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辻タダオの三多摩だより30

やはり外に働きに出ると心身ともに疲れるので
マメな更新ってわけにはいかないのだが
久々投稿はブックレビューでいく。
というのもツイッターで小谷野敦氏に直に
女性作家と野球についての最新トレンドを教わる
という流れのさなかで「文学界」最新号購入します、
そして「蛍日和」読みます、
と小谷野氏にリプライし、実際このように↓

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有言実行したので、
ここまで来たらこの「蛍日和」の読後の感想を書かないでどうする、
と考えたのだ。

「蛍日和」は語り手私とその妻蛍の馴れ初めからほぼ今現在に至るまでの
日々を克明に記したかたちの私小説で既に各所で述べられているように
「愛妻小説」と呼ぶに相応しい内容だ。

これ以前の小谷野作品のうち「母子寮前」「ヌエのいた家」
の2作、今作と通底している設定を持つものは既に読んでいたので
あっさり作品世界に没入できて面白かった。

「蛍」いよいよ名前を持って本格的にあらわれたかー
みたいな。

私自身は小谷野氏より学年二つ下なので
小説の語り手「私」とほぼ同世代ということもあり
話のなかに出てくるアニメやら映画やら小説やら
音楽やら諸々のコンテンツの固有名に逐一
キタキタキターってなる楽しみももちろんあった。

それとは逆にそもそもの性格や趣味嗜好の違いも
蛍と同様たくさんあるわけで
だいたい今回ツイッターでからむきっかけになったのは
小谷野氏が好んではいない「野球」がらみの話題だったし、
作中の「シンゴジラ」のくだりなんかは
自分は酔っぱらったうえに混んだ電車のなかで
シンゴジラの面白いと思った点をネタバレに留意することなく
大声で同行者に喋り続ける愚行を働いた過去を持っているので
あの場にもし小谷野氏がいたらと思うとゾッとするなあ
と思ったりもした。

ということでかつて酒とギャンブル漬けで
小谷野氏とは真逆のバブルの毒まみれな日々を送っていた者が
ツイッターアカウントをはじめ
具体的な作品も含めて氏の言動に惹かれるのは
幅広い知識を硬軟織り交ぜ惜しげもなく開陳するその姿勢と
文壇をはじめとした各「業界」に忖度なしに
あくまで「自己都合」でゴシップ系も含めて
ガンガン語る口調が善意の第三者にとっては
実に痛快だからというのと
さらなる極私的事情を述べれば
小谷野ツイートアカウントにて度々「アル中は治らない」
との旨投稿されるのを目にするにつけ
断酒継続中の身として「なにくそ」と思うところもあり
目が離せないというからくりになっているのだった。

ということで
とにもかくにも
いまからもう続編期待の「蛍日和」だ、と
明言しておく。









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