展示ができたと思います。
エンボスで魅せる環境配慮型パッケージへの提案
エンボス・デボス加工はデザインに立体感・高級感を出すことができるうえに紙のリサイクルに影響を与えないことから、
欧米でもeco-friendly な加飾として紹介されています。
今回ツジカワがCITE JAPANの壁紙で示したかったのは、「白」と「エンボス版」の可能性です。
一見同じように見える「白い紙」でも並べてみると随分違うことがわかりました。
「エンボス版」も彫刻版か、腐食版か、版の材質は何か、によってできる表現が変わってきます。
弊社にご相談いただければ、ご指定の紙・デザインに対して最適な仕様の版をご提案いたします。
「環境にやさしく」「シンプルに」「高級感のある」「人目を引く」「省工程で」「手に取りたくなる」「特別感を出したい」
などなど、デザインには色々な要望がつきものですが、そんなときに「エンボス加工はどうかな・・・?」と思っていただけると幸いです。
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