■見どころ
▼倒叙ミステリーを３夜連続で放送するゴールデンウィーク特番。
▼第１夜のゲストは、吉沢亮。
▼同僚を殺害した、国民的英雄の宇宙飛行士・神室陽太と左京が対決する。

■あらすじ
半年前、宇宙ステーションでの事故を回避し、国民的英雄になった宇宙飛行士の神室陽太（吉沢亮）。神室はその後も、日本宇宙開発の技術者として勤務しながら、次回の宇宙飛行の訓練中だ。メディアにも頻繁に登場し、政界進出も噂されるなど、時の人となっていた。

ある夜、内藤すず（浅見れいな）がプロデューサー、左京がリサーチャーを務める報道番組「TheSevenNine」の出演を終えた神室は、官房長官の秘書官を務める宗隆継（中井貴一）と料亭で会食をしていた。次の選挙での出馬を請うため、宗隆が神室を呼び寄せた恰好だ。神室は自身の知名度と人気を熟知しており、宗隆からのオファーを快諾。人生のステップアップを着実に実現している自身のキャリアを誇りに思いながら、料亭を後にし、婚約者の久住麗奈（井桁弘恵）の自宅に向かった。神室は麗奈に政界進出という今後の青写真を語り、麗奈も満足そうだった。

翌日、日本宇宙開発に出勤した神室は、思いがけない話を聞くことになる。ランチタイムにアポを珍しく申し出たのは、同社の窓際部署に身を置く小池久夫（山崎樹範）だった。小池は神室にある動画を見せる。その動画は、半年前宇宙ステーションで起きた事故を録画した動画だった。小池は「神室さんなら、この動画が何を捉えたのかおわかりですよね？どうか、真実を公表してください」と静かに口を開いた。「わかりました。望みはなんですか？開発部門への復帰が望みならば、口を利きますよ」神室の言葉を聞き、失望した小池は、語気を強め神室を叱責し、「あなたが公表しないのならば、私が動くしかありません」と言う。彼の強い決意を知った神室は、「わかりました。私が自分の口で公表します。ただし、今月末まで待ってください。いま、進行中のプロジェクトの引き継ぎを完了させてからにさせてください」と頼み込む。しかし、神室はその時、小池殺害計画を練っていた。これまで幾度となく訪れたピンチを回避し、地位と名誉を得てきた神室は、完全犯罪を成し遂げられると自信に満ちていた。

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翌日、神室は小池専用の部屋に赴いた。日本宇宙開発の地下にひっそりとたたずむその部屋は、小池に辞職を決意させるための追い出し部屋だった。突然、姿を現した神室に小池はぞっとした。「何ですか？」「まず、小池さんに告白文を読んでもらおうと思いまして、訪れた次第です」そう言って神室は、小池に紙を差し出した。しかし、その紙は告白文ではなく、劇薬を忍ばせた薬紙だった。おもむろに神室は小池の口を狙って、劇薬を注入した。小池は目をむき、叫びながら悶絶している。その様子を見ながら、神室は防災センターへ連絡を入れる。「神室です！地下の庶務室にいます！小池さんが自殺を図り、いま、救命治療を施しています！すぐに救急車を呼んでください！絶命しかかっています！」そう叫び、電話を切った神室は小池の”遺書”をデスクに投げ、不気味な笑みを浮かべた。

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小池の遺体が横たわる庶務室にやってきたのは、世田谷警部（橋本じゅん）と左京、すずだった。警部が現場に到着すると同時に、左京とすずは「TheSevenNine」出演する神室と打ち合わせのために、日本宇宙開発を偶然訪れていた。警部に連れられ、左京たちは現場にやってきた恰好だ。神室は現場にはおらず、自身のラボにいるようだ。

「左京、どう思う？」と警部。「気になるのは、カレンダー、そして、煮沸器、最後にレジ袋の中身です」と言って、左京は現場をあとにした。「どういうことか、説明してくれ！」と叫ぶ警部をよそに、すずとともに神室ラボへ向かった。

ラボへ向かう途中、すずは「まさか、神室さんが犯人なんて言うんじゃないわよね？」と左京に問う。左京はニヤッと笑いなから、「小池さんは自殺じゃないと思います。故に、自殺を目の当たりにしたという神室さんは嘘をついているということにならざるを得ません」と応えた。

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神室は、世田谷警部の部下の刑事とともにラボにいた。「目の前で同志が命の危険にさらされる姿を私は２度も目撃しました。同志を救えなかった自身の無能さを恥じています…」肩を落とした神室が刑事に話している時、左京とすず、そして警部もやって来た。警部が「神室さん、心中、お察しします…。こんな状況で申し訳ないのですが、小池さんについていろいろ伺いたいことがありまして…」と声をかけたところ、神室は「いえ、大丈夫です。いま、私がやるべきことは、自殺した小池さんについて知っていることを皆さんにお伝えすることだと思っています」と応えた。

「では、伺いたいのですが…」と突然話し始めた左京に神室は驚いた。「左京さんと内藤さんじゃないですか…。こんな姿をお見せして面目ない…。ただ、私は何も隠し事は致しません。私がここでお話したことは、おふたりの番組で放送してくださって問題ございませんので」と話す。

「ありがとうございます、神室さん。では、改めて伺いたいのですが、今朝小池さんとお会いになってから、あのようなことになるまでのいきさつを詳しく伺えますか？」と左京。

「昨日の昼に、小池さんから突然アポをもらい、久々にランチをご一緒しました。小池さんは左遷されたことに深く落ち込んでいました。ランチの最後にもう一度今朝会いたいと言われたので、約束通り庶務室に来ました。小池さんは、『日本宇宙開発の負の部分は、人材の有効利用をできていないということです。神室さん、僕のような人間がこの先、現れないようにしてください。僕は神室さんに期待しています。組織を改革してください。これが最期の望みです…。僕はもう無理です』と言って、突如、白い粉を口に含み、絶命したのです。私が阻止できれば、小池さんは死ぬことはなかったんです…。私の力不足です…」と神室。

神室の独白を聞いた左京は、「わからなかったことがよくわかりました。なぜ、小池さんがあなたを眼前にして自殺なさったのかがわからなかったのですが、よくわかりました。しかし、わからないんですよねぇ。ひとまず、今日は帰ります」と言い、ラボを出ようとした。「気になりますねぇ、その物言いは。疑問があれば、お聞きください。何がわからないんですか？」と神室。

「いや、わからないんですよ。自殺しようとする人間が、あんなことをするんでしょうか？」と左京は持って回った物言いだ。苛立つ神室だったが、あくまで物腰柔らかく、左京に話を続けるよう促す。「カレンダー、煮沸器、レジ袋…。どう考えてもおかしいです。まず１点目はカレンダー。自殺する人が、カレンダーに日程を記入するでしょうか？小池さんのデスクのカレンダーには、プライベートの予定と思われる記載がたくさん書かれていました。そして、２点目はコンタクトレンズの煮沸器です。どうやら小池さんは仕事中、眼鏡ではなくコンタクトを着用なさっていたようです。庶務室のコンセントには煮沸器が差されたままで、なかにはコンタクトレンズが入っていました。これから自殺する人がコンタクトレンズを煮沸して洗浄するでしょうか？そして最後が、レジ袋…。小池さんは相当コーヒー党だったようです。棚にはまだ粉コーヒーが残っているのに、多くの粉コーヒーを購入なさったようです。レジ袋にいっぱいに入っていたのです…」

延々と喋る左京にさすがに割って入った神室。「自殺する人はコーヒーを備蓄しないと？」「その通りです！あの部屋を見た瞬間にピンときました。小池さんは自殺したのではないと。となると、、、引っ掛かってくるは、神室さんの証言です」と左京。「左京さん、あなたは昨日の小池さんの様子を御覧になってないでしょう？だから、自殺ではない状況証拠に目が行くのだと思います。小池さんは憔悴しきっていた。憔悴した人間は時に非論理的な行動をとってしまうものです。まぁ、我々のような宇宙飛行士は非論理的な行動をとることは許されません。しかし、一般に人間は疲れ果てた時、思いもよらない行動に出てしまいます。つまり、自殺しようとしていた小池さんが明日飲むつもりでコーヒーを購入しても何の問題もない。至って人間的な行動というわけです。いかがでしょうか、左京さん？」

「まぁ、確かに神室さんの言葉を伺っていたら、なんだかモヤモヤがなくなりました！ありがとうございます！あなたの証言を気にしていた自分自身が恥ずかしくなってきました…。失礼を致しました」と左京。「わかってくださり良かったです」と言う神室に一礼し、ラボを出ようとした左京は踵を返し、「あとひとつだけよろしいでしょうか、神室さん？」とまた話し出した。「いやぁ、しかし、さすがですね、神室さんは！半年前の宇宙ステーションでの事故といい、今回の小池さんの件といい、実に冷静に、論理的に対処なさるんですね！そして、強くてらっしゃる。同僚が２名亡くなったと懺悔した後すぐに立ち直られる。普通の人間には到底できないことです」と言い残し、左京はすずと共にラボを後にした。

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ラボを出たすずは、「あなた、やっぱり神室さんが犯人だと思ってるんでしょう？今、飛ぶ鳥を落とす勢いのあの神室陽太がやると思う？宇宙飛行士として国民的英雄になり、政界進出も現実味を帯びてきた。そんな時に殺人だなんて、そんな危険なことをやるわけがないわよ！」と左京にまくしたてる。自身の番組の人気コメンテーターが、殺人者となっては番組がぶっ潰れてしまう。すずは今後、二度と神室をブッキングしないでおこうと心に決めた。なぜなら、これまで左京の推理が外れたことはゼロだったからだ。番組への被害を最小限にとどめられたことに安堵したすずなのだった。

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左京は、小池の妻・里子（映美くらら）を訪ねた。憔悴しきった里子を見て、さすがの左京も亡くなった夫・小池について聴取できなかった。しかし、里子は何か捜査の役に立つのであれば、と親切にも小池の部屋に案内してくれた。小池のデスクには、辞書が一冊だけ置かれていた。本棚にはその辞書のケースが空のままだ。ふと気になった左京は、そのケースを手にすると、中から正方形の文様が描かれた透明のプラスチック板が出てきたのだった。

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事件の翌日、宗隆から急な連絡を受けた神室は、永田町へ赴いていた。「またあなたの組織で死人が出たとか？」と宗隆。「警視庁の世田谷警部と、左京という小男があなたの周辺をうろついていると聞いたのですが、それは事実ですか？」と宗隆は続ける。神室は「はい」と答えた。宗隆は、眉間にしわを寄せ、苦々しい表情になった。「わかりました。また、私から連絡しますので、しばしお待ちください」宗隆はそう言って、神室を部屋から出した。

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左京は、半年前宇宙ステーションで起こった事故で意識不明の重体になっている糀（バカリズム）の病院を訪れた。当時、神室の証言から、糀は件の事故の原因を引き起こしたとされた人物だ。左京はナースステーションへ赴き、直近で面会に小池が来ていなかったか？を確認した。すると、事件の前々日に小池がひとりで糀を訪れていることが判明した。小池はなぜ糀のもとを訪れたのか？左京は物言えぬ糀の寝顔を見ながら、心の中で問うていた。と、その時、糀の枕の下にきらりと光るものが目に入った。小池の自宅で辞書ケースから出てきた、あの正方形のプラスチック板と同様、意味不明な文様が掛かれていた透明の板だった…。

死人が出る度、英雄になっていく神室…。
彼の犯行を左京は立証できるのか？
小池が遺した謎の格子柄の正体とは？
半年前に起きた事故の驚愕の真相も明らかになる！

■ゲスト
▼神室陽太…吉沢亮
　宇宙飛行士。日本宇宙開発の技術者。
▼小池久志…山崎樹範
　日本宇宙開発の職員。
▼糀芳明…バカリズム
　元宇宙飛行士。
▼久住麗奈…井桁弘恵
　神室の婚約者。
▼小池里子…映美くらら
　小池の妻。
▼内藤すず…浅見れいな（★）
　報道番組「TheSevenNine」プロデューサー
▼宗隆継…中井貴一（★特別出演）
　官房長官秘書。

■事件の真相
▼半年前の宇宙ステーションでの事故を引き起こしたのは、神室だった。事故被害を最小限にとどめるため、身を徹したのが本当の英雄でもある糀だった。しかし、意識不明になった糀を利用し、神室は事故の原因を糀だと吹聴し、自身を英雄に演出していた。
▼事故の真相を半年かけて突き止めたのが、窓際部署の小池だった。小池は、二次元コードに分析した動画（神室と小池の鮮明な声のやり取りが入った動画）を残していた。小池は二次元コードを３枚に分け、１枚を自室の辞書ケースに、２枚目を糀の枕元に、そして、３枚目を神室のデスクにある部下からの提案書に忍ばせていた。
▼左京は、神室が部下からの提案書に目を通していないことを知り、その提案書を探り、３枚目の二次元コードに辿り着く。
▼宗隆は突然「DADA」を訪れ左京に近づき、「神室が犯人であることは間違いない事実か？」と確認。左京が首を縦に振ったため、宗隆は出馬候補から神室を外した。
▼視聴率を獲れると確信したすずの差し向けで、左京は「TheSevenNine」にて神室と最終対決を実施することに。小池の自宅から見つけたという動画を生放送で流すという左京を、神室は制し「私と糀さんの会話が入っているが、これは小池が作ったフェイク動画だ！私は半年前の事故の原因を作った人間ではない！」と言ってしまう。これが秘密の暴露となり、神室の犯行が立証された。実は、左京が用意していた小池宅で見つけたという動画は、小池の愛犬が映った動画だった。

■妄想放送日
2024年５月３日（金）21時〜22時54分
※通算45話