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美箔ワタナベ様 年賀状デザインについて②

ツジカワでは、今年の株式会社美箔ワタナベ様の年賀状デザインに携わりました!
今までツジカワがデザインを手掛けてきた美箔ワタナベ様の年賀状については下記noteも是非ご参照ください!


前回は、今まで携わらせていただいた過去の年賀状をご紹介しましたが、
いよいよ今年の年賀状をお披露目です!

株式会社美箔ワタナベ様「2023年 年賀状」

2色の天金加工
Vカットによる二つ折り
使える会社も数少ない「レンズ箔」
絵柄は全て、2色の線で構成

繊細な箔押をお得意とする美箔ワタナベ様だからこその、寸分違わぬ箔の重なり。
写真では伝えきれない、レンズ箔の奥深い光の反射。
実物、めちゃめちゃ綺麗です!!!
動画でもこだわりポイントご紹介しておりますのでこちらもご覧ください!



今年の年賀状ができるまで

今年の仕様は?

前回のnoteでも書かせていただきましたが、
美箔ワタナベ様との最初の打合せでは、今回使用する技術を伺います。
今年は

「Vカット」「天金加工」「レンズ箔」

………
スタートから難易度が爆上がりしたことにお気づきいただけたでしょうか。

何故って。
何故かって。
「Vカット」は、折り加工の技術なんですよ。
折り加工ってことは、見開きになるってことで、

オモテ、ウラ、内側の見開き……
ハガキ4枚分のデザインが必要なんですよ!!!!!

例年よりも打合せのタイミングが数カ月早いのは、そのためだったか…

デザイン検討

何はともあれデザインを考えなくては先に進みません。

4枚分のデザインに、一貫性を持たせるには…?
レンズ箔を効果的に使うには…?
Vカットということはエンボスは使えない…
箔を何回、どう使ったら面白い…?
干支のウサギはどうする…?

そんなことをもにゃもにゃ考えつつ、
方向性をすり合わせるために一度デザイン案を提出。
「過去サンプルのリバイバルがしたい」というお話も合わせて伺っていたので、美箔ワタナベ様の過去サンプルのデザインも盛り込んでみました。

最初のデザイン案たち
迷いを反映するように、全体的に白い…

最初のデザイン案からは、2つ候補を選んでいただいたのでそれぞれブラッシュアップ。2案目を提出する頃には大分迷いも吹っ切れてきて、追加で4つ新しいデザインも出しました。はしゃぎすぎ。

何度かのやり取りを経て、決定したのがこちらのデザイン。

最終デザイン

ここまで決まったら、加工する版を手配して完成品が届くのを待つのが例年ですが、今回は、実際の加工現場にもお邪魔させていただきました。

加工①:レンズ箔

最初に見せていただいたのは「レンズ箔」の箔押

レンズ箔は、その名の通りレンズ状になっている箔なので、絵柄の狙った位置に中心がぴったり合わないといけません。
通常の箔押機でも数値制御は可能ですが、数をこなすほど微妙な誤差がどんどん出てしまうもの。
専用の機械を使うことで、レンズ箔の真価が発揮されます。

早い!
早すぎて何もわからない!
押した後の箔を見ると、位置ズレが全くないのがわかります。
通常のシルバーにもホログラムにもない、上品な輝き

加工②:表裏の箔押

レンズ箔の加工が終わったら、残りの箔を順々に重ねていきます。

レンズ箔+ピンクの箔+水色の箔
3色全部、がちがちの位置合わせ。嫌がらせか?
表裏どこを見ても、絶対頂点が重なる仕様。
デザイン決定後にメッセージを追加。
蛍光オレンジとレインボー、どちらが届くかはお楽しみ。

ここまでの加工をおさらいしてみましょう。
①レンズ箔→②③ピンク(表裏)→④⑤水色(表裏)→⑥蛍光オレンジ→⑦レインボー

\\既に7回押してる//

加工③:Vカット

iPhoneの箱を見たことはありますか?
「Vカット」で一番有名なのは、あの箱なのではないでしょうか。
通常、箱を作るときは、のりしろ部分を折りたたんで貼り合わせるので、貼り合わせたところだけ厚みが増します。

しかし!Vカットを使用することで、折った部分が綺麗な直角に、
なおかつ、のりしろの存在しない真っすぐな面を生むことができるのです!

その名の通り、V字の切り込み
折った部分が綺麗な直角

加工④:天金加工

やっと最後の行程です!!長かった!
「天金加工」とは、ハガキやカードの側面に箔押しをする加工技術です。
詳細は美箔ワタナベ様のHPに掲載されているので、ぜひそちらをご覧ください。

前回紹介しませんでしたが、ページの一番下に掲載されている
全面ゴールド!の年賀状も携わらせていただきました。

美箔ワタナベ様の打合せスペースにある天金サンプル
金銀ばっかり使いがちですが、カラー箔も綺麗!

天金加工は紙の側面に一気に加工していくので、側面がガタガタだと綺麗に箔が押せません。平滑な側面を作る下準備が何より大切です。

手動で紙の高さを揃え、加工機へ

断裁のように一度でスパン!とはいかないので、やすりの荒さを変えながら少しずつ、何度も加工を行い側面を平滑にしていきます。
今回は3辺に天金加工を行うので、同じ作業を3回繰り返します。
流れるような作業の末、出来上がったのがこちら!!!

境目が!!見えない!!!

面としてはつるっつるなんですが、
Vカットのために紙と芯材を重ねているので、拡大すると微妙~~に断面の色が層になっていて、これはこれで、すごくそそられるものがあります。

見学中ずっと、すごい!!綺麗!!って連呼してましたが、
本当の美しさはこの先にありました。

美しい!!!

天金は、単体で見ても十分綺麗なんですが、塊はパワーがすごい。
丁寧に側面を平滑にしたことで、この見事な反射が生まれます。

箔残りなし、押した後すら綺麗すぎ
長手が水色、短手がピンク

最後に、郵送用の封筒にも箔押を施して、年賀状の完成です。

デザインが決まった時点でも、加工大変そうだな~(他人事)と思っているのに、最終的には更に工程が増えていることも多く、とても驚きます。
良いものを作るために時間ギリギリまで考え抜く姿勢は、そのまま美箔ワタナベ様の良いものづくりに繋がっていて、毎度背筋の伸びる思いです。

株式会社美箔ワタナベ様
お忙しいところ、訪問させていただきありがとうございました!!


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